しかし、そんな幸せな日々は急に終わりを迎えてしまいました。なんと妻が事故で急死してしまったのです……。
妻を失い、娘のために奮闘する日々
妻の死から1カ月後、私は娘のためにも仕事・家事・育児を全力でしようと奮闘していました。しかし、家事はほとんど妻に任せていたため、洗濯機の使い方もままならない状態でした。
仕事も忙しい時期のため、娘を保育園にお迎えに行くのもいつも閉園ギリギリ。娘には寂しい思いをさせてしまっていました。
特に大変なのが料理。料理本を買い込んでみたものの書いてある内容すらわからなくて失敗ばかり。焼き魚すら上手にできず、娘の食事はふりかけご飯やスーパーの総菜で済ます日々でした。
部長から、時短勤務の提案が
プライベートが大変な状況だったため、仕事にも全力で取り組めずにミスが増えていきました。
すると部長に呼び出され、「奥様を亡くされてから、あなたが家事や育児を頑張ってのんでしょ? 会社は私や他の人がフォローできるんだから、あなたは娘さんを優先させるべきよ。今の生活に慣れるまで、しばらく時短勤務にしてみるのはどう?」と提案してくれました。
部長が仕事の割り振りを考え直してくれたおかげで、私は時短勤務ができるようになり、娘との時間を確保することができました。部長には感謝しかありません。
親子遠足はお弁当持参!?
そんなある日、娘が保育園からのお手紙を渡してきました。読んでみると、もうすぐ親子遠足があるとのこと。そして遠足にはお弁当が要ると書かれていました。
せっかくの遠足なのに、コンビニのお弁当では娘がかわいそうだと思った私は、遠足までにお弁当作りを特訓することにしました。
翌日張り切ってお弁当作りの練習を開始しましたが、肉が黒焦げに。捨てるのはもったいないのでお弁当箱に詰めて会社に持って行ったところ、同僚に「マズそうな弁当だなー!」と笑われてしまいました。
同僚は部長にも見られてしまい、「あはは……〇日に娘の遠足があるんですけど、料理が全然ダメでして……」と苦笑いするしかありませんでした。
遠足当日、玄関の前に……
そしてついに保育園の親子遠足の日。私は休暇をもらって娘と遠足に行く準備をしていました。もちろんお弁当は諦め、コンビニで買う予定でした。
すると突然部長から「今日遠足だよね? 住所教えてもらえる?」と連絡がありました。その後、お弁当を持った部長が現れたのです。
「今日は遠足でしょ? 色合いも栄養バランスもこれくらいのお弁当を作りなさい!」と手作りお弁当を持ってきてくれました。娘もおいしそうなお弁当を見て大喜び! その日、私たちは心から親子遠足を楽しむことができました。
新しい一歩を踏み出して
お弁当のお礼を兼ねて、娘と部長と3人で食事をしたことがきっかけで、プライベートでも会うようになり、その後お付き合いすることに。部長も何かと娘のことを気にかけてくれ、娘も部長のことが大好きな様子です。私たちは妻の思い出を大切にしながらも、新しい生活へと踏み出そうということになりました。
妻を一生忘れることはありません。しかし、今の私や娘と一緒に歩んでくれる人がいることはありがたいこと。これからも天国の妻に安心してもらえるよう、今の幸せを大切に日々過ごしていこうと思います。