2017年後半はビットコインの急騰が、2018年にはある取引所のハッキングが話題になった仮想通貨ですが、どのようなものかわからない人も少なくないと思います。
少額から億単位で儲けた人もいる一方、資産のほとんどをつぎ込んでしまったあとに急落した人や取引所の停止でお金が下せない人もいるなど、テレビやインターネットのニュースで多く取り上げられています。基本的な考え方としては、理解できないものに投資(現時点での仮想通貨は投資というよりはギャンブルに近いと思います)することはおすすめしませんが、2018年3月時点での仮想通貨についての現状と考え方についてお伝えしてまいります。
1.仮想通貨は円やドルと同じお金の単位
円(JPY)やドル(USD)などの法定通貨はお金の単位ですが、仮想通貨であるビットコイン(BTC)やネム(XEM)なども、ある種のお金の単位です。日本円は日本銀行が発行していますが、仮想通貨は発行主体がありません。また、円やドルなどは紙幣や硬貨といった手に取れる物で交換されることが前提ですが、仮想通貨はデータで取引がなされるため、紙幣や硬貨といった手に取れるものはありせん。
しかし、仮想通貨でも物の売買やサービスの対価への支払い、送金や保管ができるなど円やドルなどと同じように使えるため、お金の単位として考えることができます。 データのやり取りだけで支払いができるとなると、Suica・ICOCAの交通系ICや楽天Edy・WAONなどの電子マネーと同じと考える人もいると思いますが、物の売買やサービスの対価への支払いはできるものの、送金や保管を前提には作られていませんし、単位も円という法定通貨を基準にしているため、仮想通貨とは異なるものです。
2.仮想通貨は円やドルと同様に値上がり・値下がりをする
日本人が円をふだん使っている場合では、円の価値が値上がり・値下がりしていることに気付きにくいのですが、円をドルと交換する場合やドルを円と交換する場合には、為替相場の影響を受けますので、円の価値が値上がり・値下がりすることを実感すると思います。
たとえば、2018年2月末は1ドル約107円でしたが、2008年2月末は約97円でした。10000ドルを円に交換した場合、2018年2月では約107万円受け取れましたが、2008年2月では約97万円しか受け取れないといったことになります。
このことが、仮想通貨にも言えることで、円をビットコインなどの仮想通貨に交換する場合にも相場の影響を受けます。この交換レートが2017年に急騰し、その値動きが2016年以前より大きくなったために、少額の投資でも大きく利益を上げた人がいます。一方、人気が過熱した面もあり高い値段で仮想通貨に交換し、その後、大きく下落した人もいるということをあわせて覚えておいてください。
3.仮想通貨は現在発展途上の技術・仕組み
仮想通貨の概念は、ここ10年程度で実現化された新しい技術であり、仕組みであるため、不具合が生じてしまうことも仕方のない面と思います。現時点でビットコインやイーサリアム(ETH)に代表される仮想通貨の種類は数百とも数千とも言われていますが、取引の多いものもあれば、取引の少ないものやデータを羅列して実情の伴わない詐欺的なものもあるようです。
初めて利用を考えている人は少なくとも国の機関である金融庁に登録されている仮想通貨交換業者(※登録されているといっても金融庁や財務局が仮想通貨を保証したり、推奨するものではありません)を確認するようにしましょう。
しかし、インターネットや携帯電話・スマートフォンが普及したように、仮想通貨も今後の技術や仕組みが整うと普及する可能性もおおいにあると思います。また、法定通貨も絶対的に安全なものでもありません。
たとえば、かつては「アフリカの優等生」と呼ばれたジンバブエという国では、経済政策の失敗でハイバーインフレになり、2015年には通貨の発行ができなくなる事態になりました。現在はアメリカドルや南アフリカランドといった外国の通貨を使っているようです。現在の日本ですぐに円が使えない事態になることは考えにくいですが、支払や送金、投資などが何十年も現状のままではない可能性があることは覚えておくといいと思います。
発展途上の技術であり、相場の上下が大きい現状において、家計の大きな割合を仮想通貨に交換することはおすすめしませんが、お金の考え方や価値について変化が始まっていますので、仮想通貨がどのようなものか理解しておくことは今後も必要と思います。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。