私たち夫婦には共通の趣味があります。しかし義両親は私たちの趣味に否定的です。
義両親が家に遊びにくると…
「また変なもの飾って!」わが家に遊びにきた義母は、部屋に置いてあるフィギュアを見てあからさまに嫌な顔をしました。
「これはヴェロキラプトルといって……」と、私が説明しようとすると、それを遮って「恐竜なんて子どもじみた趣味もいい加減にしなさいよ」と大きなため息をつきました。
恐竜は私たち夫婦の共通の趣味で、いつの間にか家には恐竜グッズだらけ。たしかに至るところに恐竜が置かれていますが、整理整頓が得意な私たちの家はスッキリ片付いています。
ゴミ屋敷に住む義両親にとやかく言われる筋合いはないのです。
義父に壊された宝物
あるとき、わが家でお酒を飲み上機嫌になった義父が、近くにあったフィギュアを触り始め、特徴的な形の尻尾が折れてしまいました。
あれほど繊細な作りなので触らないよう言ったのに、無視した義父に対し、夫は激怒! 義父は謝ることもせず「ただのおもちゃだろ!」と笑っていました。義母は怒った夫を見て「怖い顔しないで〜」と言い、2人はそそくさと逃げ帰ってしまいました。
壊れたフィギュアは、結婚1周年のお祝いに兄からもらった貴重なもの。兄もよくわが家に遊びにくるので、壊れたフィギュアを隠すことはできません。私たちは兄に謝罪するために、電話をかけました。
兄は「残念だけど仕方がない」と理解してくれて、私たちはひと安心。「手狭なアパートにフィギュアを置くのは限界かもね」という兄の苦笑いを機に、マイホームの購入を決めました。
新居に義両親がやってきた!
私たちが見つけたマイホームは駅からすこし離れていますが、その分広さが確保できます。恐竜グッズを置く場所もバッチリ!さらに、義両親のアポなし訪問から逃れられると思うと、私にとっては最高の物件です。
事件が起きたのは、引っ越してから1カ月ほど経った週末のこと。朝早く、インターホンが鳴りました。
玄関に向かうと、そこには大荷物を持ちながらキョロキョロと辺りを見る義両親の姿が……。ひとまず家に入ってもらったところ、南向きの一番広い部屋に一目散に入り、持っていた荷物を広げ始めました。
「息子の家は俺の家。今日からここに住むから!」と義父。義実家はすでに売りに出したというので驚きです。夫が抵抗しても「親の面倒を子どもが見るのは当然!」と主張します。
私はしばらく考えてから「同居をするならそれなりの準備が必要なので、1カ月だけ時間が欲しい」と伝えました。義両親も1カ月なら待てるということで、一旦引き上げてもらったのです。
義両親を迎えた結果
夫は、私が同居を認めたことに驚いた様子でしたが、私が「追い出しませんよ。同居上等!」と計画を話すと大笑い。全力で協力してくれるとのことで、1カ月間2人で必死に準備を進めました。
そして、あらためて義両親を迎える日、私と夫は出来栄えに大満足! しかし義両親はわが家に到着するなり絶叫……! 予想通りです。
私たちは、せっかくマイホームを手に入れたのだから、大好きな恐竜をもっとリアルに感じられる環境にしたいと思い、恐竜が生息していたといわれる環境をできる限り再現したのです。
家の内外はシダ植物に覆われ、天井から恐竜をぶら下げています。さらに、兄が引越し祝いにプレゼントしてくれた超巨大な恐竜のフィギュアは、人を検知すると鳴いてくれる本格派です。
家中くまなく歩き回った義両親。義父は恐竜の声を聞くたびにとびあがるほど驚き、義母はシダの葉の裏についている胞子のツブツブを見て、気持ち悪いと震え上がっていました。その結果、「こんな家には住めない!」と怒りながら帰っていったのでした。
今、私たち夫婦は思う存分趣味を楽しみながらマイホームでの生活を満喫しています。
趣味を極めた結果、同居が回避できました。夫婦で同じ趣味だからこそ実現した、趣味に振り切ったマイホーム。素敵な毎日が送れそうですね!