ある日、私は駅前で親戚のおばさんから「婚約者を考え直した方がいい」と言われました。詳しく話を聞くと、どうやら母が私の婚約者を「中卒の貧乏人」と言っていたそう。
婚約者は中卒の貧乏人!?
実家に帰った私は母を問い詰めますが、「アンタが中卒なのは事実だし、類は友を呼ぶって言うしw」「妹よりも格下の姉が先に結婚なんてダメに決まってるじゃない」と悪びれる様子もありません。
たしかに、妹は昔から賢くて美人。しかし、うちは父を病気で早く亡くしたため、私は妹を進学させるために泣く泣く進学を諦めたのです。
「美人で高学歴な妹なら、すぐに金持ちの結婚相手が見つかるし、私の老後生活もラクになるはず」と、どこまでも自分勝手な母。本当は母にも結婚式に出席してもらいたかったのですが、「アンタの婚約者はデブハゲニート男に決まってる」とまで言われたので、呼ぶのを諦めました。
結婚式に喪服で現れた母
数カ月後、私の結婚式当日――。
招待していないはずの母が、結婚式場に現れました。しかも、喪服で。
「中卒のブスが妹より先に結婚するな!」
「台無しにしたくて喪服で来てやったもんね!」
「新郎が誰か聞いてないのね」
「え?」
私の幸せが許せない母。苦労ばかりかけた父親に似ているから、という理由で昔から私に八つ当たりを繰り返していたのです。身勝手な理由で非常識な行動をとった母が、私は恥ずかしくて仕方ありませんでした。
そこに、新郎である私の夫が現れました。実は、夫は妹の通う有名な大学の教授。夫が軽く母に自己紹介すると、母はあからさまにうろたえ始めました。
「なんでそんな優秀な人が馬鹿でブスで中卒のアンタと結婚するのよ!」と逆ギレする母に、夫は「彼女は英語もペラペラだし、仕事に関する資格も一発合格ですし、カフェの経営責任者で今は新店舗の立ち上げを任されているとても優秀な方ですよ?」と私の仕事のことを伝えました。
まったく私に興味を持っていなかった母は、夫の素性と私の活躍ぶりに驚いている様子。そして、怒りに震えている夫に気付き、「喪服から着替えてきますね」と慌て出しました。しかし、夫は「その必要はありません、今すぐ帰ってください」「あなたのせいで台無しになった結婚式の責任、もちろん取ってもらいますからね」と母を追い出してくれました。
毒親からの解放
結婚式終了後――。
懲りない母から、今度は「アンタの結婚相手、妹の方がお似合いじゃない!」と連絡が来ました。私の夫を妹にあてがおうとする母に、私も怒りを通り越して呆れてしまいました。
そこで、妹の現状を母に伝えることに。実は、妹は彼氏との子どもを妊娠して、大学を中退。その彼氏と結婚して、今は引っ越して別の土地で暮らしています。母からのプレッシャーから解放された妹は、とても幸せそうでした。
自慢の妹を頼れなくなった母は、「今まで冷たくしてごめんね」とあからさまな手のひら返し。私は「娘の結婚式に喪服で現れるような母親とはもう絶縁だよ」「もう娘は誰もいないんだからね!」と言って、母の連絡先をブロックしました。
妹ばかりを優先していた母。しかし、溺愛されていた妹も母の呪縛から逃れたいと思っていたようです。温かくて素敵な家庭をすでに築いている妹を見習って、私も幸せな家庭を作れるようにがんばります。