人工膝関節手術を受けた義母、病院ではリハビリ優等生
膝関節に痛みを抱えていた義母が、転倒して膝を強打し、入院して人工膝関節手術を受けることになりました。ちょうど新型コロナやインフルエンザなど感染症への対策で、面会は不可でしたが、義母はスマホのメッセージアプリが使えるので、手術後落ち着くと、リハビリから食事の内容まで入院生活の様子を毎日のように伝えてきました。
「今日から歩行器。自分でトイレに行ける。うれしいわぁ」
「食事は全部食べるようにしているよ。食べましたかって毎回聞かれるからね。今日も完食」
術後の痛みは少なく元気な様子のメッセージに、私もひと安心していました。しかし、時折、勝気な性分の義母が頑張り過ぎているのではと感じることも。
「いつも看護師さんに、リハビリの進みが早いと褒められたよ」
「毎朝一番にリハビリ室に行くようにしていたら、療法士さんから○○さんは優等生ですねと褒められたわ」
「同室のあの人は私より先に同じ手術したけれど寝てばかり。私、あの人には勝てそうやわ」
褒められ、優越感を覚え、義母のリハビリ熱は加速。通常のリハビリメニュー以外に、できる限り通路を歩き回る、夜中もベッドの上でマッサージをするなど我流のリハビリにも励んでいるようでした。
ただ病院内でもあるし、そう危険はないだろうと思い、私からは「ほどほどに頑張ってくださいね」とだけ返信していました。
思うように頑張れない義母、いら立ちが発生
入院から1カ月半後の退院時、義母が医師から受けたアドバイスは、「あまり頑張り過ぎないこと。ゆっくり休みを取りながらおこなってくださいね」というものでした。頑張りたい義母は不満そうな顔でしたが、私は適切なアドバイスだと感じました。言われなければきっと家に帰ってから義母は我流のリハビリに精を出していたはずです。
退院後の義母は、リハビリメニューの通り、つえを使いながらの短いウォーキングと部屋の片づけをする以外は、居間の座椅子でテレビを見て過ごしました。義母は「動けると思ったけれど、家に帰ると意外と動けないものねぇ」と、気を落としていました。そのころ、手術した足が紫色に腫れ、痛がることも度々ありました。
退院1週間後の診察で、医師は表情を曇らせました。「手術した足の静脈が細くなっている。血栓ができやすい状態、いわゆるエコノミー症候群の可能性が高いですね。ちゃんと休んでいますか?」と、義母は良くない状態だと告げられて、いら立ちました。
「先生に言われた通り休んでいますよ! これ以上どう休んだら良いのですか?」
「休むときは、横になって足を上げてください。足の下に何か添えて」
「じゃあ、座ってテレビを見るとき、足を何か台の上に置けば良いのね?」
「いいえ、心臓より足が高い位置でないと意味がない、必ず横になって寝てください」
そんなやりとりで、退院後1回目の診察が終わりました。
言い換えアドバイスで前向きな変化が
リハビリを頑張りたいのに「寝てください」と言われ、義母は困惑していました。「私はあまり寝ないんよ」と、寝る時間が短いことを自慢にしていた義母です。昼寝の習慣もなく、日中に横になることにとても抵抗があるようでした。座ってウトウトする姿も見せたくない人なのです。
「横になって休んでください」と言われても「私は平気だから」と聞く耳を持ってくれませんでした。しかしこのままではいつ血栓ができて命に関わるかわかりません。考えた末、言い方を変えて提案してみました。
「お義母さん、横になって足を上げた状態でおこなう運動の時間を作ってみたらどうですか? こんなふうにベッドに寝転んで、足の下に畳んだ布団を置いて、20分間、手指の運動をしましょう」と、まず私が寝転んで実践。横になって、畳んだ布団の上に足を乗せた状態で、指のグーパー体操やゴムボールを握って見せました。
「運動になるかどうか試してみては?」と言うと、義母は「なるほどねぇ」とまんざらでもない表情。私は提案だけして、いったん外出しました。帰ると、すぐ義母が声を掛けてきました。「試してみたら、足がラクになる感じだったわ。このごろ手指の力がなくなってきたのも気になっていたから、3時間おきぐらいにおこなってみようかしら?」。私は、やった! と思いました。
まとめ
「寝る」という言葉を使わず、「運動」という言葉を入れたことで、義母のやる気にマッチしたようです。足の腫れも治まり、次の診察時には医師から「上等! 良い状態になりました」とのお言葉をいただきました。「先生の言いつけをきちんと守って、毎日3時間おきに必ず足を上げる運動をしているんですよ、私」と、義母は優等生に戻れた気分なのか、誇らしげに話していました。症状に応じたリハビリと、高齢者本人の気持ちや個性に寄り沿うような言葉掛けが大切だと感じた体験でした。
【★GW限定★】アンケートに答えるだけ!
▶︎▶︎▶︎抽選でアマギフ1000円分が当たる!『推しマンガアンケート』実施中!
ベビーカレンダーではGW期間中、『ベビカレマンガフェス』を開催中!
そこで今回、ベビーカレンダーで配信したマンガ記事のなかから、4/28(日)〜5/12(日)の間でみんなの「推しマンガ」を大調査! なんと抽選で30名様にAmazonギフト券1000円分が当たります! ぜひご応募してみてくださいね♪
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
文/あさみ
シニアカレンダー編集部
「人生100年時代」を、自分らしく元気に過ごしたいと願うシニア世代に有益な情報を提供していきます!