我が家は低収入ではない、と繰り返し言っても、義妹にはどこ吹く風。しかも、専業主婦に強いこだわりを持っているようで、「お義兄さんの稼ぎが悪いから、お義姉さんも働かなきゃいけないんでしょう?本当にかわいそう!」と、結婚後も仕事を続けている私を見下してくるのです……。
結婚式のドタキャン
義妹の関係が良好とは言えないまま、結婚式当日――。
式の直前になって、義妹から「今日の結婚式なんですけど、私たち夫婦は欠席でお願いしまーす!」と連絡が。
「できれば出席してあげたかったんですけど、貧乏人の結婚式に子どもを連れて行ったら悪影響を受けそうで~」「やっぱり自分の子どもには結婚式に夢を持ってもらいたいじゃないですか!」と、私たちの結婚式を貧相なものだと決めつけている義妹。
「貧乏夫婦の結婚式なんて本当は出たくないけれど…」
「ご祝儀0円でもいいなら仕方なく行ってあげますねw」
「あなたは呼んでないけど?」
「え?」
私は、弟のみを結婚式に招待していたのです。義妹は招待していないので、たとえ来たとしても席はないのです。
もやし生活
結婚式から遡ること、1カ月前――。
相談がある、と言って私たち夫婦の家に来た弟。その弟の姿を見て、私たちはびっくりしてしまいました。
頬はこけ、目の下にはクマができていて、およそ健康には見えない状態だったのです。
「姉ちゃん……結婚式のご祝儀、出せないかもしれない……」と弟。弟によると、義妹が幼稚園のママ友たちから影響を受けて、「結婚したら妻は家にいて夫を支えてあげるもの」「旦那を仕事に集中させて、給料を上げるのよ」と言っているそう。
弟夫婦の子どもが通う幼稚園のママ友さんたちの旦那さんは、会社経営者や医師、弁護士など、もともと高給取りの人たちばかり。背伸びしてその幼稚園に子どもを入れたはいいものの、弟の給料ではとても足りず、家計は火の車。弟は毎日もやししか食べていなかったそうです。
青白い顔をした弟を見かねて、夫は最近始めた家庭菜園で新鮮な野菜をたっぷり取ってきました。私は暑中見舞いでもらったハムやウィンナーを取り出し、夫の野菜とあわせて弟に渡しました。義妹には私たちからもらったことを伏せてね、と釘を刺して。
弟は何度も何度も私たちに頭を下げ、食料品を大事そうに抱えながら帰っていきました。私より背丈が大きいはずの弟の背中は、なんだかとてもみすぼらしく見えました。
見栄も大概に
会社役員の私と、海外出張の多い夫。私たちが結婚式をなかなか挙げられなかった理由は、お互いの多忙さにありました。
そのため、お互いの両親も、そして周りも結婚式に多大な期待を寄せていたのです。私たちはその期待に応えるため、会場の装飾や式の演出にもそれなりにお金をかけ、食事は最高級ランクのコース料理にしていました。
帰宅した弟が私たちの結婚式の様子を話すと、義妹は地団駄を踏んで悔しがったそう。そんな義妹に弟は、「我が家の経済的状況もわかってくれ」「このままじゃ俺たちは子どもに習い事もさせてあげられないぞ!」「それに俺が栄養失調で倒れて働けなくなっちゃうよ……」とよくよく言って聞かせたそうです。
その後――。
「ママ友の旦那さんはこれだけ稼いでるのに、全然稼いでこないあなたが悪いんじゃない!」「仕事なんて育児や家事よりも簡単なのに、なんで稼げないの?」と義妹から詰られた弟はブチギレ。義妹はママ友たちと同じセレブ気取りで、私の弟にはもやし生活をさせていたのに自分は高級ランチに行っていて散財していたからです。激怒した弟から「働かないと離婚する」と言われた義妹は、私や夫に時給3,000円で雇ってくれと言ってきましたが、当然雇えるわけがありません。
結局、近所のコンビニバイトに採用してもらい、なんとか離婚を回避した義妹。しかし、夫婦仲は完全に冷え切っているようです。
一方、弟は義妹に黙ってこっそり転職をしていました。給料も大幅に上がるようですが、「ある程度貯金ができるまではすべて隠しておく」「子どものためにも、いつでも離婚できるように準備も進めておくよ」と言っていました。私たち夫婦は静かに弟夫婦の行く末を見守りたいと思います。