あいさつの場で追い出され…
私の婚約者の家は、曽祖父の代からずっと医者。1人娘の彼女も子どものころから、医者になるべく育てられてきたのだとか。特に義母は家系にこだわり、娘婿にも医者を希望しているそうなのです。
「え、俺、ただの会社員だよ」と心配になったのですが、彼女は、「私は医者になってやったんだから、もういいでしょ。自分で選んだ結婚相手の職業くらい妥協させる! ただ、申し訳ないけれど、顔合わせで失礼なことを言うかも……」と言います。
「お義母さんは、変な男に引っかからないか心配なんだよ」と返したのですが……。
数日後の顔合わせにて。家に上がり、あいさつを済ませるやいなや、なんと私は彼女の母親に追い出されてしまったのです。仕方なく、母親をなだめるため実家に残った婚約者にメッセージを送信しました。
「俺だけ追い出された……。お義母さん、俺のことを『中卒底辺』って言っていたよね?」
「ごめん……。母がおいっ子にお小遣いを渡してあなたのことを調べさせたらしくて。学歴の記録が中学卒業までしか出てこなかったんだって……」
なるほど、そういうことなら、それはたしかに事実です。「人にはいろいろ事情があるし、学歴なんて関係ない。なのに全然話を聞いてくれなくて、もうお母さんとの和解は無理……」と嘆く彼女に、私は時間をかけて説明すると約束しました。
聞く耳持たずの義母
その翌日、1人で憤慨している義母から、怒りのメッセージが送られてきたのです。
「中卒のくせにうちの娘と結婚なんて許さないわ!」
「うちは医師家系なのよ?!」
「確かに中卒ですね」
「日本では」
説明もさせてもらえない剣幕に、私は淡々と答えるしかありませんでした。義母は一瞬ひるんだ様子。そう、父の海外赴任についていった私は、アメリカで高校と大学に通っていたのです。日本の学歴が中学校で終わっていたのはそのため。「今は外資系企業で働いています。ちなみに年収を気になさるなら、1000万を超えています」
義母からの返信が途絶えたので、私はもうひと言付け加えることに。
「さらについでに、俺の父はアメリカで外科医をしています。日本の医大にも客員教授として呼ばれるなど、業界ではかなり知られている存在です」
正体を知ると?
数分して、どうやら私の父やアメリカでの私の学歴をネットで調べたらしい義母から、謝罪のメッセージが連打されてきました。しかし私は、人の話を聞かず、学歴主義で他者を見下し、こちらの正体がわかると手のひらを返すその態度そのものが解せません。
「お義母さんから学歴で罵倒されたことは、父にも伝えておきました。実はお嬢さんも、母親の存在が苦痛で仕方なかったと言っています。彼女が本当は、医者ではなく漫画家になりたかったのをご存じですか? 俺と結婚したら医者をやめ、夢を実現させるために頑張るといっています」
その後義母は、泣いて娘に謝ったようですが、今を逃して母の呪縛からは逃れられない、と彼女も覚悟を決めた様子。義父は理解を示し、私たちの結婚を祝福してくれましたが、義母は「漫画家なんてあり得ない!」と姿勢を崩しません。結局、挙式に義母を招待することはありませんでした。
これからは、母親の自己満足をかなえるために苦労してきた彼女を支えながら、2人が本当に和解できる日が来ることを祈っています。
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学歴主義や家系重視の度が過ぎて、娘に自分の希望を押し付けたり他人をバカにしたりなど、もってのほかです。結果、疎遠になってしまいましたが、いつか義母が心を入れ替えて、真の意味で仲直りができるといいですね。
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