後から来た客の態度に「?」
最奥のカウンター席に並んで座り、和やかに食事をしていた私たち。しばらくして、スーツ姿の男性が入って来たのですが……。「ナゴミさまが来てやったぞ!」と大声を出し、勝手に逆側の奥の席にドカッと腰掛けたのです。
自分を「さま呼び」し、案内される前に座り込む様子に、私は遠目ながらビックリ。「あの人、何?」と、小学生の娘でも一瞬でわかるくらいマナーのなっていない人でした。
予想通りその男性は横柄な口調で注文を始め、合間に何度も「俺はエリート銀行員だ」と繰り返しています。大将も困惑気味で、「はぁ……」と相づちを打つのが精いっぱい。
さらに、高級寿司店は初挑戦というサラリーマン風の男性2人が遠慮がちにのれんをくぐってきたのですが、この「ナゴミさま」が高笑いを始めたのです。
突然マウンティング開始
「お前たち、みすぼらしい見た目からして零細企業の底辺会社員だろ? 俺は大手銀行で何億円も動かすエリート。一流バンカーの年収を聞きたいか?」
ポカンとする2人には構わずに、ナゴミは意味不明なマウンティングを展開。ドン引きした彼らは、食事をせずにすぐ帰ってしまいました。さらにナゴミは、苦言を呈した大将にも「客に偉そうなことを言うな!」と逆ギレする始末。遠くにいた私たちのイライラも募っていきました。
小一時間ほどして先に食事を終えた私たち。ふんぞり返るナゴミの横を通り過ぎたそのとき、娘が「器の小さい人」とつぶやいたのです!
小4ながら聡明で考え方も成熟している娘はしばしば鋭い指摘をするのですが、これにナゴミは大激怒。「生意気なガキと貧乏くさい親子が高級店に来やがって……。早く帰れ!」と怒鳴っています。
しかし娘は、「あなたこそ、このお店で調子に乗って大将に迷惑かけたら大変なことになるよ? 私の顔、よーく覚えておいてね」とすまし顔。「ガキに何ができる、さっさと出ていけ!」とわめくナゴミを置いて、私たちは帰路に着きました。
小4の娘にも逆ギレ?
数日後。私たちは娘のたっての願いで、彼女の誕生日にこの高級寿司店を再訪。大将も先日のことを謝りながら、海鮮で作った誕生日プレートを用意してくれました。大好物のたまごも乗った特別メニューに娘も大喜び。ところがその瞬間、あの嫌な大声が聞こえてきて……。
娘を見るなり、「お前らまたか。貧乏人は来るなと言ったろ!」と文句を言い始めたナゴミは、誕生日プレートを目にして逆上。「ちゃちいサービスはファミレスでやれよ! 俺さまの行きつけでガキくさいことはするな」とお皿を取り上げようとし、はずみでたまごが地面に落下してしまったのです。
落ちたたまごと怒りでうち震える娘を無視したナゴミは、高飛車な態度を続けます。「こうなったら俺がこの店をプロデュースしてやるよ。そうすりゃ貧乏人お断りで繁盛間違いなしだ」
真っ青になった大将は、どこかに電話をしている娘のそばに駆けつけて悲鳴を上げました。「店舗プロデューサーならもう、ここにいらっしゃいます……!」
実はこの子…
誰のことだよ、とせせら笑うナゴミに、電話を切った娘が名刺を渡して宣言しました。
「私がここのプロデューサー兼オーナーです」
「はぁ? 何言ってるんだお前ら」
ガキのままごとだ、くだらない冗談だ、ニセの名刺まで作りやがって、とバカにするナゴミでしたが、大将も「彼女は飲食業界で名高い天才少女です。多くの飲食店のオーナー兼店舗プロデューサーとして活躍されています」と証言してくれました。
それでも信じないナゴミを前にして、娘は言い放ちました。
「さっき電話しておいたから、もうすぐ嫌でもわかるよ。今回は絶対に許せない!」
傲慢銀行員の末路
間髪おかず、ナゴミの携帯に着信が。目の前で電話を取ったナゴミは、みるみるうちに青ざめていったのです。
「支店長! は……? 今すぐ謝れ……?」
途端にしどろもどろになったナゴミ。娘は容赦なく告げました。「大将も他のお客様もお料理も大事にしない人にプロデューサーなんて務まらないし、銀行員としてもダメね。大金を預けた顧客の顔と名前くらい覚えていなさいよ」
後日ナゴミは、銀行名を振りかざした横柄な態度でさまざまな問題を起こしていたことが判明し、解雇されてしまったそうです。娘はといえば、相変わらず天才少女として辣腕(らつわん)を振るい、あの高級寿司店も大評判。これからも家族3人で、仲良く食事に行こうと思っています。
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飲食店を複数経営していて社会の一般常識もわきまえた小4の天才少女と、大手銀行に勤めていてもマウンティングばかりで傲慢(ごうまん)な大人……。なんとも情けない構図ですね。
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