婚活パーティーで出会った彼・ハルキとは一瞬で意気投合! すぐにお付き合いを始めました。3カ月目の記念日には、彼から待望のプロポーズを受け、私は喜びでいっぱいでした。
運命の出会い
しかしある日の午前中のこと。ひとりの女性が私が勤める会社に訪ねてきました。来客の予定はなかったはず……。私がいぶかしげに受付のほうを見ると、見知らぬ女性が立っていました。
私が要件を尋ねると、その女性は「はじめまして。私、ハルキの妻です」と名乗ったので す。
彼が既婚者だなんて初耳です。慰謝料を請求すると言われても、どうしていいかわかりません。
妻と名乗る女性は、言いたいだけ言って会社を後にしました。残された私は、頭の中が真っ白です。
天国から地獄へ
居ても立ってもいられず、彼に電話をかけた私。ことの顛末を彼に説明し、問い詰めると、彼はついに観念したのか「彼女は俺の妻だ」と白状したのです。
そこからは終始タジタジ。私が何を言ってもはっきりしない態度で、私も何が何だかわかりません。こんな状況で慰謝料なんて払いたくはありません。なんとかするように言って、電話を切りました。
天に昇るような幸せから一転、私は地獄へ突き落されたような気分でした。結婚を喜んでいた両親の顔が頭をよぎり、さらに胸が苦しくなったのです。
それ以来私は彼からの連絡を拒否し、仕事に没頭していました。そんなとき、友人からかかってきた1本の電話に私は衝撃を受けます。その内容は、私の想像のナナメ上をいく内容でした。
「私は悪くない!」
それから数日後、私は彼と妻をカフェに呼び出しました。シュンとした様子の彼に勝ち誇ったような顔をした妻。私が諦めて慰謝料を払うことにしたのだと思ったのか、ニヤニヤしていました。
しかし慰謝料など払うわけがありません。慰謝料を貰うべきは私なのです。私は話を続けました。
「あなたたちグルよね? 確信犯なんでしょ?」と言うと、一瞬で凍りつく2人。「独身を装って近づいて、結婚を約束したところで妻が登場。不倫だから慰謝料払え~!っていう作戦でしょ?」
それを聞いてオロオロしはじめる彼。「それはあなたの勝手な思い込みでしょ? 証拠がないじゃない」対する妻は動じません。
「証拠ならあるわよ~」と私。近くの席に座っていた女性を手招きしました。
結婚していることを隠していた婚約者の正体は…
私たちに近づいてきたのは、私の友人でした。雑誌記者である友人は、数日前にとあるカフェで原稿を書いていたところ、耳馴染みのある私の名前が聞こえてきたそう。
ふと聞き耳を立てると、彼が私から慰謝料を巻き上げる作戦をたてていました。友人は咄嗟に商売道具のボイルレコーダーのスイッチをON! 2人の会話を録音し、私に知らせたのでした。
これで言い逃れはできません。その気もないのに結婚の約束をしてお金巻き上げようとするなんて、これは立派な結婚詐欺。危うく私も引っかかるところでしたが、 無事証拠とともに警察に突き出しました。
これまでたくさんの女性を騙し続けていた彼とその妻。騙した女性はもちろん、その家族や友だちまで傷つけていたことに気づいていたのでしょうか。その罪の重さを自覚し、しっかり償ってもらわねばなりませんね。