義母と初顔合わせ
善は急げと、翌週には実家に挨拶に行くことになった私。初めて会った義母は「結婚おめでとう! 今日からは『お義母さん』て呼んでね。娘ができてうれしいわ!」と好意的でした。
義母は結婚を喜んでくれているようで、すでに結婚式のパンフレットをたくさん取り寄せていました。ケンタと一緒になって、ノリノリで式場見学の予約を入れようとしています。
ケンタと義母はすぐに式の日取りを決めようというのですが、私はまだ決心がつきません。2人をどうにか制し、人を招待せずにすむ写真撮影のみのフォトウエディングを提案しました。
すると、驚くことに義母とケンタはその場で2カ月後の日程をおさえてしまったのです。
婚姻届を渡されたけれど…
帰り際、義母は「はい、とりあえずこれ!」と言って、婚姻届を出しました。今日のために役所からもらってきたのだそう。ケンタが名前を書き、保証人の欄に義両親がサインをした用紙を手渡されました。
私もその場で書くように促されたものの、トントン拍子に話が進みすぎてなんだか違和感を覚えます。その日はひとまず婚姻届を預かり、後日私が記入してから役所に提出すると言って、なんとか納得してもらいました。
一度会っただけでは結婚の決断はできません。とりあえず婚姻届は預かったまま、しばらく様子を見ることにしました。
義母の暴走はやさしさなの?
決心がつかないまま、フォトウエディングを予約した日がきてしまいました。フォトウエディングにノリノリだった2人は婚姻届のことなど気にもかけません。おそらくすでに提出したと思っているようです。
驚いたことに、義母はドレスやロケーション、撮影プランなど、すべてに口出しをし、ケンタもそれに従います。お金を出したのは義母なので、私も何も言わず、ウエディングフォトの撮影を終えました。
その夜、暴走とも言える義母の行動を「やさしさ」だと考えているケンタは、義母に感謝しろと私に言います。今からこんな状態では、今後の結婚生活を考えるとゾッとしてしまいました。
義母の本性見たり!
そんな気持ちから、婚姻届を出していないことを打ち明けようと思ったそのとき、義母からメッセージが届きました。
「結婚おめでとう! 今日からよろしくね! 私、嫁いびりができる日をとても楽しみにしていたの♡ 」
このメッセージを見て、義母が結婚を急がせていたのは、私をいびるためだったのだと悟りました。入籍しなくて大正解です。
「嫁って誰のことですか?」私はすぐにそう返信して、婚姻届はこれから破棄するので、嫁などいないのだと伝えました。
義母は激怒。しかし、すでに義母のメッセージは「証拠」として保存してあります。これでは結婚生活は不安だとケンタに打ち明け、結婚の取りやめに納得してもらいました。
ケンタは怒っていましたが、あの暴走をやさしさだと思っているようでは、結婚は無理です。
私が人生の大きな選択を間違えずに済んだのは、「結婚するなら相手だけではなく親もちゃんと見るように」という教えのおかげ。耳にタコができるほど言ってくれた両親には、感謝の気持ちしかありません。
結婚は本人同士だけではなく、両家の家族や親族も関わること。慎重な判断が必要です。人生における大きな決断だからこそ、何かおかしいと感じたら立ち止まり、冷静に考える勇気をもってほしいですね。