在宅勤務の私に、どうにかして双子の息子の世話を押し付けようとしてくる義妹。「義両親は足腰が痛むから頼めない」「ついでに息子たちに英語を教えてちょうだい」と要求はエスカレートするばかり。断り続けていたところ、しびれを切らした義妹が夫にチクったようで……?
なんで私が悪者に!?
在宅勤務とはいえ、私はプロの英会話講師。英語を教えることで給料をもらっているのです。
家にはいますが、基本的にレッスンをしているので6歳の双子の面倒なんてとても見てはいられません。さらに、義妹は無料で英語を教えてくれと無茶な要求までしてきたのです。
親しき仲にも礼儀あり。そう思っている私は、ひたすら義妹のお願いを拒否し続けました。
すると、義妹は兄である夫に泣きついたのです。
「妹から聞いたぞ!今度の週末に甥っ子たちを預かるのを断ったらしいな!」と夫。「仕事が入っていたし、急なお願いだったから対応できなかったの」と答えると、夫は「ふざけるな!」と私を一喝。
「俺の妹が困ってるんだ、嫁として、義理の姉として助けてあげるのが当然だろう!」「無理って断る前に、仕事の調整はしたのかよ!」と夫。私も負けじと「ならあなたが預かればいいじゃない!」と言い返しました。
すると夫は「子育て経験のない俺が双子の面倒見るなんて無理に決まってるだろ」と言い捨てたのです。それは私もまったく同じ状況なのですが、夫によると「お前は女だから、本能的なもので子どもの1人や2人の面倒くらい見れるだろ」とのこと。
「甥っ子たちと触れ合うことで、お前も子どもが欲しくなるだろうしな!」と言ってくる夫に、私はムッとしました。もともと、夫とは「お金がある程度貯まったら子どものことを考えよう」と結婚時に取り決めていたのです。
しかし、共同の貯金は夫の勝手な使い込みにより減る一方。妊娠すらしていないのにファミリータイプの新車を買ってくるわ、仕事の付き合いで必要だとか言ってゴルフ用品を一括で買ってくるわ……。私だって子どもが欲しくないわけではありません。ただ、その子が独り立ちするまでにかかる費用を考えると、今の状況では無理なのです。
いつの間にか、話は私たち夫婦の問題に移っていました。本筋に戻そうと「私は無責任なことはしたくない」「無計画に子どもを預かって何かあったら嫌なの」と言うと、「でも妹だって困ってるんだぞ!?」と夫。いつまでも話は平行線なのでした。
預からないって言ったよね!?
1週間後――。
人の気配を感じて覗き穴から玄関先を確認すると、見覚えのある2人の男の子が座っていました。そこにいたのは、義妹の息子たちだったのです。
「いったいどういうつもりなの!?」「私、ちゃんと面倒見られないって断ったわよね!?」と義妹に連絡すると、「だって、誰にも預けられなかったんだもん!」「家族なんだから助け合おうよ!」との返事が。
「悪いけど、子ども2人が玄関前に放置されてるって警察に連絡したからね」と伝えると、「え!?こんなことで大げさにするなんてありえない!」と義妹は逆ギレし始めました。私からすると、勝手に子どもを人の家の前に置き去りにする義妹の方がありえないのですが……。
「お兄ちゃんにチクってやる!」「家族を見捨てる最低嫁だって言ってやる!」とわめきたてる義妹。宣言通り、その直後に夫に連絡したのでしょう。今度は激怒した夫から連絡が来ました。
「なんてことをしてくれたんだ!警察沙汰にするなんて!」「妹の旦那にもバレて、妹は相当怒られたんだぞ!かわいそうだと思わないのか!」と夫。
「可愛い甥っ子たちの子守りぐらい快く引き受けろよ」
「妹を傷つけたんだから誠心誠意謝れ!」
「…ごめん、もうしません」
「分かればいいんだよw」
従順になった私に気を良くしたのでしょう。夫は「早速明日も甥っ子たちを預かってほしいらしいから、よろしく」「仕事が理由で断るのは絶対なしだからな」と言ってきました。
利害の一致
翌日――。
「おい、甥っ子たちのことで児相から連絡がきたって妹から連絡があったぞ!?」「お前が面倒見てたはずだろ!?どこにいるんだ!?」と夫から怒りの連絡が来ました。
「お前に預かれって言ったよな!?」と怒鳴りつけてくる夫に、淡々と「たしかに『もうしません』って言って『断らない』とは約束したけど、『面倒を見る』とは一言も言ってないわよ」と返しました。自分でも屁理屈だとは思いますが、双子の面倒を見ることを了承したことは一回もないのです。
双子がわが家に玄関前に放置されていたので、児相に通報して一旦預かることにしました。その後、児相から義妹のもとに連絡があったのでしょう。
「児相の人に怒られるし、大変だったんだぞ!」「お前がこんなに冷たい女だとは思わなかった、俺の家族を大事にしないなら俺の前から消えろ!」と夫。
そこで、「そう、偶然ね、私も同じ気持ちよ」「だから利害の一致ということで離婚しましょうか」と切り出しました。「自分たちの都合や意見ばかり押し付けてきて、私の意見はないがしろにされる、こんな結婚生活なんてもうまっぴら」「帰りに離婚届もらってくるから、印鑑用意して待っててちょうだい」とだけ告げて、私は電話を切りました。
その後――。
弁護士の力も借りて、なんとか離婚にこぎつけた私。元夫は「生意気な嫁をこっちから捨ててやった」と実家に戻ったそうなのですが、すぐに私に黙ってこしらえた借金と嘘がバレて叩き出されたそうです。
本当の離婚理由を知った元義両親は、元義妹にもブチ切れ。元義母からの連絡によると、もう二度と実家の敷居をまたぐな」と、兄妹そろって実家への出禁を言い渡したのだそう。
私は相変わらず英会話講師を続けながら、悠々自適に暮らしています。何も強いられない生活のよさをつくづく実感しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。