義妹はもうすぐ30歳になるというのに仕事もせず、実家で毎日ダラダラ過ごしています。というのも、義妹は幼いころ大病を患い、20歳までは生きられないだろうと医師から宣告を受けたことがあったよう。そのため、家族は今でも彼女を壊れものを扱うように接し、何でも願いを叶えてきました。
義妹の要望とは?
それが彼女の甘えを助長してしまったようで、今では病気も完治しているというのに、義妹はいつまでも両親に寄生し続けているのです。
そんな義妹に変化が訪れたきっかけは、私がツーシーターのスポーツカーを購入したことでした。車が趣味の私たち夫婦は、子どもができる前の最後の贅沢と思って、中古の高級車を買いました。
その話を聞きつけた義妹は、何を思ったか「お義姉さんが車で送り迎えしてくれるなら仕事をする」と言い出したのです。送り迎えをするほど私も暇ではなく、“高級車で送り迎え”という見栄を張りたいだけの義妹の相手はできません。
キッパリ断ろうとしたものの、義父母や夫が懇願するような目で私を見つめています。義両親だっていつまでも義妹の面倒は見られないし、カズヤにも家族があります。私は、義妹の要求をしぶしぶのむことにしました。
激怒される筋合いはありません!
ついに義妹の初出勤日。朝は義父が送ったので、仕事終わりには私が迎えに行くことになっています。
夕方、義妹の職場の駐車場に車を停めて待っていた私。義妹は時間ぴったりに会社から出てきました。初出勤がさぞかし疲れたのか、不貞腐れている様子が一目でわかります。
駐車場を見渡す義妹。私が迎えにきていないと思い込み、激しく怒っているのが遠くから見ても手に取るようにわかります。私は軽くクラクションを鳴らし、自分の居場所を義妹に伝えました。すると義妹は顔を真っ赤にして私に近寄ってきたのです。
それもそのはず、通勤の送り迎えにスポーツカーは不適切だと思った私は、義妹のために会社から軽トラックを借りてきたのでした。何より車酔いしやすい義妹には、スポーツカーより軽トラックが適しています。
しかし義妹は「ショボい車で迎えにくるな! 高級車しか乗らん!」と半狂乱。乗せてもらう立場でありながら、ふんぞり返って物を言う義妹の態度にイラッとした私は「帰る」と告げて車を発進させました。
置き去りにされた末…
会社に取り残された義妹でしたが、財布も携帯電話も持っていて、近くに駅もあります。箱入り娘といえど、なんとか帰ってくるだろうと思っていましたが、何時間たっても義妹は帰宅せず、連絡もつきません。時刻はまもなく0時。さすがに探しに行こうと思ったそのとき、なんと勤め先の社長に送られて、泣きべそをかいた義妹が帰ってきました。
話を聞くと、お財布はお菓子や飲み物を買ってすっからかん、携帯電話は仕事中に触りすぎて充電切れになっていたとのことでした。コンビニで電話を貸してもらえば良かったものの、そんなことは恥ずかしくて言い出せなかったそう。
オロオロしているうちに社員もみな帰宅してしまい、どうにもならなくなった義妹は近くに住む社長に助けられたようです。
懲りない義妹に制裁を
「自力で家にも帰れないような社員はいらない」と社長はご立腹! どうやら日中も、何をやらせても「できない・わからない」と言って覚えようとせず、午後には体調が悪いと言い仕事をサボっていたとのことでした。
採用が取り消しになった義妹は、ケロッとして「働くことに向いていないから二度と働けというな!」と太々しい態度。しかしさすがの義両親も怒っています。
かねてより計画していた田舎への移住を決行。義妹は自分で働いて都会に残るか、田舎で農業を手伝うかの2択を迫られ、移住を選んだのでした。
一方私たち夫婦は、空いた義実家に移り住み新しい生活をスタートさせました。駐車場が余っているので、あと1台ファミリーカーを増やそうかなと考えています。
何事も人に甘えすぎるのは考えものです。大人たるもの、自分の力で歩んでいかねばなりませんね。