そもそも貧血とは?
体内の酸素が不足してしまう状態
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準 2020年版』によれば、体の代謝によって女性では約0.8mgの鉄を1日に損失しており、月経中は1日あたりに換算するとさらに約0.5mgの鉄を損失するとされています。1日に推奨摂取量は、月経中の女性では10.5mg、月経のない時期の女性で6.5mgですが、日本女性は必要量の6割も摂取できていないといいます。
鉄分不足となると思い浮かぶのが貧血ですが、そもそも貧血とはどんな状態のことをいうのでしょうか。
「貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低下した状態をいいます。ヘモグロビンは酸素を全身に運搬していますが、体内に含まれる鉄が減少してしまうと、ヘモグロビンも減り、酸素を全身に運搬する能力が低下してしまうのです。
その結果、体内の酸素不足から疲労感、頭痛、息切れ、めまい、立ちくらみなどの症状が出やすくなります」(黒田先生)。
鉄分不足は貧血以外にも影響がある?
コラーゲン不足の原因にも
「アンチエイジングの観点から見ても鉄分はとても大切な成分です。なぜなら、鉄分はコラーゲン生成に関わるからです。鉄分が不足すればコラーゲンも不足します。
コラーゲンはご存じの通り、肌のハリや弾力を保ったり、髪のツヤを保つなど美容のためには欠かせない成分です。紫外線対策が不十分だとシワやシミ、たるみなどの肌トラブルを悪化させる原因となります。
また、コラーゲンは美容だけでなく健康面でも重要な成分です。軟骨や関節、骨、血管をはじめ、あらゆる臓器の健康を保つために欠かせない成分です。
鉄分は貧血予防というだけでなく、コラーゲン不足予防のためにも意識したい成分です」(黒田先生)。
効果的に鉄分を摂取するには?
食品からの鉄吸収率は、実は低い
鉄分を効果的に摂取する方法はありますか?
「まず食事から考えると、食品中に含まれる鉄には『ヘム鉄』と『非ヘム鉄』の2種類があります。
ヘム鉄が豊富に含まれる食品はレバーや赤肉、赤身の魚(かつお、まぐろ)など。一方、非ヘム鉄は葉野菜や大豆製品、卵、牛乳、ひじき、貝類などです。
しかし、体内での吸収率は『ヘム鉄』で25%ほど、『非ヘム鉄』で3~5%といわれ、毎日の食事からとれる鉄の吸収率は15%ほどと低いものです。
ですから、バランスの良い食事をとりながら、サプリメントで補給するのが良いと思います。私も吸収率の良いヘム鉄をサプリメントで補給しています。
なお、貧血予防の観点では、鉄とビタミンCはセットでとると効果的です。ビタミンCはヘモグロビンなどの材料になり、鉄の吸収を高めてくれます。
逆に、お茶に含まれるタンニンや玄米に含まれるフィチン酸、食物繊維は鉄の吸収を弱めるという研究結果があります」(黒田先生)。
鉄のとり過ぎにも注意が必要
食品からとれる鉄分が少ない、というならたくさんサプリメントで鉄を補給するのが良いのでしょうか。
「実は、鉄はとり過ぎに注意が必要な成分です。腸内環境が乱れている人が鉄をとり過ぎるとさらに悪化する恐れがあります。腸内環境を乱す原因となるカンジダ菌は鉄を餌に増える真菌だからです。カンジダ菌が増殖すると腸内環境が悪化して下痢や便秘はもちろん、さまざまな体調不良の原因となることがあります」(黒田先生)。
黒田先生のクリニックでは、検査で鉄分不足が見られても腸内環境が良くない場合は鉄剤は処方しないと言います。
まとめ
鉄分不足の弊害=貧血は思いつきますが、まさかコラーゲン不足の原因になるとは。加齢とともに減少しているコラーゲンを、これ以上減らすのは避けたいですよね! 貧血傾向にある人も、そうでない人も40代・50代なら鉄は必須の栄養と言えそうです。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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取材・文/mido
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。