仲良し夫婦の私たちの間に障害があるとすれば、それはたった1つ。義母の存在でした。夫には心配をかけたくなくて、ずっと秘密にしているのですが、私は結婚当初から、ずっと義母からいびられ続けていました。
たまに夫が家にいないときにうちに来て、家事にケチをつけられたり、嫌味を言われたり。私が作った料理を捨てられたこともありますし、とにかくいろいろなことをされてきました。義母は私のことが、とにかく気に入らないようでした。
私、死んだの!?
夫が九州に出張していたある日。「寂しいなぁ」と思っていたら、夫からメッセージを着信。メッセージを開くと……。
「なぁ、返事してくれよ」
「もうお前がこの世にいないなんてうそだろ……」
何のことやら、私にはさっぱりわかりませんでした。
「は? 誰が?」
「え?」
どうやら夫は、義母から私が仕事中事故にあって亡くなったと聞かされたそうなのです。しかもうちの両親から「お葬式に出ることも、遺品を整理するまで自宅に帰ることも拒否されている」と聞いたとか。夫は実の息子のようにかわいがられているので、そんなこと絶対言われるはずがないのですが……。
義母はとにかく私のことがきらいなので、どうにかして夫との仲を引き裂こうとしたのでしょうが、まさかこんな手を使ってくるとは夢にも思いませんでした。
この機会に、夫には今まで内緒にしてきた嫁いびりの件を伝えておきました。夫はようやく、義母の息子を独占したいという気持ちに気づいたよう。
しかし、この嘘はいつまでも突き通せるものではありません。夫が出張から帰ってこないことに私が気づいたとき、義母はどうするつもりなのでしょうか。疑問に思った私は「すこし泳がせよう」と夫と相談して決めました。
今度は、夫が私と別れたい?
その翌日。義母は早速私に連絡してきました。息子が別れたいと言っているので、預かっている離婚届に判を押してほしいと言うのです。それを私の隣で聞いていた夫は、烈火のごとく怒りました。私の存在を葬り去ろうとし、ありもしない離婚話をでっち上げ、夫の代わりに離婚届を記入していたのですから、夫が怒るのも無理はありません。
義母は息子にしかられると、ありもしないことをでっち上げ始め……。自分の嫁いびりを棚に上げて、私が義母の悪口を言ったとか、家事を押し付けたとか、言いたい放題でした。さらには「私と別れたほうがいい、それがあなたのためなのよ」と自分の正義を必死に振りかざす義母。
夫は「自分の愛する人をひどく言うのは許せない」と私を守り抜くことを義母に宣言。実の親でも容赦しないと息巻きました。夫は「警察に被害届を出す」「慰謝料を請求する」などといって、義母を追い詰めていきました。
義母との絶縁を考える夫に、「息子が結婚してしまって寂しかった」「取り戻したかった」「ひとりにしないで」と泣きついた義母ですが、もう相手にされることはありませんでした。自分たちには二度と関わらないでくれと、夫は強い意思を示しました。
愛する人を守るために…
義母はすぐに私たちの家へやってきて、土下座をし、謝罪。しかし夫の怒りはそれでも収まらず、義母を追い出し、先の決意通り絶縁したのです。
去っていく義母の後ろ姿を悲しげに見つめる夫の目が、私は忘れられません。その後の親戚の方の話では、義母は意気消沈しているとのこと。夫は「自業自得だ」と言っていましたが、なんだか複雑な気持ちになりました。
そして、夫は最近転職をしました。できるだけ私と一緒にいたいと願い、出張の少ない仕事に変えたのです。こんなに思われて、私は本当に幸せものですね。
大切な息子が離れてしまい寂しい気持ちを持つのはわかりますが、それは嫁を攻撃してもいいという理由にはなりません。嫁と仲良くとまでは言わずとも、普通に接していれば、大好きな息子に絶縁をされることもなかったと考えると悲しいですよね。また、実の母が愛する人を傷つけていたと知った夫も相当ショックだったのではないでしょうか。憎しみは誰も幸せにしません。すぐに立ち直ることは難しいかもしれませんが、2人で支えあって幸せな道を歩んでいってほしいですね。