大豆イソフラボンはたくさんとったほうが良い?
大量かつ継続的に摂取すると健康面に影響が
一般的に更年期というといつごろで、どのような変化があるのでしょうか。
「日本人の平均閉経年齢はおよそ50歳です。その前後5年間、10年間を更年期と呼ぶので、平均的には45歳から55歳くらいです。この時期は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減り、健康面でも美容面でもさまざまな不調が出やすくなります。
美容面だけで言えば、女性ホルモンの減少は、肌の弾力を保つコラーゲン繊維やエラスチン線維の変性による機能低下、皮脂分泌減少による肌の乾燥などを招き、シワやたるみを進行させるなどの肌トラブルの原因になります」(黒田先生)。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンと似た作用をすると聞いたことがあります。更年期に女性ホルモンが減るなら、大豆ホルモンで補ったらよいのかな?と思うのですが……。
「大豆イソフラボンは化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と似ていて、エストロゲン受容体(エストロゲンレセプター)に結合することから、女性ホルモンに似た働きをヒトに及ぼすかどうか研究が進められています。女性ホルモンは、肌の組織に潤いを与えるなど美容効果が認められています。
しかしここで注意したいのは、大豆は健康面でいくつか指摘されている点があるということです。
大豆にはさまざまな栄養が含まれていますが、ゴイトロゲン、フィチン酸、トリプシン阻害物質といった物質も含まれています。
ゴイトロゲンは甲状腺機能異常のリスクが高まることがわかっており、フィチン酸はミネラルの吸収を阻害する物質。トリプシン阻害物質とは消化を抑制する物質です。もともと大豆は消化しにくい食品として知られています」(黒田先生)。
それでは、大豆はとらないほうが良いのでしょうか。
「いえ、今紹介した物質はごく微量で、通常量の大豆摂取ではまったく問題ありません。
大豆を大量に、かつ継続的に摂取することが問題となります」(黒田先生)。
大豆はどのようにとるのが良い?
発酵食品をとりましょう
なんとなく大豆のイメージが悪くなってしまいましたが、日本人は毎日、大豆を何かしらとっていると思います。いかがでしょうか。
「どんな食品もメリットとデメリットがあります。大豆も同じです。
そして、先ほど紹介した健康面に影響を及ぼす可能性がある物質の一部は発酵
大豆食品は、発酵させたものを積極的にとるといいでしょう。
日本人がよく食べる、大豆の発酵食品は味噌と納豆ですね。
特に意識しなくても日本人は大豆を十分にとっています。頑張ってたくさんとる必要はないのです」(黒田先生)。
味噌と納豆を選ぶときに注意点はありますか。
「味噌は、だし入り味噌でなく、大豆とこうじ、塩だけが原材料のものを選ぶようにしましょう。添加物は腸内環境を乱す原因となるからです。
納豆は、ひきわり納豆のほうがビタミンKが豊富なのでおすすめです。遺伝子組み換えの食品は、まだ人体への影響が明らかになっていないため、避けたほうが無難です」(黒田先生)。
豆乳も発酵食品が良い?
ヨーグルトメーカーで作った黒田先生の特製豆乳ヨーグルト。
ヨーグルトにすれば乳酸菌もとれます
豆乳も発酵させたほうが良いのでしょうか。
「前述した物質は豆乳にも含まれているので、私はヨーグルトにしてとっています。
豆乳に乳酸菌を加えてヨーグルトメーカーに入れ、室温27℃くらいの場所に36時間置けば完成です。今は豆乳ヨーグルトも市販されていますが、砂糖など添加物がないものを選ぶと良いでしょう。
大豆イソフラボンの女性ホルモン様作用は、骨粗しょう症、乳がんなどの予防効果が期待される一方で乳がんを発症した人の再発リスクも指摘されています。
また、大豆イソフラボンの効果は出やすい人と出にくい人があることがわかっており、その差はエクオールという物質に変換できるかどうかにあります。腸内にエクオール産生菌という菌があるかないかで差がついてしまうのです。
大豆イソフラボンの健康効果については、まだ解明されていないことも多いので、大量に摂取するというのではなく、これまで通り摂取していれば問題ないと思います」(黒田先生)。
まとめ
大豆食品の中でも、味噌汁は1日1杯は飲む、という人も多いでしょう。味噌は発酵食品なのでリスク物質は含まれませんが、塩分が多く含まれています。なんでもとり過ぎはよくないと肝に銘じたいと思います。
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