トラブルに巻き込まれるのは嫌なので、金髪男性がコンビニにいる日は泣く泣くお菓子を買わずに帰るのですがーー。
金髪男性に話しかけられた!
それから数日後、散歩にでかけた私たちは、またしてもコンビニの前で金髪男性を見かけました。「今日もお菓子は買えないな……」と、彼に目線を向けると、一瞬だけ目が合ってしまいます。
ヤバイ! と思ったその瞬間「おい……」と金髪男性に声をかけられました。
金髪男性の目線の先には娘がいます。何かされるかもしれないと思った私は、無我夢中で走って逃げました。背後から何か叫ぶ声が聞こえたような気もしましたが、すっかり怯えた私の耳には届きません。
なんとか家にたどり着いたときは、子どもを守れた安堵感でその場にへたりこんでしまいました。
金髪男性がわが家に!?
その夜のこと。家族で夕飯を食べていると、インターホンがなりました。モニターを見ると、コンビニの金髪男性。まさか、私が逃げたのを根に持っているのでしょうか。
私が怯えていると、モニターを覗き込んだ夫が「娘の友だち?」と言います。夫の言うことが理解できず、もう一度男性に目をやると、背中に赤ちゃんをおんぶしていました。
恐る恐る出てみると、男性は「この子のお世話って何をすればいいのか教えてほしいんだけど……」とポツリと言いました。男性はパパになったものの、どうしても赤ちゃんとの生活に慣れず、泣き出すたびにコンビニに逃げていたそう。
しかし、ワンオペで育児を頑張ってくれた奥さんが過労で倒れて入院してしまい、赤ちゃんと2人で取り残されてしまったと話します。まわりに頼れる人もおらず、どうしていいのかわからないと途方に暮れていたところ、子連れの私を発見し助けを求めたというのです。
みるみるうちにイクメンに!
その話を聞いて、私と夫は男性に協力することを決めました。ミルクの作り方やおむつの替え方、お風呂に入れるコツはもちろん、掃除や洗濯、食事作りなど、私たちが丁寧に教えると、男性はみるみるうちに習得。数日で見違えるようになりました。
それからほどなくして、奥さんが無事に退院。きれいに片付いている家で、男性の作るおいしい料理を食べて、その変身ぶりに感動していたと聞きました。家にやってきたときは何をされるかと思って怖かったけれど、門前払いしなくてよかったと、心から思ったのでした。
赤ちゃんのお世話から金髪男性が逃げていたのは、何をすればいいのかわからなかったのかもしれません。これからは夫婦で力を合わせて子育てしてほしいですね。