まだ先のはずでは!?
その日は朝からなんとなくおなかが痛いなと思いながら、私は修学旅行を楽しんでいました。自由時間に友だちとはぐれてしまい困っていると、ちょうどクラスメイトのAくんと合流。2人で友だちを探しながら歩いていたときです。
Aくんが私にそっと「スカートが汚れちゃってる……」と教えてくれました。まだ生理予定日は先のはずですが、突然生理が始まってしまったのです。私は恥ずかしくて、慌てて女子トイレに駆け込みました。しかし、着替えも生理用品も持ち合わせておらず、私はひとりで途方に暮れてしまいました。
ピンチから救ってくれたのは…
しばらくトイレで固まっていると、ドアをコンコンとノックする音が聞こえ、外から「大丈夫?」と知らない女性が話しかけてきました。そして、生理用品と着替えが入った袋を渡してくれたのです。びっくりして事情を聞くと、なんとAくんからお金を渡され、生理用品と下着を買って、中にいる女の子に渡してほしいと頼まれたと言います。
女性にお礼を言い、着替えを済ませてAくんと合流して、私は何度もお礼を伝えました。彼には女きょうだいがいたようで、生理に慣れていたのだとか。ちょっぴり恥ずかしい気持ちもありましたが、彼にはとても助けられました。
なんとなくその後、気恥ずかしさもあり、Aくんとうまく話せなくなってしまった当時の私ですが、大人になってから振り返ると、彼はとてもすてきな人だったと思います。きっと彼も恥ずかしい気持ちがあったはずですが、困った私にすっと手を差し伸べてくれました。彼がしてくれたことを胸に、私も困っている人がいたら、寄り添って手助けをしたいと思っています。
著者/朝比奈洋子
作画/おみき
監修/助産師 松田玲子
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