私の浮気写真を捏造し、社長である彼氏を奪った同僚。元彼と同僚の結婚式当日、なぜか私のもとに同僚からメッセージが届き――?
マウントを取りたい同僚
「奪われたって結婚式に乗り込んでくるかと思ってたのにw」「何事もなく無事に終わってよかったわ~!」と聞いてもいない結婚式の様子を語り出した同僚。私から恋人を奪っただけでは飽き足らず、私にマウントを取りたいようです。
この同僚とは同じ営業課で出会いました。彼女はちゃっかりしていて、私の営業の売り上げも横取り。私と男性との2ショット写真を捏造し、私と元彼の間を引き裂いたのも彼女でした。まぁ、あんな不出来な合成写真に騙される元彼も元彼ですが……。
「そもそもあんたは愛されていないのよ!だから捨てられて当然なの!!」「最終的に彼の奥様になったのは私だからw」と浮かれている同僚。
彼女の自慢話に辟易していた私は、「私は会社を辞めるし、どうぞお幸せにね」とだけ告げて、連絡を切り上げました。
元カレの妹から語られた真相
2時間後――。
今度は、元彼の妹からメッセージが届きました。
「無理です……。私、あの女が義理の姉になるなんて本当に無理です……」と憔悴しきった様子の妹さん。詳しく話を聞くと、今日行われた元彼と同僚の結婚式の様子を事細かに教えてくれました。
「新郎新婦主演の馴れ初めVTRが前後編に分かれた2時間のドラマ仕立てで……」
「あんな貧相なごはんじゃ、誰も満足できないですよ……」
「『さすが略奪カップルだ、周りが見えていないな』って声も聞こえたし………」
同僚から聞いていた話とは大違い。結婚式は地獄の様相を呈していたようです。
元彼の妹は、私が義理の姉になることを楽しみにしていてくれたのです。「馬鹿なお兄ちゃんに慰謝料を払わせてやる!」と息巻く妹さんを、「ちゃんとした証拠もないし、争うのも嫌だからもういいのよ」となだめます。
しかし、妹さんは納得していない様子。「お兄ちゃんたちが略奪婚だっていうのは本当なんですよね?けじめ、しっかりつけさせます!」となぜか張り切っているのでした。
略奪女の落とし前
5日後――。
再び私のもとに、同僚から「今からドバイなの♡」との連絡が来ました。
「これから新婚旅行、行ってきます♡」
「可哀想なあんたにはテキトーにお土産を買ってきてあげるからね」
「会社が倒産するのに旅行?」
「え?」
昨日、元彼の妹が教えてくれたのは、元彼の会社が経営破綻間近だということでした。結婚式の最中に広がった略奪婚の噂。その噂を元彼の妹が認めたことで、結婚式に参列していた取引先は軒並み契約中止を取り決めたそうです。
「会社が倒産するなら逆に今しか行くチャンスないもんね!」「帰ってきたころに取引先や従業員が残っているといいね」と言うと、同僚は絶句。「海外旅行、楽しんでね」とメッセージを残して、私はスマホの電源を切りました。
その後――。
元彼の会社は倒産。倒産直前、元同僚から「会社に戻って来て!助けて!」「給料は倍にする!」との連絡が入っていましたが、無視しました。元彼と元同僚は新婚にもかかわらず、毎日大喧嘩しているそうです。
一方、元彼の妹は兄の失った仕事を受け継ぐ形で小さな会社を設立。兄のようにはならないと孤軍奮闘している姿を見て、私は秘書として彼女を支えていくことに決めました。待遇は以前より良く、仕事も以前と変わらない内容なのですぐに慣れ、今は充実した毎日を送っています。