母はご近所のお嫁さんたちを引き合いに出しては、弟嫁の悪口をいつも言っていました。母は弟嫁から面と向かってきらいと言われたそうで……。その気持もわからなくはないのですが、すこし言いすぎかなと思っていました。
私としてはなるべく仲良くしたいと思っていましたが、私も同様に嫌われているようなので、なかなか一歩踏み出せませんでした。
思い切って弟嫁を誘ってみたところ…
久しぶりに親族が勢ぞろいする食事会の日。案の定、弟嫁は欠席。答えはわかっていたけれど、母は一応誘ってみたのだとか。ただ冷たくあしらわれたそうで、もう気を遣うのはやめると言っていました。
私は弟の歴代の彼女を知っていますが、いつも気の良い子ばかりだったため、弟がまさかそんな感じの人を奥さんに選ぶなんて思っていませんでした。私は「何か理由があるのではないか」と思うようになり、思い切って誘うことに。
「そんなにうちの家族きらい?」
「たまには食事でも行こうよ」
なるべく明るく、ちょっと冗談を交えながら私が誘うと、弟嫁は驚いた様子で自分も行っていいのかと聞いてきたのです。その反応に私も驚き、そしてふと嫌な予感がしました。
「え、でも嫁はダメだとお義母さんが……」
「え……?」
いざ、鬼退治!
よくよく話を聞いてみると、すべて母のウソだったことが判明。親族みんなから嫌われていると吹き込まれていた弟嫁は、結婚してから今までずっと不安だったそうです。母は、私が離婚してほしいと言っているとまで伝えていたそうで……。本当にかわいそうなことをしてしまったと思いました。
丁寧に誤解を解き、私たちは和解できましたが、私は母の態度にはかなり腹が立っていました。そこで私は弟嫁が母を気にすることなく、親族の集まりに参加できるようにしたのです。
私はその後、母に連絡。親族の集まりの会に、母は参加できなくなったと伝えたのです。母の弟嫁に対する態度を知った親族一同がそれを望んでいると言うと、鼻で笑っているようでした。さらに自分抜きで会がうまく行くことはないと高をくくった様子。ただ行っても追い返されると知った母は、結局会場のレストランには現れませんでした。
その日の食事会は、大盛りあがり。弟嫁はみんなに大歓迎され、母の不在はとても喜ばれました。空気が読めず、人の悪口ばかり言う母は、じつは親族中からうんざりされる存在だったのです。ずっと気を遣われていることに気づかず、自分がみんなを取りまとめているボスだと勘違いし、勝手に気を良くしていたのでしょう。
自業自得もさまざまで…
それにしても、鬼嫁ではなく鬼義母の問題だったとは……。私も真実を知った弟も、かなり失望しました。家族だからと母の性格をこれまで受け流してきてしまったのも、良くなかったと思い、これを機に私たちきょうだいは母との今後の付き合いを考えることにしました。
母は弟嫁に自分の居場所を奪われたと激怒していましたが、自分の誤った言動で居場所を捨てることになったことに気づくべきで、弟嫁は何も関係ありません。すべて母のせい、自業自得なのです。
案の定、母が泣いて謝ったところで弟夫婦からの許しはありませんでした。どの親族に愚痴をこぼしても、「あなたが悪い」 の一点張りで、取り付く島もありません。そこでやっと、自分の状況が身にしみてわかったようでした。
この事件以降、私は弟嫁と頻繁に交流するようになりました。弟嫁はとても良い子で、こんなことならもっと早く行動すべきだった、仲良くしたかったと後悔しています。これからゆっくり、今までの埋め合わせができたらと思っているところです。
せっかく家族になったのならば、仲良くしたいですよね。ただ義母から「親族みんなから嫌われている」ということを告げられては、弟嫁が行けなくなってしまうのも無理はありません。今回は義姉が勇気を振り絞って、弟嫁に連絡したことがきっかけで事態が判明しました。他人からの話を鵜呑みにするのではなく、自らの目で確かめることも必要ですね。