類は友を呼ぶらしく、義母の親しい友人も嫁いびりをしていたそう。その友人は、ついに息子夫婦に縁を切られ、ひとりぼっちで寂しく老後を送っているようです。
その様子を見た義母は、「私もいずれそうなるかと思ったら怖くって……」と言って、私に謝罪してきました。そして、同居を申し込んできたのです。
二世帯住宅を建てたがる夫
帰宅した夫に、義母から今までの謝罪と同居要請があったことを話しました。すると、夫は「俺はひとり息子だし、いずれは同居も考えてたよ」「ちょうど家を建てようかって話もしてただろ?どうせなら二世帯住宅を建てて、みんなで仲良く暮らせそうぜ!」と言ってきたのです。
私には、あの義母が簡単に心を入れ替えるとはとても思えませんでした。そして、長年、嫁いびりに気付いていながら一切守ってくれなかった夫にも不信感を抱いていました。
そんな私の気持ちに気付いているのか、「同居するなら母さんが新居の費用を半分援助してくれるって!父さんの遺産の4000万全部を建築費用にあててくれるって言うんだよ」「同居が不安なら、玄関も水回りも別の完全二世帯住宅にしよう!」と夫。その援助の金額を聞いて、私も心が揺らいでしまいました。
「早速、週末にでも不動産とハウスメーカー巡りをしようか」という夫の提案に、私もうなずいたのでした。
マイホーム完成後の、夫のありえない言動
同居にあたり、義母から「家計管理は嫁の仕事!」「だから新居の名義は大黒柱である息子!ローンの名義はあなた!」とさんざん言い含められていた私。
そして、半年後――。
無事に新居は完成。引っ越しの準備を進めていると、夫からメッセージが届きました。
「ようやく念願のマイホームを手に入れたぜ!」「大金をかけただけあって、間取りも何もかも最高だ!」とはしゃぐ夫。私は呆れながらも、「もしかして、もう新居にいるの?」と聞きました。
すると、「おう、早めに引き渡してもらったんだ」「母さんも早く見たいって言ってたから連れてきた」と夫。私より先に義母に新居を見せていることにもやっとしましたが、「とりあえず引き渡しが終わったなら、予定通り来週末には引っ越しできるわね」と言うと、とんでもない言葉が返ってきたのです。
「いや、もう俺と母さんの荷物は持ってきた!」
「これで今日から新居で暮らせるぜ」
「だから用済みのお前は新居に来るなよ。お前にはこの家で暮らす権利はないんだからな」
「私だけ暮らせないってどういうことよ!?」と聞くと、「お前に金を出させて、俺と母さんの新築一軒家ゲット計画、大成功!」と夫。
「8000万の二世帯住宅を建ててくれてありがとな!」
「お前の役目は終わったから出て行けよ」
「わかった、出てくね」
「達者で暮らせよw」
夫から義母が本当は嫁いびりをまったく反省していないこと、夫は私と離婚するつもりだったことを聞いて、私もすーっと冷めてしまいました。
すんでのところで
互いに離婚届けにサインをして提出後、「じゃあ、住宅ローンの支払いをよろしくね」と私が言うと、夫は小馬鹿にしたように、「はぁ?お前は何を言ってるんだ?」「この家のローンはお前の名義だろ?悪いが、離婚してもローンの名義人に返済義務があるんだぞ?」と言ってきました。
どうやら夫は自分名義でローンを組んだことを忘れているようです。
銀行でローンを組もうとしたときのことです。「家の名義人とローンの名義人が違うと審査に時間がかかりますよ」と言われ、とにかく早く家を建てたかった夫は、とりあえず夫名義でローンを組み、あとから私に名義変更をさせようと言っていました。
通常、住宅ローンの名義は簡単に変更できないのは私は知っていましたが、義母からは「家計管理は嫁の仕事」とも言われていたので、私がしっかり把握したうえで、夫婦2人で協力して返済していけば名義は誰であろうと問題ないだろうと思っていたのです。夫はこのとき相当浮足立っていたのでしょうか。すっかり自分名義にしたことを忘れていました。
「ふ、ふざけるな!」「タダで新築が手に入ったと思ったのに!」と夫。「土地代と建設費用で8000万、でもそのうち4000万はお義母さんが払ってくれるんでしょう?」「残りの4000万ならあなた1人でもなんとかなるでしょう」「私は言われたとおり出ていくから代償金をよろしくね」と言うと、黙り込んでしまいました。
1時間ほど経って、今度は義母から連絡が。「ふざけんじゃないわよ!」「あんたがこの家のローンを払うのよ!」といきなり怒鳴りつけてきました。
「ローンの名義人も息子さんですし、私は息子さんと離婚するので関係ありません」「まずはお義父さんの遺産の4000万円支払ってくださいよ」と言うと、妙な沈黙が。
「そ、そんなお金あるわけないでしょ……」「援助なんてただの嘘なんだから!」と義母。義父が亡くなって早々、遺産は使い切ってしまったそうです。「老後の生活のためにって残してくれてたけど!気づいたら全部なくなってたの!」と言う義母に、私は思わず頭を抱えました。
「お義父さん、天国で泣いてますよ……」と言うと、「う、うるさい!息子に相談したらあの子もノリノリだったんだから!」「実はいい人がいるから、俺も離婚を考えてたんだ、家を建てさせたらあいつを追い出そうって!」と義母。
「いい人がいるってどういうことですか?」と尋ねると、「あ、いや、その……」と言葉を濁した義母。どうやら夫も叩けばホコリが出てきそうです。
その後――。
弁護士に依頼して、元夫の浮気の証拠をつかんだ私。離婚後でも慰謝料は請求できると知り、突き付けました。「どうして……うまく隠せたと思ってたのに!」と驚く元夫には、義母が口を滑らせたことは黙っておきました。
ちなみに、浮気相手は「ローンのことも、いきなり義母と同居するなんてことも聞いていない!」と言って、逃げてしまったそう。一人ではローンを返済できないと思ったのか、元夫から再構築したいと連絡が何度かありこれらの話を聞かされましたが、すべて突っぱねました。
結局、新居には一歩も立ち入らないうちに離婚することになりましたが、今ではそれでよかったかな、と思っています。今はこぢんまりとしたアパートの一室を借り、自分好みのインテリアを置いて、独身生活を謳歌しています。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。