ある日、夫は同僚のお弁当がうらやましかったらしく、私の作るものに難癖をつけてきました。しかし、夫の同僚の奥さんは専業主婦。専業主婦の方が作る、食材の下処理までバッチリなお弁当は、共働きの私にはどうしても無理でした。
地獄のお弁当作り
夫がすこしでも家事に協力してくれたら、お弁当を作る時間ももうすこし割けるのに……。でもそんな思いやりを持った考え方は、夫にはありませんでいた。なにせ私の具合が悪くても、弁当を作ってほしいと言うくらいですから。またそんなときでも、冷凍食品や残り物NGでした。
しかも夫は私を心配するどころか、使えない、体調管理もできないなんて情けないと、逆に責めてくるのです。お弁当を作れば作ったで文句は言うし、「一体私はどうしたらいいのか……」と悩んでいました。
そんなとき夫は「家族5人、3人の子どもを立派に育てた義母を見習え」と言います。家事と仕事を両立させ、全員分のお弁当を作っていたそうで、義母にできることが私にできないはずはないと……。仕方がないので、具合の悪い日もお弁当を用意することにしました。しかし、それも不評で……。
「今日の弁当はなんだ?」
「冷凍食品や残り物は禁止って言っただろ」
「食べないで捨てたから」
俺くらいになると食べなくてもわかるんだよ……。
こんなゴミ食えたもんじゃないと夫は言いたい放題。
私は夫に教えてあげました。
「作ったのは私じゃないよ」
実はあのお弁当は、義母の作ったものだったのです。お弁当の正体を知った夫は、焦った様子を見せました。
夫よ、覚悟しなさい!
実は体調が悪すぎてお弁当が作れなかった私は、仕方なく義母に相談。すると、息子に対してあきれながらも、代わりに作ることを申し出てくれたのでした。その評価がアレです。私は夫が言ってきたことをそのまま義母に伝えました。
夫は手抜き弁当を作る私を罰したかっただけで、本当にまずそうだと思ったわけではないと言い訳しました。しかし私や義母が問題にするのは、そこではないのです。作った人の手間や労力も考えず、お弁当を捨てたこと自体が問題なのです。
そして、義母からの仕打ちは夫にとって大変なものでした。
私はしばらくの間、義実家へ居候することになりました。私は働きすぎだと言われ、義母から料理禁止令を言い渡されたのです。
それから夫は、自分でごはんの支度をすることに。ちなみにですが、義母のお弁当は昔から冷凍食品をふんだんに使っていたようです。手作りしていたのは、卵焼きくらい。仕事をしながら全部手作りだなんてできるわけがないと、義母はあっけらかんとしていました。至極、同意です。
決して許されない、罪の重さ
また義母により夫は実家に出禁となり、家事の大変さを理解するまで嫁は返さないと宣言されました。何とか家事に仕事に1カ月必死に頑張った夫ですが、それが限界でした。夫はクレーマーのように何でもケチをつけていたことを反省し、謝罪してきました。これで許してもらえるものとばかり思っていたようですが、今度は離婚問題が勃発。
実は、義母から離婚を勧められたのです。ちょっとばかり私の大変さがわかっても、いつまた調子に乗るともわかりません。夫の性格を知る義母だからこそのアドバイスだとも言えます。いままでの夫のひどい言動を思い返し、私は離婚を選択しようと決意。考えを貫き通し、無事離婚成立と相成りました。
今でも義両親とは仲が良く、夫の近況を聞きますが、あんまり体調が良くないようです。孤独で、食生活も乱れ、健康診断の結果も悪くなったのだとか。義母は夫を励ますどころか、自業自得だと言っては夫をチクチク刺していたようです。居心地が悪くなったため、夫はそのうち実家にも顔を出さなくなったと聞きました。私はというと、仕事も私生活も順調で幸せな生活を満喫しています!
お弁当を作ってもらっているにもかかわらず、文句ばかり言っていた夫。夫は自分の母親を見習えと妻に言っていましたが、実は夫の母も工夫をして弁当を作っていました。無理をせず、生活を続けていくためにも、工夫できるところは工夫していきたいもの。夫は今回のことで身をもって大変さを実感したのではないでしょうか。夫には以前の自分の言動を見つめ直し、反省してほしいですね。