女性が落とした物は…
会社からの帰り道。その日、いつもの電車に乗りこんだ私は車内が混雑していたため、吊革に掴まって立っていました。目の前に座っているのはワンピースを着た女性。仕事で疲れているのか、ぐっすりと寝ているようです。私もくたくたで本当は座りたいところですが、退勤の時間帯の電車はいつも満員のため、座れないのは仕方ありません。
ベッドタウンの駅に着くと、多くの人が席を立って次々と降りていきます。目の前に座っている女性も、その駅に着いた瞬間に目を覚まし、慌てて立ちあがったのですが、ドアに向かう際に何かを床に落としたようでした。
女性は落とし物に気づいていないらしく、私がとっさに「渡さなきゃ!」としゃがんで落とし物を拾おうとすると……目の前にあったのは、経血がついたおりものシートだったのです!
拾うか拾わざるべきか
落とし物がおりものシートだとわかった私は、そのまましれっと立ち上がり、また吊革に掴まりました。女性がいなくなったあと、私の目の前にできた空席に何人も座ろうとしましたが、足元に転がっている物に気づくと、怪訝そうな目をこちらに見せて去っていきます。
ーーどう考えても私の落とし物だと思われている。まさに地獄。一体どうすればいいのだろう……。
と、しばらく身動きが取れずにいた私。
結局、最寄り駅に着いたとき、ポケットの中で準備していたティッシュでおりものシートをさっと包むようにして拾い、駅の女性トイレに寄ってサニタリーボックスに捨てました。誰かが拾わないとどうにもならないと思ったからです。あのときの、周りからの冷たい視線は忘れられません……。
まさかおりものシートを落とす人がいるなんて驚きでしたし、周りからの勘違いの視線もつらかったのですが、もし自分が落としてしまったら、気づいた人に早急に処分してほしいところです。きっとあの女性も同じ気持ちだろうと思い、勇気はいりましたが、私の物だと思われてもいいから、拾って捨てることにしました。このような恥ずかしいミスはしないように気をつけようと、強く思った出来事でした。
著者/はやしだまい
作画/おみき
監修/助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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