驚いたのが、いとこには10歳になる娘がいたこと。結婚せずに、今まで女手一つで誰にも頼らずに育ててきたようでした。いとこの娘・ハナは、母親を亡くしてひとりぼっちになってしまいました。
いとこの訃報
いとこの訃報を受け、私たちは慌てて葬儀場へ向かいました。そこには親族席にぽつんとひとり座っている女の子の姿……。私はすぐにその子がハナだとわかりました。
私はそのとき独身で、絵本作家を夢見て絵を描く日々を送っていました。どちらかというと人見知りで、初めて会う人には話しかけることができません。ハナに話しかけるにも勇気がいったのですが、小さく丸める背中を見て、声をかけずにいられませんでした。
私は自分がママのいとこだと伝え、葬儀中ずっとハナの手を握って寄り添っていました。葬儀の間中も、親戚中の話題は「誰がハナを引き取るか?」ということ。引き取りたいという人はおらず、このままでは児童養護施設に保護されるしかないようです。
では私が引き取れるかというと、そんなに簡単な話ではありません。絵本作家になる夢も叶えたいし、これから結婚することになったとしたらハナの存在が邪魔になるかもしれません。それに子どもをひとり引き取るには、多額のお金がかかります。
しかし、ハナを置いて帰ろうとはどうしても思えません。私は、思いきって「わが家においで」とハナに言いました。
同居生活がスタート
戸惑いながらも、同居生活がスタート。人見知りの私と遠慮がちなハナの会話はぎこちなく、なかなか打ち解けることができません。何かきっかけがつかめればと思い、私は自作の絵本を読み聞かせてみましたが、反応はイマイチでした。
しかし数日後、学校にハナを迎えに行った私は、楽しそうに鳥を追いかけながら笑う彼女の姿を見かけました。帰宅後、その様子を絵に描いてあげると、ハナは大喜び! これをきっかけに、心を開いてくれるようになり、わが家で正式に引き取ることが決まりました。
子育てを通じて学んだもの
それからしばらくして、私はハナをモデルにした絵本を描こうと思いつきました。両親を失った少女が鳥の気持ちがわかる能力を持っていることに気づき、鳥たちと心を通わせながら強く生きていく……。そんなお話です。
一気に描き上げ、さっそく本人に見てもらうと「読んだ後に心がほっこりしてきて、幸せな気分になれた」と言ってくれました。そして、自分と同じように悲しみと寂しさを抱える人に読んでほしいと……。その言葉を聞いて、私は出版社へ持ち込むことにしました。
作品を読み終えた担当編集者からも絶賛され、ついに私の作品が本屋に並ぶことに! その絵本はベストセラーになり、私はプロの絵本作家になるという夢を叶えたのでした。
ハナを引き取らなければ叶わなかった私の夢。『子どもを引き取る』という決断は、私にとって決して軽いものではなく、実際にたくさん苦労し、お金もかかりましたが、ハナの子育てを通じて、私はたくさんのことを学びました。
その経験が、私の作品に良い影響を与えたことは間違いありません。子どもを育てているようで、保護者もたくさんのことを学んでいるのですね。
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