治療を頑張ったものの、義父は他界。葬儀の準備を始めたところで、やっと義姉が顔を出しました。
喪主は義姉!?
義姉とは結婚当初から折り合いがわるく、正直すこし苦手な存在です。夫との仲もいいとは言えず、日頃の交流は皆無でした。
葬儀社は手配済みだと義姉。義父を亡くしたショックを受けていたので、義姉が手伝ってくれてとても助かりました。
しかし、話を聞いてびっくり。長男であり義父のお世話をしていた夫が喪主になると思っていたのですが、義姉が喪主として葬儀を取り仕切ると言うのです。
もちろん夫は勝手な行動に不満を抱いていましたが、ここで争っても仕方がないと言い、義姉の好きなようにさせることにしました。
義父の葬儀で…
葬儀当日は、私の家族も駆け付けてくれました。しかし席に着こうとすると「待ちなさい!」と、すごい形相で義姉が制するのです。
「お金のにおいを嗅ぎつけて来たのね! 財産狙いの貧乏義家族の席はありません!」とまくしたてる義姉。あまりの勢いに、私たちは席に座るのをやめ、立ち尽くしてしまいました。
そこまで言われてまで参列する義理はありません。両親が「帰ろうか」と目配せしたところで、兄が口を開きました。
異様な姿
「席がないなら、立ってお別れを言えばいいんじゃない?」兄はそう言うと、親族席の横の壁際に向かいました。私や両親もそれに続きます。
人が集まるにつれて私たちの異様な姿は目立ち始め、葬儀社の方にも座るように促されましたが、喪主の意向だと伝えて立ち続けました。義父を送り出したい気持ちがあったので、仕方がなかったのです。
そのまま葬儀は終了。それから一週間ほどが経ったころ、義姉がわが家にやってきました。ひと目見て怒っているのがわかります。
話を聞くと、私たちのせいでプロジェクトリーダーからおろされたとのこと。どうやら葬儀当日に「なぜ立っているのか?」と聞かれて一部始終を説明した男性は、義姉の上司だったよう。そんな非常識な人間にプロジェクトは任せられないと判断したのでしょう。
義姉の迎えた末路
義姉は憤慨して仕事を辞めたそう。「どうせパパの遺産で暮らすつもりだったから、いいけどね!」と吐き捨てました。
「仕事を辞めることになった責任を取れ」と、義姉は夫に遺産を放棄するよう言います。夫はその申し出を承諾し、義姉の言うとおり書類にサインをしました。それを見届けた義姉は、満面の笑みを浮かべています。
「私はこれで悠々自適な生活だけど、貧乏だからって恨まないでね!」義姉はドヤ顔。そこで私は、義姉が何か勘違いしているようなので、本当のことを教えてあげました。
義父は高給取りだったものの、それをアテにした義母が散財した結果、義父に残ったのは借金だけ。義父は包み隠さず話してくれていましたが、何年も会いにこなかった義姉は、話を聞くチャンスを逃したのでしょう。
義姉は魂が抜けたような顔をして帰っていきました。もう働かなくていい!と思っていたはずなので、あまりの急転直下に頭がついていかないのかもしれません。新しい仕事を見つけて、コツコツ暮らしてほしいと願うばかりです。
どれもすべて自分のおこないが引き起こしたこと。せめて、故人を偲ぶ気持ちがあれば、結果は違っていたかもしれませんね。