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「え、いつもの粉瘤じゃない!?」勝手な思い込みで放置していたら…まさかの事態が!

いつからか足や背中、おなかなどにできものができるようになった知人男性。体のどこかにできものができては治り、また別のところにできて……を繰り返す状態に。さすがに心配になった友人が皮膚科を受診すると「粉瘤」と診断されました。その後、粉瘤ができるたびに皮膚科を受診していましたが、いつしか粉瘤ができても行かなくなりました。そんな知人の体にまさかの事態が……。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師窪田 徹矢 先生

くぼたクリニック松戸五香院長。獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouYuberとしての情報発信もおこなっている。
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体に何度もできるできものの正体は「粉瘤」

40代が近づいてきた知人の男性。いつからできるようになったのかハッキリはわかりませんが、足や背中など、体にできものができるようになりました。そのできものは、だいたいがプクっと腫れて、洋服が擦れたり何かにぶつかったりすると痛みを伴っていたそうです。

 

初めは「すぐ治るだろう」と放置していました。たしかに数日すれば、できものの中にたまっていた膿が出て、できたかさぶたは数日後に治っていたようです。しかし、また少ししたら違うところにできものができる……という症状を繰り返していました。

 

それにしてもできものがいつもより短期間に繰り返しできているな、と気になったある日、彼はやっと皮膚科を受診することに決めました。皮膚科ではこれまでのできものができたときの様子を細かく聞かれ、できものの状態を診てもらうことに。その結果、医師から「これは粉瘤(皮膚の下に袋状ののう腫ができ、皮膚から出た皮脂や角質などの老廃物が袋の中にたまってできた腫瘍)だね」と診断され、その日は抗菌薬を処方されて、数日間様子を見ることになりました。

 

「いつもの粉瘤だろ?」と皮膚科を受診せず放置

彼は皮膚科で処方された抗菌薬を毎日欠かさず飲みました。薬がなくなるころに再度皮膚科を受診するように言われていたので、再び皮膚科へ。薬の効き目なのか、粉瘤の炎症は引いているようでした。そこで医師から「粉瘤が同じ場所にできないように手術しましょう!」と提案され、手術をすることに。手術と言っても30分ほどで終わる簡単なもので、手術はすぐに終わりました。

 

しかし、数週間たつとまた別の場所に粉瘤ができ始めたのです。「うそだろ、また皮膚科に行かないと……」とやむなく彼は皮膚科を受診して、また前回と同じように粉瘤ができている場所を切開する手術を受けました。

 

これで粉瘤との闘いが終わればよかったのですが、これ以降も彼の体には何度も粉瘤ができ、そのたびに皮膚科へ通い、薬を飲んだり手術を受けたりを繰り返すことになったのです。

 

最初に粉瘤の手術を受けたときは「これくらいの処置で粉瘤がなくなるならよかった」と思っていたのに、幾度となく粉瘤ができるたびに薬を飲んだり手術を受けたりしているうちに、皮膚科を受診するのがおっくうに……。やがて、彼は粉瘤ができても「あ、今度はここに出てきた」と思うだけで、皮膚科を受診しなくなっていました。

 

 

いつもとは違う様子に皮膚科へ行った結果

ある日、洋服を着ていても見える手首に近い部分に粉瘤ができてしまいました。周りから「何それ、痛そう」や「病院行きなよ」などと言われます。周りの人から指摘を受けた彼は、久しぶりに自分の体にできている粉瘤の状態を鏡越しに見てみました。「あれ、何かいつもと違う?」と感じ、粉瘤を触ってみることに。すると、今までよりも固い感じがしました。そこで異常に気付き、「これは一体何なんだ!?」と急に不安になって、いつも通っていた皮膚科を再び受診することに。

 

いつもと違ってできものの部分が固かったので、もしかしたら粉瘤ではない深刻な症状なのではないかという予感がしていました。そのためか、急いで皮膚科へ向かったものの、診察までの待ち時間はとても長く感じたそう。

 

そして診察が終わり、医師から「これは、腫瘍(細胞が増殖してかたまりになったもの)です」と宣告されます。腫瘍という言葉に血の気が引く感覚に襲われ、ぼう然とした状態の彼に医師は続けて「腫瘍を取り除いて検査してみないと、良性か悪性かわからないですね」と言いました。彼は、一刻も早く悪性か良性かを知りたいので、その日のうちに手術の予約を取り帰宅することに。

 

数日後、手術で腫瘍を摘出。その後、1週間ほどは結果がわからない状態なので、仕事をしていても家で過ごしていても常に不安でいっぱいの日々を過ごしていたそう。1週間後、皮膚科で聞いた検査結果は、良性でした。

 

今回は、たまたま見えやすいところに腫瘍ができていたので、周りの人から指摘を受けて自分でもチェックしてみたことが皮膚科を受診するきっかけになりました。もし、見えないところにできていれば指摘も受けず、チェックもしていなかっただろうし、逆に、粉瘤ができても面倒臭がらずにきちんと皮膚科に通い続けていれば、もう少し早くこれが腫瘍だとわかっていたのではないかと彼は言っていました。

 

まとめ

彼は粉瘤の治療がおっくうになってしまい、皮膚科に通うことをやめてしまいました。そればかりか、自分の体にできる粉瘤にも無関心になり、危機を感じなくなってしまうことに。その結果、粉瘤だと思っていたものが「いつもと違う」と気付くのに時間がかかってしまいました。幸い、良性の腫瘍だったので大事には至りませんでしたが、もし悪性だったら……と考えると、話を聞いた私もとてもゾッとします。

 

今回のように自分の体に起きている問題の状況判断を見誤ってしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。何事もいつものことだろうと思い込んで勝手に判断せず、起きている問題に気付いた時点で面倒臭がらずに向き合って、専門家に相談すべきだと思いました。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

イラスト/マメ美

 

 

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著者:satomi

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