有名企業に勤めていた夫と、工場勤務の私。仲良く2人暮らしを続けていましたが、義母は私のことが気に入らない様子。「息子と不釣り合いな底辺」と言って、私を見下し、嫁いびりをしてくるのです……。
自慢の息子の嫁が工場勤務だなんて!?
義母から義妹の出産祝いについて連絡があった日、たまたま私は残業をしていました。仕事が終わってからすぐに返信したのですが、義母は「工場勤務って大変ね。ただでさえ大変なのに残業まであるなんて」「嫁が工場勤務だなんてご近所さんに話せないわ」といつものようにひどいことを言ってきました。
仕事が工場勤務というだけで、見下され続けている私。残業はたまにしかなく、働きやすいので私自身は誇りに思っている仕事なので意味がわかりません……。
「息子がせっかくエリート企業で働いているのに、あなたが働く必要なんてあるの?」「どうせ大した稼ぎじゃないんだから仕事なんてしていないで、早く孫を見せなさいよ」
私の仕事だけでなく、私たち夫婦の間にまだ子どもがいないことも、義母の不満の原因のひとつ。「うちの息子はあなたを養いつつ、私にも毎月仕送りしてくれる本当にできた息子なの」「お父さんが生きていた時に結婚しておいてよかったわね、私だけだったら絶対に認めなかったわよ」と、耳にタコができるくらい聞いたお小言がまた始まり、私はため息をつきました。
ようやくお小言が終わったと思ったら、「息子は用事があって来られないんでしょ?来週の出産祝いにはあなたが代表として来なさいよ」「たっぷりご祝儀は弾んでね」と釘を刺されました。
通帳を捨てた義母
数日後――。
義妹の出産祝いも無事終わり、帰路についた私に義母から「うちの娘が産んだ子どもを見て、どう思った?」とメッセージが届きました。
そりゃあかわいいと思ったし、いつかは子どもがほしいとは思っている私。ただ、お互いにやりたいこともあるし、私たち夫婦は今すぐ子どもがほしいというわけではありません。
そのことを正直に伝えると、「はぁ……。せっかく最後のチャンスをあげたのに、それすらも無駄にするのね」と返してきた義母。さらに、「あなた誇りをもって働いているとか言ってたけど、貯金すらできないじゃない」と、また私の仕事をバカにしてきました。
「通帳の残高205円って(爆笑)」
「燃えるゴミに捨てといたからね~」
「私通帳持ってないですよ…?」
私の通帳は家に置いてあるはず。しかし、義母は私のカバンの中から無断で通帳を抜き取り、中身を確認したそう。たった3桁の残高を見て、私は夫の嫁としてふさわしくないと改めて思ったそうです。
「今すぐ離婚しなさい」「金は稼げない、子どもをもとうとしない、そんな役立たずの嫁は要りません!」
そんなことを言われても、離婚するかどうかを決めるのは夫自身です。息子や娘を未だに自分の所有物と見なしている義母は、聞く耳を持ってくれませんが……。
「あの子は私の言うことならなんでも聞いてくれるのよ」「あんたに嫌われても痛くもかゆくもないわ」と、暴走をはじめた義母。私が何を言っても、煽りで返してくる始末。
最終的に「近いうちに息子から離婚届を渡されると思うから、荷物早めにまとめておきなさいね」「あんたの生意気なその態度、いつまで持つのかしら?楽しみだわ~」とまで言われてしまったのです。
お義母さんに仕送りしていたのは…
数週間後――。
義母に言われた通り、荷物をまとめていた私。すると、義母から「ちょっと!息子と連絡が取れないんだけど!」と怒りと困惑の入り混じったメッセージが届きました。
「夫ならお義母さんの連絡先をブロックしたと言ってましたよ」と返すと、「今日、息子は私のところへ来る予定だったでしょ!」と返信が。
事情をすべて夫から聞いている私はため息をつきつつ、「お義母さん、本当に最低ですよね」「私と結婚しているのに、別の女性とお見合いさせようなんて、どういう神経してるんですか?」と返しました。
一度でも否定すると、鬼のように連絡してくる義母。その義母の性質をよくわかっている夫は、「お見合いしろ」と義母から言われても「わかった」としか返さず、受け流していたのです。そもそも夫は今とても大事な時期。義母に割く労力なんてありません。
「なんでよ!なんで息子はあなたにお見合いの話をしたのよ!なんで私の連絡先をブロックしてるの!?」と荒れ狂う義母。これはもう、真実を話すほかなさそうです。
「今までお義母さんからの追及が嫌だったので隠していたんですが、夫はもうあの有名企業を自主退職していますよ?」「あと、出産祝いのときにお義母さんが盗んで捨てた通帳は、夫名義のものです」
私自身もすっかり忘れていたのですが、夫からコピーを頼まれて、私は通帳をカバンの中に入れっぱなしにしてしまっていたのです。夫には謝り倒しました……。
どちらも義母の予想をはるかに超えていたようで、しばらく返信がありませんでした。ようやく「残高205円の通帳が……息子の……?」「退職って……なんで……」と返ってきました。
実は夫が退職したのは、半年も前。夫は長年の夢だった古民家カフェを開くべく、自分の貯金を切り崩して開店資金にあてていたのです。その間の生活費は私が出していました。
「でも、私に仕送りをくれていたじゃない」という義母に、「それは私がしていたんです」「私と夫、手取りはそんなに変わらないんですよ?」と告げると、「あなたにできるわけないでしょ!」とまた罵られてしまいました。
「息子があの有名企業で働いてるから、って言ってお見合いまでこぎつけたのに……」「会社に連絡して退職を取り消せないかしら……?」とまたも暴走をはじめた義母。
「そんなことできるわけないじゃないですか」「夫と私はお義母さんと縁を切ることにしましたから、もう連絡してこないでくださいね」「住んでいたマンションからも引っ越しますし、仕送りももう送りません」
仕送りがなくなることに危機感を覚えたのか、義母は「やめて!それだけはやめて!」「私、あなたが息子を養ってたなんて知らなかったから……」「私はずっと専業主婦だったから、今更働くなんてできないのよ!」とすがりついてきました。
子どもを作らないことだけでなく、私が誇りを持っている仕事を見下すような義母はこちらから願い下げです。私たち夫婦の荷物を載せた引っ越し業者のトラックが出発するのを見送りながら、私は義母の連絡先をブロックしました。
その後――。
私は引っ越してからも、同じ職場で仕事を続けています。工場勤務は大変な仕事ですが、私にとってはやりがいのある仕事なのです。できる限り長く続けていきたいと思っています。
義母のプレッシャーから逃れた夫は、夢だった古民家カフェを開業。まだまだ資金繰りで苦労していますが、はつらつとした笑顔で毎日働いています。夫の心からの笑顔を見るたびに、「この人と結婚してよかったな」と改めて感じています。