転職活動がうまくいかず友人に紹介されたのは
コロナ禍で世の中がパニックになっている真っただ中、リストラ宣告を受けた私。これからの生活はどうする? 50歳過ぎの私に転職先はある? このコロナ禍で日本に本帰国? など、先立つ問題が頭の中でグルグルと回り、超ネガティブ思考のまま3カ月も何もせずに過ごしていました。
そんな中、半ば強制的に自分を奮い立たせて転職活動をしてみたけれど、やはり、50歳過ぎの転職事情はかなり厳しいのが実情。自分の市場価値の低さと端にも棒にも引っかからない厳しい現実に、さらに落ち込む日々が続きました。
そんなときに、友人から紹介を受けたのが、限界集落(人口の50%以上が65歳以上を占める集落)の地域おこし協力隊の仕事でした。それは、まったく土地勘のない地域で、しかも今までのキャリアからは思いもつかない業種。これも何かのご縁、新しい挑戦の機会だと思い、思い切ってエイヤッと飛び込むことを決意し、田舎へ移住しました。
人生の見方を変えたら見えてきたもの
人生初の田舎暮らし、しかもコンビニやスーパーがない中山間地域の限界集落。都会生まれの都会育ち、仕事も大都市でキャリアを積み重ねてきた自信があった私ですが、これまでの自分の常識が田舎暮らしでは通用しないことにしばしば直面しました。
そんな里山生活ゼロ知識の私が最初に実行したことは、地域を知るために地域の人と同じ目線に立つために、生活をともにすること。厳しい山間の暮らしは、都会にはない生活の知恵や工夫がたくさん詰まっていて、どれもこれも自分本位では成り立たないことばかり。まさに、人生のスキルを学ぶことの多い暮らしがありました。
特に強く感じたことは、これまでの自分の生活が効率重視にとらわれていたことです。忙しさを言い訳に、物事の本質を見る前に、非効率だと感じたことには必然と切り捨ててきた傾向があり、自分の思考がシステム化されたロボットのようだったと気付かされました。
また、良い悪いの判断は自分のバイアスでしかなく、ものすごく非効率なことでも、時には回り道したほうが新しい発見に出合えることを学びました。まさに、生きる力を身につけるチャンスに巡り合えたことが、大きな収穫です。
人間力を鍛えてストレスフリーな生活
田舎に移住し、地域おこしの観光やイベントの仕事に携わりやっと1年が過ぎ、本当に必要なものを大切にして暮らすことや、不便を楽しむ術を日々学んだことで、無駄に着飾っていた見えないよろいをばっさり脱ぎ捨てることができ、心身ともに身軽になれました。
そのおかげで、現状にあるものを工夫する力や、何とかなるという心構えが鍛えられ、いい意味で無理をしないストレスフリーな生活を楽しむことができています。また、生活の中でイライラすることが減り、物事への許容範囲が広くなり、私自身の人間力も鍛えられました。
最も身近な人間力の教科書は、里山で暮らす80代、90代の現役で活躍しているおじいちゃんやおばあちゃん。日々、年を重ねることの楽しみ方を学んでいます。
まとめ
これまでの私は、世間一般が評価したレールに乗り、あちこちぶつかりながらも何とか脱線しないように、自分自身に無理な折り合いをつけ現状をキープしようとしていました。だけど、思いっきり脱線し人生の大きなピンチに直面したおかげで、これまでのキャリアをバッサリ捨てて、新しい世界に飛び込むことができ、プライスレスな豊かな生活を得ることができました。やはり、何かを得るためには何かを捨てる勇気が必要なようです。
これからもし行き詰まりを感じたときは、思考を切り替えれば、案外身近にある答えを見つけられるものだと思えるように成長しました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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