イクラがない!代わりに買ったものは…
イクラが見つからなかったので、別のものを買って帰りました。そして、手巻き寿司の準備をして食卓に並べると、やはり「イクラはあるの?」と聞いてきた長男。私は「イクラはなかったけど、イクラの赤ちゃんがあったよ」と皿を渡すと、長男は「ほんとだ! 赤ちゃん、ちっちゃいね」と喜んで食べてくれたのです。
そう、私が買ってきたのは黄色くてプチプチした食感のトビウオの卵「とびっこ」でした。とびっこならイクラよりもスーパーで手に入りやすく、お値段が手ごろです。私はなんとか、とびっこでごまかそうと必死でした。
なぜなら、1回イクラのおいしさを知ったら、きっと息子はハマってしまうし、満足するまで何度も食べたいとブームが来るかもしれないと危惧したからです。そんな心配をよそに、長男はプチプチした食感が気に入ったのか、イクラじゃないと駄々をこねることもなく、私は胸をなでおろしました。
イクラの赤ちゃんの正体がバレそうに!?
それから半年ほどが経ち、義実家に親戚が集まり食事会をすることになりました。長男のリクエストで手巻き寿司もあります。家族だけのときには買わない刺し身などの手巻き寿司の具も、義父が奮発して買ってくれました。豪華な食卓に、長男や親戚の子どもたちも大興奮!
そのときです。長男が指さして言いました。
「ぼく、知ってるよ。これイクラの赤ちゃんでしょ! 前に食べたことあるんだよ」と。もちろん指さしていたのは、皿の上の「とびっこ」です。
親戚たちは子どもの言うことなので大爆笑ですが、長男は、なぜ自分が笑われたのかわかっていません。私は、長男がいつ「だってお母さんが言ってた」と言うか、冷や汗が止まりませんでした。そうなれば、私がとびっこを「イクラの赤ちゃん」とごまかしていたウソが長男にバレてしまうし、親戚たちにウソをついた経緯を話すとケチくさいと思われるかもしれません……。
私は慌てて、「鮭の赤ちゃんのことをイクラっていうんだよね。赤くておいしそう。早く食べたいなー」と自分から話をすり替えてその場をごまかしてしまいました。幸い、親戚たちの前で大恥をかくことはなく一安心。
しかし、楽しかったからと半年経ってもわが家での手巻き寿司の食材のことまで覚えていてくれた長男を、その場で褒めてあげることができなかったことを反省しました。やっぱり自分が面倒くさがったり、出費を渋ったりしたときにウソをつくのは良くないことだと思い知ったのです。
その後、イクラの一件について本当の理由を伝えて謝罪すると、「どっちもおいしかったから許してあげる」と言ってくれた長男。それ以来、自分の気持ち優先をするためにウソでごまかすことはしないように気をつけています。
著者:秋本かなこ/30代女性/2019年生まれと2021年生まれの兄弟を育児中ママ。元気な兄弟とパワフルな毎日を過ごしている。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年8月)