出産直後、娘の呼吸が乱れている
出産直後、私の産後の体の処置がおこなわれているとき、隣で医師や助産師さん4人が娘を取り囲んでいました。そして医師から「赤ちゃんの呼吸が乱れているので、様子を見ます」と言われ、医師たちは退室。私はようやく娘の顔を落ち着いて見ることができました。
しかし、娘の顔を見てとてもびっくりしました。顔色どころか、全身が白いのです。2時間後、再び医師が娘を診察に来ました。聴診器を娘の胸に当て、近くにいたスタッフさんに何かを言っています。
医師が退室後、そのスタッフさんから私は告げられました。「NICU(新生児集中治療室)へ移ります」と。
治療中の娘を見て号泣する私
それからはあっという間でした。スタッフがバタバタと動き始め、娘が寝ていた保育器がゴロゴロと音を立てて部屋を出ていきました。数時間後、胎便吸引症候群(※)と診断され、医師の説明を受けた私と夫。
(※)胎便吸引症候群:胎児が何らかの原因によって低酸素状態になり、子宮内で排泄した胎便を吸い込んでしまうことで生じる呼吸障害
「珍しいことではないので、安心してください」と医師から言われたものの、酸素投与、血管にカテーテルを挿入するなどの治療内容に動揺するばかり。その後、何本もの管に繋がれた小さな娘を見て、私は涙が止まりませんでした。
それから1週間。適切な治療のおかげで娘はみるみる元気になり、退院の日を迎えられました。まさか自分の子がNICUに入るなんて……。この経験から、何が起こるかわからないのが出産で、無事に生まれてくることが奇跡なのだと学びました。今は4歳になった娘と、2歳の息子と一緒に遊ぶことができ、とても幸せです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:下園ひかり
4歳の娘、1歳の息子、夫との4人暮らし。バックパッカーとして2年間で25カ国を周遊した経験あり。さまざまな国で生活した経験から、常識に捉われない育児を実践中。自身の育児経験をおもしろ話にして情報発信するブロガー兼ライター。