ことの発端は、義父の病気でした。昨日まで元気にしていたはずなのに、急に倒れて介護が必要になってしまったのです。幸い、夫には姉がいるので2人で協力してほしいと思っていたのですがーー。
介護の大変さを実感!
腰と膝が悪い義母は、義父の介護は難しそう。ここは私と夫がやるしかないと覚悟を決め、義父母との同居を提案しました。義両親や夫は驚いていたもののとても感謝され、私たちは義実家へ移り住んだのです。
しかし、同居を始めてすぐに介護の大変さを実感した私。義母も夫も積極的に介護をしてくれましたが、どうしても負担は私に集まります。ついに体調を崩し、ダウンしてしまいました。
このままでは家族が崩壊してしまうと考えた夫は、義姉にも協力を求めることにしました。
義姉に介護を頼んだら…
義姉はかなりの変わり者。義父が倒れたというのに、一度も顔を出しません。私は馬が合わないので、できるだけ距離を置いていましたが、背に腹は代えられません。介護の手は多いほうが良いのです。
しかし期待するだけ無駄でした。義姉が手伝うワケもなく「介護なんて暇な人がすればいいのよ」といって、それ以来電話に出なくなったようです。
義姉のことは諦め、ときにはプロの手を借りながらも義母や夫と介護を続けましたが、退院してから1年も経たずに義父は天国へと旅立ちました。
義父の葬儀
それまで知らんぷりだった義姉も、義父が亡くなったと聞きつけて葬儀にやってきました。葬儀が終わるとひと言。「遺産について話しましょう!」と張り切った様子。義姉は義父が遺した遺産だけが目当てだったのです。
それから、義母と夫、義姉夫婦が遺産の話を始めると、すぐに私も来るように呼ばれました。どうやら義父は私にも遺産を遺してくれたようです。夫と義姉でわけるはずだった財産は、夫・私・義姉の3人でわけるよう、遺言書に遺されていました。
それを知った義姉は「この人、他人なのに?」と不服そう。しかし義母や親族は「義父の介護をしたのだから……」と声をかけてくれたので、私はありがたく受け取ることにしました。
遺産をアテにして…
しかしそれに納得がいかないのは義姉夫婦です。「それは困る!!! だって、この遺産をアテにして……」と義兄が話し始めたところで、慌てて義姉が口を押さえました。
「どういうこと?」と義母がキツく問い詰めると、義姉は観念して、義父が倒れたと聞いたときに遺産が入ると見込んで新築の家を購入したと告白。「遺産がないとお金が払えないから辞退してくれ」と土下座して頼み込んできました。
プライドが高い義姉が土下座なんてよほどのことだと思ったものの、義父が倒れて悲しんでいるときに、そんなことを考えていたなんで許せません。義姉がどうなろうと私には関係ないので、しっかりと遺産は受け取ることにしたのでした。
その後、私は義父の遺産で介護の勉強をしに専門学校に入学しました。いつか来るであろう義母の介護に備えて勉強するのはもちろん、世の中の介護を必要とする人の役に立てると嬉しいです。
実の父が倒れたとき、すぐに遺産が思い浮かんだ義姉。お金が手に入る日を今か今かと待っていたのでしょうか……。遺産を受け取るのは子どもの権利とはいえ、義父の人生にも最期まで寄り添ってほしかったですね。