医学部受験に失敗し、看護師の専門学校に通っている私に、母から「妹が医学部に現役合格した」と連絡がありました。私が喜んでいると、母は「合格祝いをするレストランに人数変更の連絡をしておいてくれる?」と指示をしてきました。
豹変した母の言葉
医者である父が急に来れなくなったのかと思ったのですが、母は「お前は今日のお祝いに来なくていいわ」「大学受験に失敗した落ちこぼれのあんたがいたら、せっかくのお祝いが興ざめよ」と続けるのでした。
さらに母は「あんたは用済みだから今すぐこの家から出て行きなさい」「出て行ったら学費も出さないからね」と私をいらないもの扱い。なんとか専門学校卒業まで待ってほしいと伝えましたが、その願いすら叶えられませんでした。
落ちこぼれの躍進
10年後、妹の結婚式――。
招待していないはずの私が現れたと、母は驚きを隠せない様子でした。妹にも確認したうえで、私を問い詰めてきます。
「妹の結婚式に勝手に参加してんじゃないわよ!」と言う母親に、私も驚きました。実は、私はこの結婚式の新婦が妹だとは知らなかったのです。
「貧乏人なんて招待してないのよw」
「医者にもなれない落ちこぼれの席は無いんだからな!」
「新郎からの招待ですけど」
「え?」
私を結婚式に不法侵入したと決めつけて騒ぎ立てる母。しかし、私は新郎からの招待で結婚式に参加していたのでした。
というのも、私は新郎の職場の上司。実家から追い出された後、私は働きながら夜間大学に通い、必死に勉強しました。そのときに医学生だった男性と出会い、3年前に結婚。現在、私の夫は病院を経営しており、私は副院長として夫を支えています。
私のことを何も知らなかった母はただただ驚いている様子でした。私は「お母さんたちとは他人のふりをしてあげるから安心して」と言って、新郎側の席に向かいました。
結婚式後――。
10年ぶりに妹と顔を合わせました。改めて「おめでとう」とお祝いする私に、妹は「ご祝儀が足りないんじゃない?」とたかり始めます。
私が病院の経営者であることを母から聞いた妹は、私からのご祝儀がたった数万円しか入ってなかったことに不満を持ったのです。
私が断ると、「夫をお姉ちゃんの病院から辞めさせようかしら」と今度は私を脅しにかかってきました。私は「ぜひ辞めてもらっていいかしら」と返しました。
妹の夫は医者ではありますが、病院内外からの評判がとても悪く、私は他の医者を迎える準備を進めていたところでした。自分から辞めてくれるなら好都合と思い、私は快く妹の申し出を受け入れたのです。
立場逆転
1週間後――。
妹は「こんなむかつく上司のいる職場で夫を働かせられない」と、私に夫の退職届を叩きつけました。私はすぐに処理を進め、妹の夫は私の病院から退職することに。
しかし、妹の夫はわがままばかりで、次の勤務先がなかなか決まりません。現在は私たちの両親の稼ぎに頼り、ヒモ同然の生活を送っているようです。
そんな妹に危機感を覚えた母は、私にすり寄って来ました。しかし、「昔のことはすべて謝るわ」「これからは仲良くしましょうね」という母の言葉にも、私の心は動かされませんでした。
「私は落ちこぼれだから、人一倍がんばらないといけないの」「私には親なんていない気持ちでがんばるよ」と言って、私は母たちの連絡先をすべて消去。
その後――。
私が連絡先を消去したことに気付いた両親が、私に会おうと病院に突撃してきました。しかし、すぐに警備員に捕まって家に帰されます。私が弁護士を通じて「不法侵入で訴えてもいいのよ」と連絡してからは、おとなしくなりました。
職業に貴賤(きせん)なし。職業や学歴などで人を値踏みするような行為は、あってはならないことです。私と連絡がとれなくなった母が、自分の今までの言動を反省し、心を入れ替えてくれることを願うばかりです。