家族経営の小さな会社を営む義父
義父はかつて陸上自衛隊員でしたが、義母との結婚を機に小さな会社を立ち上げたそうです。私が夫と出会ったときは、すでに夫はその会社の社員として働いていました。
家族経営は大変なイメージがあります。ただ、義父の営む会社は規模が小さいながらも、社員みんなが家族のようなアットホームな雰囲気だったので、私は義父が営む会社にいいイメージを抱いていました。
そんな中、結婚当初は夫の実家で義両親と同居しながら、とある会社で事務員として働いていた私。しかし長女を出産したあと、義母の「保育園に預けるのはかわいそう」というひと言で退職する流れになったのです。
義父の仕事を手伝う日々
義母のアドバイスもあり、長女の出産を機にずっと勤めていた会社を辞めた私。まだ自分の車のローンが残っていたため、会社を辞めてからどうやってローンを払おうか頭を悩ませていました。そして考えた末、当時は教材宅配サービスが流行っており、そこでパートとして雇ってもらうことになりました。
教材宅配サービスを選んだ理由は、宅配するときに自家用車で移動できる上、自分の都合のいい時間にお客様の家を訪ねられるのは、小さい子どもを持つ身からするとメリットが大きかったからです。
このころ、私は宅配の仕事の合間にときどき義父の会社の手伝いをするようになりました。ちなみに、あくまで手伝いなので無給です。移動手段として私は自分の車を使っており、ガソリン代は義父の会社が負担してくれていたので、私はそれが給料代わりだと思って満足していました。
義母のひと言に絶句
義母はもちろん、私が車のローンを返済するために教材宅配サービスで働き始めたことを知っていました。ガソリン代を支給されているとはいえ、無給で義父の仕事を手伝っていることも。
それなのにある日、義母からとんでもない発言が飛び出したのです。「ガソリン代は会社が負担してるんだからあんたの車は会社の物!」と。つまり、私の車は会社の人なら誰でも使ってよく、できるだけ会社に車を置いておけと言うのです。
私は義母の言葉を聞いて目が点になってしまいました。ガソリン代を支給してもらってるからといって、私の車が会社のものになるなんておかしな話です。それに無給で手伝っているのにそんな言い方をされるなんて……と、ふつふつと怒りが込み上げてきた私は黙っていられなくなり、思わず言い返してしまいました。
普段はおとなしいタイプの私が堰を切ったように言い返したため、義母も驚いたのでしょう。そのあとの空気は地獄でした……。
とはいえ、私としては本音を言えてスッキリした部分もあります。結局、そのあとは夫の提案で義両親とは別居することに。教材宅配の仕事も、義父の会社の手伝いも辞めて、前の職場に相談し職場復帰させてもらいました。「小さいうちから子どもを預けるなんてかわいそう」という義母のひと言があったときに反論し、仕事を辞めずにいたらまた結末は違ったのかなとも考えてしまいます。
著者/浦部さくら
イラスト/Ru
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!