2年連続で慢性胃炎の診断…血液検査をすると
53歳の私は、今まで大病を患ったこともなく、年に1回の健康診断のみ受けていました。すると、2年連続で慢性胃炎の知らせが。体に異変や不調はなかったものの、胃に何かしらの異常があると判明したのです。気になったので、内科のかかりつけ医を受診すると、医師から血液検査をすすめられました。すると、なんと胃の中に「ピロリ菌」という名の菌がいることが判明! そして、「ピロリ菌感染が原因で、慢性胃炎になっているだろう」と診断されました。
ピロリ菌とは、幼少期の衛生環境が良くなかった時代に感染している人が多く、現代では感染者数が低下している菌だそうです。ピロリ菌に感染しても自覚症状はない人も多いらしく、私自身もほとんど胃に不調を感じませんでした。「たま~に胃がもたれることがあるかな?」といった程度でほとんど無症状。
しかし、このままピロリ菌を胃の中に保菌し続けると、「今後、胃がんの発生リスクが高まる可能性がある」と告げられたのです。「がん」というワードを耳にした私は、すぐにでもピロリ菌の除菌治療を開始したいと希望。するとピロリ菌の除菌を保険適用にするためには「胃カメラ内視鏡による検査」が必要というので、早速胃カメラ内視鏡を受けることにしました。
ピロリ菌の除菌は成功!親にも可能性が?
内視鏡検査をおこなった結果、保険適用でピロリ菌の除菌が受けられることに。ピロリ菌の除菌方法は、除菌薬の服用でした。1週間毎食後欠かさず薬を飲み続けて、再び病院で呼気検査をしてみると……見事ピロリ菌の除菌に成功していたのです! 1週間だけの服用では、除菌しきれない失敗ケースもあると聞いていたので、1度で完了し「ほっ」と胸をなで下ろしました。
その後、医師からピロリ菌の感染経路についての話が。「ピロリ菌に感染するのは、幼少期だけ(乳幼児期に親などから口を介して感染している可能性が高い)」であるため、「両親・きょうだい・子どもも、ピロリ菌に感染している可能性がある」と知らされたのです。
私はすぐに親族に伝え、みんなに血液検査で確認してもらうことにしました。すると、母だけではあったものの感染が判明! そして、まもなく母も私と同じ、胃カメラ内視鏡を受けることになりましたが……。まさかの結果となったのです。
まさか!母にがんが見つかってしまう
母の胃カメラ内視鏡検査には、私も同行しました。病院での検査が終わり、母が麻酔でまだ眠っているときのこと。「娘さんに話があります」と医師から呼び出され、診察室に通されました。すると、私の後方に2人看護師さんがスタンバイ。何だか嫌な予感がしました……。
そして、医師が母の胃の内視鏡検査画像を映し出し、説明を始めました。「ビックリしてしまうかと思いますが、お母さんの胃を見たところ、がんがありました」と告げられたのです。なんと母の胃は、広範囲に及んで「胃がん(悪性リンパ腫)」を患っていたのです。
医師によると、おそらくピロリ菌感染が進行して、胃がんとなってしまったとのこと。詳しい話を聞くと、「実際に手術を始めてみないとわからないのですが、おそらく胃を残すことはできないでしょう。胃をすべて摘出しないと、他の部位にがんが転移する可能性があるので危険です」と言われたのです。
「がんの全身転移を防ぐとはいえ、胃を全摘出するとなると、今後の食事はどうなるのだろう?」「この事実を、母になんて伝えたら良いのだろう?」など、不安な思いと心配な気持ちが込み上げてきました。ただ、今は最良の方法でなるべく早く手術を受けることが大事。私は、すぐに母の手術を決断し、医師に胃の摘出をお願いしました。
衝撃の診断が下りた後、母に体調で不具合はなかったのか話を聞いてみると、「実は胃の不調があり、嘔吐することが何回かあった」と話し、慢性的に胃薬を服用していたとのこと。せめてもう少し早く母の体調を把握できていれば……、自分の健康診断結果の第1回目でピロリ菌検査をしていれば……、など後悔があふれてきました。
その後、すぐにおこなわれた母の手術は無事に成功しました。胃がなくなってしまったので、母は食事の量もぐんと減り、体重も激減。しかし、少しずつですが食事がとれるようになり、元気な姿を見せてくれるようになるまで回復しました。
まとめ
自分の胃の不調という健康診断の結果が、母の胃がんを発見する手がかりになってしまいました。母は胃を全摘出しなければならない結果となりましたが、少しでも発見が早ければ、他にも手立てがあったと思います。
ピロリ菌感染は、無症状であることが多く、誰でも保菌の可能性があるものです。ピロリ菌の有無は、血液検査・呼気検査などの簡単な検査で調べられました。自分の感染が判明して、親族(両親・きょうだい・子ども)もすぐに検査してよかったです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/sawawa
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著者:小林 かなで
1つ上の夫、おしゃべりマシーンの娘、マイペース息子の4人家族。カフェラテとスイーツが大好き!休日は家族でさまざまなイベントにお出かけしている。