パニ子は29歳の専業主婦。夫のタイチと4歳の息子・コウタの3人で暮らしています。幸せに暮らしていたのですが、嫁のことが嫌いな義母と同居することになり……。
嫁をいびる義母。妻の味方をしない夫
義母の家の水道管が壊れたらしく、工事が終わるまでのしばらくの間、パニ子の家で暮らすことになりました。パニ子のことが嫌いな義母は顔を合わせると愚痴ばかり。夫のタイチに「同居したくない」と伝えましたが、「俺が守ってやるから頼む」と言われたので、渋々了承しました。
同居1日目の日曜日。コウタの洗濯物を指して、「あの洋服は何なの!?あんなみすぼらしい洋服を着せないで!」と義母がパニ子に話しかけてきました。「コウタはウチの大事な跡取りだから」とパニ子の子育てに対してネチネチ説教をするのが好きな義母。もちろん、洋服は一般的なデザインのものです。
「別にみすぼらしい洋服ではないと思いますけど」とパニ子が返すと、「姑に口ごたえするとは、なんて嫁なの!あなた、グータラ嫁って近所で噂されているのよ!」と激怒。グータラ嫁と言い回っているのは、義母自身なのですが。
パニ子がタイチに助けてぇ……と目配せしたところ、
「ったく、お前、母さんに言い訳ばっかりするなよな?」と信じられない一言。その日の夜、タイチに「昼間のあれは何なの!?」と聞いたところ、「嫁姑問題に俺を巻き込むなよな」と言って寝てしまいました。これでは先が思いやられますーー。
義母が息子を連れてどこかへ…
次の日。昼前に起きてきた義母は開口一番、洗濯物の畳み方がなってない、ホコリがたまっているなどあれこれ言い始めました。挙げ句の果てには夜、衣装ケースにしまってあった衣類をばら撒き、全部畳み直すように言ってきたのです。
次の祝日。タイチは休日出勤するらしく、パニ子はコウタと義母の3人で家にいることになりました。義母から言いつけられる家事に加えて育児と疲れがたまっていたパニ子は、ソファで眠ってしまいました。
目が覚めると2時間ほど経っており、家の中には誰もいません。義母にLINEを送ったものの音沙汰なし。しばらくしても帰ってこないので近所を探そうとマンションを出たところ、停まっているはずのパニ子の車がありません。
1時間ほど探し歩いたとき、パニ子のスマホに着信が。出てみると「もしもし、警察ですが!」というのです。続けて「あなたの車の中に男の子が閉じ込められているから、助けてあげてください」と話します。
パニ子は車のスペアキーを持って急いでコインパーキングへ。車の運転席でコウタがぐったりしています。もう少しで窓を割るところだったという警察の話を聞きながら、急いで車のドアを開けてコウタを抱きしめたパニ子。コウタの命に別条はなく、ひと安心しました。
義母は嘘をついている!?
パニ子がコウタを抱きしめた後、おかっぱ頭の小柄な女性が話しかけてきました。どうやら、車内のコウタに気づいて警察に連絡してくれたそう。何でも、コウタがクラクションを押していたので、気づいたとのことでした。
義母のLINEは既読になっているものの返信はなし。最悪、命を落とす危険性だってあるのに……パニ子は悔しくて情けなくて涙があふれてきました。そして、義母に制裁を受けさせる決意を固めたのでした。
しばらくして慌てた様子の義母、そしてなぜか電話をかけているタイチも一緒にやってきました。義母曰く、パニ子が寝ていたから買い物に行こうとした、車内でコウタが寝ていたので置いていったとのことでした。パニ子が「何時間夕食の買い物をしているんですか!」と言うと、タイチが「年寄りなんだから、仕方がないだろ!母さんをそんなにせめても可哀想じゃないか!」と義母の味方をしてきます。
「コウタは可哀想じゃないわけ?」とパニ子が聞くと、「コウタがこうなったのはお前のせいだ!!」とタイチ、「そうよ!あなたが毎日グータラしているから……」と義母が言いかけたときでした。コウタが「おばあちゃんの嘘つき!パチンコ行ってたくせに!」と話したのです。どうやら、コウタが寝起きでぼーっとしていたとき、義母がパチンコ屋に入っていくのを見たというのです。休日出勤と言っていたタイチもパチンコをしていたのかもしれませんが、そこは分からず……。
後日。話し合いの結果、パニ子はタイチと離婚。コウタの親権もパニ子のものになりました。そして、どこから漏れたのか孫を車に置いてパチンコに行った話がご近所中の噂に。さらに近所に住んでいたタイチの同僚が職場の人に話したことで、親子は遠く離れた場所に引っ越しました。パニ子は正社員で働ける場所を見つけ、コウタと実家で幸せに暮らしています。
今回はコウタくんがクラクションを鳴らし、気づいた人がいたので何事もなく良かったですが……。暑い時期は数分で熱中症の危険度が警戒レベルまで上がるため、どんなときでも子どもを車内に置き去りにしないよう、私たちひとりひとりが注意していきたいですね。