値踏みを始める嫌み女
「お宅、何階の方? 低層階の方は階段を使いなさいよ」
33階なのでさすがに……と答えると、「最上階の私より10階下ねぇ」とうれしそう。続けて「ご主人は何を?」と値踏み開始。独身だと言うと、「じゃあお家賃払うのに夜のお仕事でも? その容姿では大変ね」と嫌みのオンパレードです。
いろいろムッときたものの、営業活動で習得したスルースキルを駆使していると、「私は社長夫人だから」と、鼻高々……。そこにエレベーターが到着したのですが、中には見知った顔の男性が乗っていました。
「社長?」「あれ、君は取引先の営業さん……」「あらあなた」
なんと、私が勤める会社の取引先企業の社長さんが嫌み女の夫でした。最近引っ越してきたのだとか。そのまま私は、話の流れで次の日曜のお茶会に呼ばれてしまったのです。
お茶会にて
約束のカフェにて。ご自宅に呼ばれたわけでもなし、普通に手ぶらで行った私ですが、これが社長夫人のご機嫌を損ねてしまったよう。お友だちだという取り巻き2人はブランド物のプレゼントを用意していたのです。
「手ぶらだなんて非常識! 遅れてきたんだからお代はあなたが持ってね」と言われてしまったのです。最後に到着したのは私ですが、約束の時間よりは早かったのに……。
もめても無駄だと黙ってお茶代を払ったのが運の尽き。それからというもの、自慢話の聞き役どころか荷物運びなどもやらされるはめに。
「言うことを聞かなければ夫に言うわ。取引先の社長に嫌われてもいいの?」と脅してくるのです。
20人分の支払いを強制!?
さらに数日後、カフェレストランを貸し切っての食事会にも強制的に参加させられた私。招待客は社長夫人と私の他に18人。皆、彼女をちやほやおだてる、「部下の妻=取り巻きたち」です。
「せっかくのお食事会にみすぼらしい服を着ちゃって。服を買う余裕もないの?」と私を見てあざ笑う社長夫人に、「そんなことはありません」と反論すると……。
「それなら、20人分の食事代を払いなさい。あなたが一番格下でしょ。私の夫が誰だかわかっているわね?」と小指を立ててふんぞり返っています。
私は、彼女と一緒にニヤニヤしている取り巻きたちを見回して、今こそ逆襲のときが来たと息を吸い込みました。
下請けはどっち?
「はい、あなたのご主人は、弊社の派遣社員さんです」。ざわつく取り巻きのご婦人たち。社長夫人は驚いて、「は? 夫はあなたの取引先の社長でしょ!」と青筋を立てています。
「たしかに社長さんですが、経営難で資金繰りにお困りの会社ですよね。何とか支援してほしいと懇願してらしたので、わが社が派遣社員として雇用しています」
「そんなのウソ! 下請けはあんたのほうでしょ!」と叫ぶ社長夫人。そう簡単に信じないと思っていたのですが、やっぱり。私は、「それなら社長自らお話ください」と彼を呼び入れました。初めからそのつもりだったので、準備は万全です。
「彼女の言う通り。俺の会社が下請けで、派遣社員にしてもらったおかげで倒産を回避できた。社長夫人の呼び名に酔って経営や俺のことに興味を示さず、遊んでばかりのお前は知らなかっただろうけど」
高飛車社長夫人は、取引先と聞いただけで勝手に勘違いをしていたのです。
社長夫人にトドメのひと言
そのまま社長は宣言しました。「今後のことも考えて、わが社は解体。部下ともども、彼女の会社に正社員として移籍させてもらうことになった」
さらに、驚く社長夫人と部下の妻たちに、私からトドメのひと言をプレゼント。これまでさんざん自慢話をされてきたおかげで、彼女たちの裏事情を知り尽くしていたのです。
「ご主人のお金でお茶会にショッピング、おまけにホスト遊びまで。勘違いマウントがおもしろくてずっと黙っていましたが、会社の再建のため真面目に頑張っていた社長や部下の方たちがかわいそう。これからは弊社でご活躍いただきます」
その後、私の会社は優秀な人材を得て、ますます躍進しています。
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夫の会社の経営状態も把握せずにマウンティングの連続、挙句に20人分の食事代を払わせようとするなんて傲慢にもほどがあります。他の人を勝手に格下扱いし、自分は上だといい気になっていたら天罰が下るもの。この結末は当然かもしれませんね。
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