いつものようにランニングに出掛けようとしていたある日、インターホンが鳴りました。訪ねてきたのは地域の子育てサロンで知り合ったママ友・トモミさん。何やら困った顔をしていますーー。
困ったときはお互い様!
「実は姑の体調が優れないみたいで……。病院に連れていきたいから娘を預かってくれない?」とトモミさん。頼るところがなくて困っているなら、お互い様です。私は、ランニングを中止してトモミさんの娘・アオイちゃんを預かることにしました。
アオイちゃんは、とてもお行儀がよく、お人形遊びやお絵描きが大好きな静かなタイプ。うちの娘と一緒に遊んでいる様子も平和そのものです。
夕方迎えにきたトモミさんによると、お姑さんも大事には至らなかったとのこと。私も安心しました。
ママ友が子どもを預けにきたワケ
次の週の土曜日。今日こそ体を動かそうと意気込んでいたところに、またもトモミさんがやってきました。聞けば、お姑さんがまた体調を崩したそうで、今度は私の返事を待たず、玄関先にアオイちゃんを置いていってしまったのです。
後ろで見ていた夫も、さすがに苦笑い。今日はランニングを終えてから、家族で日用品の買い出しに行く予定でした。仕方がないので、夫に子どもたちを見ていてもらい、私が急いで買い物を済ませることにしました。
しかし、出かけたショッピングモールで見知らぬ若い男性と腕を組み歩いているトモミさんを発見。こっそり近づいてみると、「今日はずっと一緒にいられる♪」とはしゃいでいます。
男性が子どもは大丈夫かと聞くと「大丈夫! 無料のベビーシッターに預けてきたから。この時間が私のリフレッシュタイム♡」と言うではありませんか!
「無料のベビーシッター」は紛れもなく私……。知らなかったとはいえ、不倫の手伝いをしていたなんてショックでした。
これ以上アオイちゃんを預かる気はありません。私はいざというときのために、不倫の証拠として2人の写真を撮っておきました。
こんな偶然ってある!?
夜、怒りがおさまらない私は、少しだけ走ってくると夫に伝えて公園に向かいました。無心になっていつものコースを走っていると「今日はいつもより遅いのね」とエミコさん。
私が世間話のついでに今日の出来事をエミコさんに話したところ、エミコさんは一緒になって怒ってくれて、私の気も少し晴れてきました。
「アオイちゃんがいい子だから、余計にかわいそうで……」私がそう呟くと、エミコさんは怪訝そうな顔を見せ、「写真、私にも見せてもらえる?」と言います。私がスマホを差し出すと、エミコさんの表情が一気に曇りました。
そこで私は、衝撃の事実を知らされたのです。
ママ友が迎えた結末
次の週の土曜日も、予想どおりトモミさんがやってきました。「ごめん! また姑の調子がわるくて。今日は入院するかもしれないから、もし入院したらお泊りコースでお願いするかも……」と言いつつ、どこか嬉しそうにしています。
しかし今日は預かるわけにはいきません。
「誰が病気だって? 私はこんなにピンピンしているのに?」そこで登場したのがエミコさん。なんとトモミさんのお姑さんはエミコさんだったのです。
「私たち、実はランニング仲間でね。あなたの不倫も、証拠付きで全部報告させてもらったから」私がそう言うと、トモミさんは驚きを隠せない様子でした。
その後、トモミさんはエミコさんからキツいお説教を受け、結局離婚に至ったのだとか。どうやら、平日は旦那さんやエミコさんにアオイちゃんを預けていたらしく、ほぼ育児はしていない状況だったそう。
アオイちゃんがしっかりしたいい子だったのは、エミコさんの子育ての賜物だったのですね。これからはエミコさんがアオイちゃんを育てることになったそうなので、家族ぐるみでの交流はまだまだ続きそうです♪
子育てには大変なことも多いと思いますが、「不倫」というリフレッシュは許されないもの。嘘をついて子どもを預けて時間を作るなんて、もってのほかですね。早々に悪事がバレたのはせめてもの救い。しっかり反省して、これからの人生を歩んでほしいものです。