夫は近ごろ、変にやさしくて……。花束やケーキをおみやげに買ってくることがあります。忙しくて家にいない分、気を遣っているようですが、私の誕生日を忘れていたことはショックでした。
とりあえず気を取りなおし、当日は家でお祝いすることになっています。旅行も予定しており、久しぶりなので楽しみです。
誕生日の前日に起こった悲劇…
明日はいよいよ、私の誕生日。義父が夫に内緒でやってきます。遠方でひとり暮らしをしている義父から連絡があり、こっちに来る用事があるとのことで、誕生日会に招待することにしたのです。
しかし、夫から義父が緊急搬送されたと連絡があり……。明日の誕生日会は取りやめることにしました。私は自宅で待機しているように言われたのですが、義父のことが気になります。何もしないのもよくないと思い、携帯電話にメッセージを残すことにしました。いつでも駆けつける準備ができていると伝え、すこしでも安心してもらえたらと思ったのです。
義父からは、大丈夫だとすぐに返事がありました。
「お義父さん大丈夫ですか?!」
「緊急搬送されたって」
焦る私を尻目に、義父は高笑い。
「笑えるよな」
私は、ひとり困惑しました。
「え??」
義父の耳に聞こえてきた声は…
じつは今、義父はわが家の最寄り駅にいるらしいのです。その傍らには、夫と……不倫相手が。
義父が駅前のベンチで休んでいると、夫の声が聞こえてきたのだそうです。しかも、その話を聞いてびっくり。なんと、ここでピンピンしている自分が緊急搬送されたと言われているのですから。義父は、目の前にいた夫と不倫相手を取り逃しませんでした。
その後すぐに話を聞いたところ、夫たちは私の誕生日に不倫旅行をする予定でいたらしいのです。そのために、義父の緊急事態をでっち上げ……。
その後、夫から言い訳を聞かされました。それによると、不倫相手が何をするかわからない人で、私を守るために関係を続けていたと言うのです。遊びの関係だったのに相手が本気になり、離婚してほしいと騒がれたと。そして別れる気がない旨を伝えると、私や会社に関係をばらすと脅されたらしいのです。
そんなことがあり、ずるずると関係を続けてしまったと夫は言っていました。熱弁をふるう夫ですが、どこまでが本当かわからず。何を話されても、不倫がバレることを恐れていただけにしか聞こえませんでした。
許してほしいと謝る夫。私の決断は…
本当に好きなのは私だけだ、許してほしいと何度も繰り返す夫。しかし、何を言われても気持ち悪く、これからも一緒に暮らすなんて到底無理です。結局、私たちは離婚することになりました。
離婚のショックで気落ちした元夫は、不倫相手ともうまくいかなくなり別れたそうです。怒った彼女が会社に洗いざらい暴露した結果、彼は信用を失いました。不倫相手だった彼女は同僚だったようで……、一時は大変なことになったようです。
一方の私ですが、義父とはいまも連絡をとっています。離婚の際にいろいろとお世話になったので、義父に何かあったときは私が力になりたいと思っています。
◇ ◇ ◇
夫のほうは、バレなければ……と思って不倫したのかもしれませんが、最終的にすべての信用を失う結果となりました。後から悔いることのないよう、いっときの感情に流されずに生きたいですね。