またコーヒーをこぼした?
ある日、会議を終えると、1件のメッセージが届いていました。それは例の後輩からで「実はちょっと謝らなきゃいけないことがあって」という内容でした。もしかして、と思い「また何かやらかしたの?」と私が恐る恐る聞くと、「先輩にコーヒーを淹れて持って行ってあげようとしたんですよー。私って気が利くじゃないですか?それが、デスクに置くときにばしゃーって」。
「まさか、またコーヒーをデスクにこぼしたってこと?」。会議室からデスクへ戻る途中、足早で返信をしました。それに対し、後輩からは「デスクっていうか、キーボードにばしゃーってなっちゃってー。でも善意でやったことで失敗しちゃっただけなんで許してくださいねー?」という言葉が……。
デスクにはこのあと提出する大事な資料も置いてありましたし、「急いで戻るから触らないで!」と送りました。が、遅かったようです……。
私がデスクに戻ると、キーボードはもちろん、資料やイスまでコーヒーまみれでした。問い詰めるも、後輩は「そんなこと言われたって事故ですし……」と、申し訳なさなんて1ミリも感じていないような返事ばかり。前にも同じことがあったので、もううんざりしてしまいました。
さらに仕事まで押し付けてくる…
「あ、それから……」と言う後輩に身構えた私は「まだ何かあるの?」と聞くと、「私今日はもう上がるんで♪」と今度はいきなりの早退連絡が。聞けば、今日は大事な用事があるとかで、後輩は「ヘアセットして着替えてお化粧直しもしないと~」となんだか忙しそうです。それに浮かれています。
でも確か、今日中に提出する見積書があった気がする……。後輩には念のため、「見積書は先方にお送りした?」と聞くと、後輩は「あ、それなんですけど、先輩代わりにお願いします!」と仕事を押し付けてきたのです。
「は?何言ってるの?」——その見積書類は、私は関与していない案件でした。代わりにやるとしたら、ダメにされた資料の作り直しをしてからとりかかることになり、残業は確定です……。どうにか自分の仕事に責任を持ってもらおうと話しますが、「私、今度結婚するじゃないですかー。相手がエリート商社マンで、先輩とは縁がないというかー、それでそのご家族との食事会が今日なんですー。言われた通りもうデスクは触らないので失礼しまーす!」と一方的に連絡を区切られてしまいました。
弟の結婚相手と会えず
実は今日、私にもとても大事な予定が入っていました。私には弟がいて、もうすぐ結婚します。その相手を紹介してもらう食事会だったのです。
後輩が帰ってから猛スピードで仕事に取りかかりましたが、残念ながら定時に終わる見込みがなさそうです。私は弟に「仕事が終わらないので食事に間に合わなそうだから先に初めて」と連絡をしました。弟からは、「姉ちゃんがキャンセルや遅刻なんて珍しい、なんかあったの?」と返事が。
弟には以前から困る後輩のことは話しており、今日のことも打ち明けました。弟は「よくその子、会社で問題にならないな」とビックリしていました。後輩がするのは小さなミスばかり。周りから不満は出ているものの、会社での問題……とまでには至らなかったのです。
すると弟から「それって嫌がらせじゃない? 2回も同じことをされるなんてわざととしか思えないだろう」という言葉が。……嫌がらせ? もしそうだったとしたら、たまったもんじゃありません!
切り替えて仕事に戻ろうとすると、弟から「彼女も残業で今日はこられなくなった」と連絡がありました。どうやら彼女も理不尽に仕事を押し付けられたみたいです。
日を改めようにも弟は海外出張が多く、結婚式の準備などスケジュールが詰まっているそう。なので私が弟の結婚相手と会うのは結婚式当日ということになりました。
結婚式当日
2カ月後、弟の結婚式当日。私は弟の結婚相手に会うのを楽しみにしていました。
そんなとき、後輩から「なんであんたが私の結婚式にいるわけ?」と連絡が。「ちょっと待って? あなたの結婚式じゃないわよね?」と聞くと、「今日は私が主役よ! どうやってもぐりこんだんだか知らないけど出ていってちょうだい!」と言われて驚きました。
「まさか……。私はここにいなきゃいけない理由があるのよ」そう伝えると、彼女からは信じられない返事が。
「いくら結婚したい気持ちが強いからってきちゃだめでしょ~? かわいい子しか周りにいないの気づかない? 私の結婚式にはね、ドレスコードならぬ顔面コードがあることわかる? 今すぐ帰って、二度と顔見せないでよね!」。
あまりの言われっぷりに呆れてしまった私は、「わかった、帰るわ」とだけ返事をし、そのまま会場を後にしたのでした。
弟に本性がバレた後輩
すぐに弟から「帰ったって何事!?」と連絡が届きました。「新婦に帰れって言われた。二度と顔見せるなって」と返すと、弟は困惑。「私も今日きて知ったけど、嫌がらせ疑惑の後輩が新婦だったのよ」と伝えました。
すると弟は「嘘だろ?」と絶句。「後輩はきっと、あなたには違う姿を見せていたんでしょう」と言っても弟は「じゃあなんで食事会の日、残業になったなんて嘘を?」と、にわかには信じがたいといった様子。
私は「人生の伴侶になる人よ、気になるならしっかり調べてみなさい」とだけ伝えたのでした。
その後、すぐに後輩から「彼のお姉さんって本当ですか!? 何も知らなかった!!」と連絡がありました。「そんなに焦ってどうしたの? 結婚式が白紙にでもなった?」と聞くと、「その通りですよ! 結婚式当日に白紙になるなんてありえない! 大恥なんですけど!!」と矢継ぎ早に言われました。
「確認もせずに新郎の姉を追い出したのはまずかったわね」と返信すると、「私が許可するんで、戻ってきてください!」と言い始めました。許可? 後輩はまだ自分のしたことの重大さがわかっていないようなので教えてあげることにしました。
「弟が白紙にしたなら私が戻ってもその結果は変わらないわよ。それから、私は会社でのことを弟に相談していたの。ちょっと困っている後輩がいる……って。弟は、その後輩があなたではないかって疑っているわ」。
そう伝えると、後輩はこの日のために時間もお金もかけたのにどうしてくれるの……とうなだれてしまいました。
厄介な嫌がらせ後輩の末路
結婚式が中止になってから1週間後、後輩は会社から辞令を命じられ、部署の異動が決まったそうです。「急な異動なんて嫌ですよ! 先輩、助けてくださいよ!」と後輩から連絡が届きましたが、助けてもなにも、後輩のことを上に報告したのは私です。
実はコーヒーを2度もこぼした事件を見ていた人がいて、やはりわざとやっていたそうです。それに、会社で問い詰められた彼女は、「私だって仕事ができるのに、先輩ばかりちやほやされてむかついた」と話したようです。そんな理由で嫌がらせされていたと思うと心底くだらないと思いました。
しかも、後輩はなんと浮気していたそうで、弟と私の家族は憤慨。彼女には結婚式場のキャンセル費などを請求していると聞きました。
数日後、彼女から「彼を説得してください!」という連絡もありましたが、「日頃のおこないが評価された結果ね。あなたとは義理でも姉妹になんかなりたくないし2度と顔も見たくない。新しい環境でも頑張ってね」とだけ伝えて、連絡先をブロックしました。
弟にはいまだに連絡があるそうですが、弟はすでに次に向けて進んでいるところ。彼女が弟とヨリを戻す望みは薄いですね。
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