準備は万全! 順調だった水中出産
産院でイギリスでは約70%の妊婦が無痛分娩を選ぶと言われたものの、私は普通分娩を希望。また、バスタブでリラックスして出産できると助産師さんにすすめられ、水中出産を選びました。
当時、身近に水中出産をした知人はいませんでしたが、産院での事前セミナーに出たり、助産師さんからもらった本を読んだりと、準備は万全。
いざ当日、お産は泣くほど苦しかったですが、水中出産自体はスムーズに進みました。無事に赤ちゃんも取り上げてもらい、私はこのまま何事もなく出産を終えられるかなと思っていたときです。
え! このへその緒は!?
出産では、赤ちゃんが出たあと胎盤を出すことは知っていました。しかし、バスタブの外にいる助産師さんから「次は胎盤を出すから、バスタブを出てそこのベッドに移動してね」と言われると、ある疑問が。
赤ちゃん側のへその緒は処置済みですが、私の胎盤に繋がっているへその緒は、まだぶらんと出たままだったのです。私が「このへその緒はどうするの?」と聞き返すと、当然のように「持ってきてね」と答えた助産師さん。
内心「え!?」と思いましたが、私は仕方なく、50cm近くあるへその緒を自分で持ち、大きなバスタブをまたいでベッドへ移動しました。移動中、へその緒を持って歩く自分自身を思うと、私は堪えきれず吹き出してしまったのでした。
私の初出産は、陣痛と出産の苦しさで泣き、自分のへその緒をもって歩いてつい笑ってしまうという、まさに涙と笑いの水中出産でした。どんなに準備万全だと思っても、出産では予想外のことが起こるんだと身をもって学んだ出来事となりました。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/森田家
著者:濱田よし
2014年イギリス生まれの長男、2018年日本生まれの長女と2021年アメリカ生まれの次女、夫の5人家族。夫の海外転勤による約10年の海外生活を経て日本に帰国。