金持ちマウント健在!
カナのお金持ちマウントは健在。どうやらどこかの企業の社長との結婚が決まったようで、ハワイ挙式を控えているのだそう。みんなを招待したいけれど、一般人には費用の面で難しいだろうから呼ばない、と言いまわっていました。
相変わらずわが家の家業もバカにされて、せっかくの同窓会も台無しです。それでも、次の同窓会まで顔を合わせることはないはず……。それだけが救いでした。
そう思っていた矢先、カナの結婚式に招待されることになりました。なんとカナの結婚相手が経営する会社は、両親が経営する工場の取引先。かれこれ数十年のお付き合いです。
私の私情でお断りするわけにもいかず、結婚式には両親の会社で働く私が代表して参列することになりました。
「貧乏人は呼んでない!」
挙式当日、カナは私の姿を見てびっくり。開口一番「貧乏人が何でハワイにいるの? 呼んでもいないのに来るなんて図々しい!」と言い放ちました。
それはそれは冷たい言い方で「場違いだから帰って」と、私を見下すカナ……。そのひどい対応は、周りのゲストの注目を浴びるほどでした。あまりの勘違いに私は苦笑いしかできません。
そこにやってきたのが、新郎である取引先の社長。私が長年取引のある会社の専務だと紹介してくれた途端、カナの顔が真っ青になるのがわかりました。
ゆっくりしていってくださいと新郎は促しますが、私は帰るように言われています。場違いな私がいると、大切な式が台無しになってしまうかもしれません。「ひと言お祝いだけ伝えたらお暇します」と伝えました。
カナをちらりと見ると、滝のような汗。すがるような目で私を見てきましたが、関係ありません。引き止める新郎に、私は一部始終を暴露しました。周りのゲストも頷いています。
長年の恨みがスッキリ!
何も知らなかったと言い訳をする彼女に、新郎は真っ赤になって怒りました。
知らなかったから許されるわけがありません。取引の有無は問わず、人が一生懸命経営している事業をけなすなんて、と新郎はカナに説教していました。
騒ぎを聞きつけた新郎の父も、事情を知ってカンカンに。あれこれと問いただされ、彼女はもう放心状態。なんとか挙式は決行されましたが、終始最悪な空気に満ちていました。
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいですが、スッキリしました。
社長夫人として華やかに生きるはずが…
カナは社長夫人として裕福な生活を送れると信じていたようですが、今回の一件でカナの夫は、カナの性根を鍛え直す決意をしたよう。社長夫人自ら、社内の掃除や雑用を任されているようです。
皮肉なことに、カナは当時、掃除や雑用を見下していました。しかし今は自らがバカにしていた掃除やお茶の用意、コピーなどが、カナの仕事。私が社用で尋ねると、度々掃除をしている姿を目にします。人に見下されるような仕事はないと、今こそわかってくれることを願います。
どんな仕事にも役割があります。勝手に優劣をつけるのは、あまりに失礼なことですね。相手を尊重することが大切だと改めて感じさせられました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。