勝っているときは気が大きくなり、マイナスが続くと私に当たり散らす夫。もっと勝って豪遊させてやると言いますが、私は夫婦2人でつつましく、小さな幸せを楽しめる時間さえあればそれでよかったのです。
最近は外食続きで、毎晩飲酒。先日の健康診断であまり良くない結果が出ていたので、たまには家でゆっくりご飯を食べてほしいと思っていました。
崩壊への序曲
ついに恐れていたことが起こりました。夫が生活費に手を出し始めたのです。それは絶対にやらないと約束していたはずなのに、夫は投資に一喜一憂、左右され、冷静な判断が取れるとは思えない状況でした。
夫の場合もう投資ではなく、ギャンブルになってしまっていたのです。稼ぎのない専業主婦の私にはお金のことをあれこれ言われたくないらしく、二度と口を出すな、指図するなと怒鳴り散らされる始末。
そもそも専業主婦になるよう私に求めたのは、夫。それなのに、今になって稼ぎがないことを指摘されるとは、とても心外でした。挙げ句、専業主婦は旦那さまに尽くして当然、黙って家事をして感謝して生きろと言われ、許すことができず、私は心を決めました。
ついに切られた火蓋
ある日、夫からメッセージが届きました。帰るコールのつもりらしいですが、まるで命令。
「おかずは5品以上、風呂掃除もやっとけよ」
「それがお前の役目だからな」
「あんた、誰に物言ってんの?」
「は? なんだお前」
返事をしたのは、私の隣にいる義母。実はすこし前から離婚の相談をしていたのです。今日も義実家でその話をしていたのですが、タイミング良く夫から連絡が来まして……。
私たち夫婦のメッセージ履歴を、義母にはすでにくまなくチェックしてもらっており、そのためもう黙ってはいられないと思ったのでしょう。それに夫は、私の手術代と言って義父母から借金までしていたのです。うそをついて借りたお金を投資につぎ込んだと知った義母は、カンカンでした。
その義母は離婚に賛成しており、息子である夫には今までの行動を反省してほしい、妻の私をどれだけ傷つけてきたか考えてほしいと、夫にしっかり叱ってくれました。「主婦は家政婦じゃないのよ、家事だけしてもらいたかったら本職の人を頼みなさい」 そう言ってくれたときには、本当に胸がすっとしました。
やや後味の悪いフィナーレですが…
夫との話し合いは、難航を極めました。なにせ投資の勝ち負けに合わせ、その都度発言が変わるのです。勝っていれば離婚にはあっさり同意するのですが、これは自分の金だと財産分与をしぶり……。負けが続けば借金がかさむので、返済金目当てで復縁を迫ってきたのです。
私は夫とやり直すつもりがなく、このまま離婚届にサインがもらえないなら離婚調停の準備をしようと思っていました。しかし義母が介入してくれたおかげで、なんとかその前に離婚が成立。
元夫は結局自己破産し、両親には今まで買い求めてきた金目の品々を取り上げられました。それらを換金することで、義父母はだまされて渡したお金を無事取り戻せたと言います。それを聞いて、私もほっとしました。
自己破産後私は元夫から謝罪を受けましたが、その際また復縁を迫られ……。まだ人を頼ろうとしているのが見え見えでしたから。夫の本性を知った今は、離婚できて本当に良かったと心から思います。
義母の紹介で仕事を再開した私は、充実した毎日を過ごしています。それに投資を学ぶスクールにも通い始めました。投資は、やる人を選ぶ資産の増やし方だと思います。私たち家族は投資に振り回されましたが、決して投資自体が悪いわけではありません。夫には合わない方法でしたが、私はしっかり勉強して、身の丈に合った投資をマイペースにやっていこうと思います。
投資は資産を増やす一つの方法でもありますよね。ただ、それで資産を溶かしてしまっては本末転倒。夫はお金も家族も失ってしまいました。身近な幸せに感謝できるように生きていきたいですね。