結婚当初、夫は絶対に子どもがほしいと言っていました。でもそれは本心ではなかったようです。親に孫の顔を見せるのが健全な結婚だと思っていただけで、子どものことをかわいくも思わないし、子育てはすべて私に任せると言い出したのです。
後々のことを考えると、夫も育児や家事に関わっておくほうがいいと、私は思います。急に私の身に何かが起こることだってあり得ます。そんなことは起きないと、夫は笑っていましたが……。
いたわるどころか、病人をののしる夫
ある日、私が風邪でダウン。高熱を出しながら赤ちゃんを連れて病院へ行くことに。とてもきつかったです。
夫に報告すると、「俺にうつすなよ!」 とまず一言。心配するそぶりもありません。それどころか、子どもの世話を飲み会を理由に断ってきたのです。看病してくれる気持ちもないようで、「30過ぎたババアが風邪をひいたくらいで甘えてくるな!気持ち悪い」とまで言われました。
さらに夫は、「いつも家で赤ん坊とゴロゴロしてラクをしているくせに」と続けます。毎日寝不足でフラフラの私を見ているはずなのに、一体どうしてそんなことが言えるのでしょうか。子どもが寝ているときは絶好の家事時間ですから、もちろん私に自由な時間などありません。母親みんながやっていることを威張って言うなと夫は言いますが、それは夫も同じこと。
世の中には、育児も家事もしているお父さんはたくさんいます。仕事をしながらしている人だって……。そんな人たちがいる中、何一つしない夫。あまりにも関わらないため、わが子は夫の顔を見ると泣き始めてしまうくらいです。父親の役割も果たせず、仕事しかしない夫は、ただの同居人にしか思えません。
それを聞いた夫は激こうし、私を無能だ、生意気だ、バカだとののしり始めたのです。誰のおかげで飯を食えていると思ってるんだと言われたときには、本当にあきれました。夫婦は支え合ってこそ。そして平等です。それなのに、自分が偉いと夫は言い切りました。
私の代わりは他にもいるし、嫌なら出ていけ、俺に生かされていることを忘れるな、とずいぶんな態度です。それ以上生意気な口を利けば罰を与えると脅されもしました。夫はその晩、家には帰らないと宣言し、せいぜい苦しめ、反省しろと……。そのとき、投げかけられた暴言が、今でも忘れられません。
私を救ってくれたのは…
翌日、夫からメッセージが入りました。そろそろ熱も下がっただろうから、帰る、昼飯の準備をしておけという内容でした。
「サボっていないで働け」
「風邪くらいで大げさなんだよ」
このひどい夫の暴言に、ある人が私に代わって返事をしてくれました。
「あんた、間に合わなかったわね」
「は?」
夫は私が反抗したと思って、さらに態度を強めてきました。しかし、相手が自分の母親であると知ると、急に大人しくなったのです。
実は昨日、偶然近くを通りかかった義母がわが家を訪ねてくれて、とんでもない事態になっていることに気付いてくれました。私の話を聞き、自分の息子が時代錯誤のろくでもない亭主だと気付いた義母は、もうカンカンでした。育児も家事も自分の仕事よりラクだとバカにするけれど、自分は何一つできないだろう、やってみろと言い放ったのです。それを聞いて、俺にだってそれくらいできると言う夫。できるできないは別にして、これから夫はやらないといけなくなるのですが……。
義母は私が出ていくことを夫に告げました。私の離婚の意思を知り、慌てた夫は急いで帰宅。しかし私はすぐに家を出ていたので間に合いません。今さら謝罪をしても、急いで帰っても、何もかも間に合わないのです。
一度言ったことは取り消せない
私は父に迎えにきてもらい、子どもと一緒に実家に戻りました。義母が泣きながら謝罪し、迎えに来てあげてほしいと、私の両親に頭を下げてくれたのです。
夫は自分の意思を無視されたと騒ぎましたが、そんなこと関係ありません。私はすでに弁護士に相談。離婚と慰謝料、養育費を勝ち取るための準備を始めています。耐え続けてきましたが、もう我慢するのは終わりにします。
その後、泣く泣くひとり暮らしを始めた夫ですが、やはり何もうまくいくことがなかったようで、ことあるごとに連絡をよこしては戻ってきてほしいと懇願します。もちろん、ほとんど無視しましたけれど。
あれだけ子どもの泣き声がうるさいと言っていたのに、誰もいない静かな部屋に帰るのは寂しいと言うようになった夫。家族が恋しい、父親のいない子どもはかわいそうだと言いますが、あんな暴言を吐きまくる父親なんて、いないほうがマシです。心を入れ替えたと言いますが、今までの夫の暴言は取り消せません。私の心に深く刻み込まれてしまっているのです。
後日、無事に離婚できた私は再就職をして、子育てと仕事の両立の難しさを感じつつも充実した毎日を過ごしています。実家の両親や義母はいつも救いの手を差し伸べ、温かく見守ってくれるので感謝の気持ちでいっぱいです。
人生に後悔はつきものかもしれませんが、発言には注意すべきではないでしょうか。口から出た言葉はメッセージのように簡単に取り消せません。相手の心に深い傷を残してしまう前に、誰に対しても思いやりを持って言葉を選んで会話したいですね。