当たり前ですが、夫と息子は別の人間。学歴も大切かもしれませんが、子どもに自分の考えを押し付けるのは傲慢ではないかと、私は思っています。夫にもそう伝えたのですが、「お前は何もわかっていない、息子の進路は俺が決める」と言い出しました。
バカな息子なんかいらない、失敗作を作った女を養うつもりはない、結婚はボランティアじゃない……。夫の暴言は、日々増えていくばかり。これ以上バカなことは言わないでほしいものですが、残念なことに、またとんでもないことを言い出しました。
なんと義兄と張り合って、甥っ子と同じように海外の大学を受験させると言って聞かないのです。急な方向転換に、息子も私も戸惑い、あきれるばかり。今から準備しても間に合うから大丈夫だと夫は言いますが、そういう問題ではありません。息子の気持ちを無視して、進路を勝手に決めることが問題なんですから……。
夫が息子より先に海外に行った理由
それから半年が経ち、明日は息子が海外へ立つ日です。
「息子が海外の有名大学に行くなんて誇らしいぞ」
「現地で待っているから早く来い」
夫は、息子の新生活の準備という名目で、なぜか自分だけ先に現地に赴いています。でも実際、息子がそこに行くことはありません。
「お父さん、バイバイ」
「え?」
息子は夫に別れを告げました。これからは私と2人で生きていくのです。
実は、夫は不倫をしています。私にさんざん苦労させた挙げ句のことなので、息子も本当に怒っていて……。外では不貞行為をしながら、家では偉そうなことばかり言っていた夫。人として軽蔑すると、息子は吐き捨てました。今回も夫が先駆けで現地入りしたのも、不倫相手と旅行をするため。私たちは全部知っていたのです。
夫は息子の言葉に慌てますが、すべて後の祭り。私は離婚するつもりで、今は息子と2人で引っ越しの準備をしています。
窮地に立たされてもなおプライド優先
大急ぎで帰国してきた夫が開口一番に口にした言葉は、謝罪ではありませんでした。「俺に捨てられたら終わりなんだぞ?口の利き方には気を付けろ」です。もう我慢する必要もないので、私は初めて夫に「そういう横暴な態度と、見下す発言に嫌気が差したから別れる」と言ってやりました。
夫は、本当にコンプレックスとプライドの塊なのです。そんなもののために家族を振り回して……。こっちの身にもなってほしいものです。
同期の中で出世1番乗りだか何だか知りませんが、ちょっと偉くなって周りを見下して、他の意見はまったく聞き入れない。自分の意見は絶対で、横暴な振る舞い。自分さえ良ければいいのでしょう。優越感に浸っている姿を見ると、ゾッとします。
結婚したのも、私の学歴や職歴が夫の人生計画にハマっただけ。愛や幸せうんぬんは関係ないと知ったとき、私は地獄だと思いました。そんなときに生まれた息子は、私の生きる希望だったのです。大切な息子の将来を、こんな男に左右されたくありません。
息子は、夫が決めた大学は受験しておらず、別の国にある大学に進学します。離婚後は、私の姓に変更するそう。それを聞いた夫は、今の姓のままでいなければ、学費や生活費を支援しないと圧力をかけました。やっぱり夫は、周りが見えていません。これから自分と不倫相手が、私に対して相当額の慰謝料を支払うことになることを想像できないのでしょうか。それが息子の学費になので大丈夫なのです。
私の心配より自分を心配した方が…
夫は、生活費はどうするんだと鼻で笑いました。もちろん、いただくものはいただきますが、確かにそれだけでは足らないでしょう。人生100年時代、老後のことまで考えれば相当額のお金が必要です。
しかし、何の心配もありません。夫には言っていませんでしたが、私は独身時代の貯金が結構あります。忙しく働いていたので使う先がなく、使わないのならと投資を始めました。そのお金をずっと眠らせていて、少しずつ増やせているので、息子の学費も私の老後もあまり心配していないのです。
なぜ今まで教えなかったのだと夫は言いましたが、言えるわけがありません。プライドの高い夫が、妻の高額所得や多額の貯蓄を知ったら、面倒なことになるのに決まっていますから……。
負け惜しみに、そのくらいじゃこれからの生活は乗り切れない、なんて言った夫。これからの生活に困るのは、私より夫のほうではないでしょうか。ひとりになり、慰謝料をむしり取られて、世間からは不倫男のレッテルを貼られ、きっと親族からも見放されるでしょう。
地獄の結婚生活から解放され気分爽快!
これから私の人生は、地獄の結婚生活から抜け出し新しいステージへ突入です。とりあえず1年は息子と海外で暮らし、生活をサポートします。前から勉強したかったことも現地で学ぶつもりです。帰国後は、バリバリと働く予定。今まで夫から自由を奪われていた分、これからの生活をエンジョイします♪
いざ離婚となって、夫は私に泣いてすがりましたが、もう私も息子も夫との縁を切りたくて仕方がないのです。離婚は俺の人生設計にない?そんなことは知りません。最後の最後まで本当に自己中心で……。
弁護士さんに間に入ってもらい、やっと離婚が成立しました。ようやく夫から解放され、楽しい毎日を過ごせるようになった私たち親子。大学生活を満喫する息子を見ていたら、私もどんどん新しいことに挑戦したいと思うようになりました。
コンプレックスやプライドというものは誰にでもあるもの。しかし、それを死守するために周りを巻き込んではいけませんよね。そんな相手とは、勇気を持って距離を取り、自分や自分と関わる大切な人のために、環境や状況を変えることも大切なのかもしれませんね。
【取材時期:2024年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。