夫は、「男が外で稼いでいるのだから、女は家で従うべきだ」と言い、私のことを見下します。「パートの仕事は責任がなくてラクだ」「この家の稼ぎ手である俺に逆らうな」と、毎日のように言われ続けています。そんな夫の理不尽な主張に付き合っていられず、私が話を切ると、また違う角度から罵倒が始まり、うんざりです。
ある日は、こってりしたフランス料理を作れとリクエストしてきたのですが、健康診断の結果が出て、突然リクエストを撤回。遠くまで材料を買いに行き、時間をかけて作ったのに、「目につくと食べたくなるから捨てろ」と言われてあ然としました。
しかも、変更するメニューはヘルシーな和食。買い物からし直さなくてはなりませんが、小さな子どもがいるので買い物にも調理にも時間がかかります。それなのに夫は、夕食後にオンラインゲームをする予定だそうで、食事の時間まで指定してくるのです。作り直していては、到底間に合いません。
すると夫は、とんでもないことを言い出します。3歳の息子を家に1人置いて、買い物に行けと言うのです。男の成長には試練がつきものだから、そろそろ留守番も経験させておけと……。
妻なら夫を敬え!と怒鳴り散らす夫
私は我慢の限界でした。息子を危険な目に遭わせかねない、あまりにも身勝手な提案だったため、私がストレートに不満を伝えると、夫は「一家の主に口答えするな」とご立腹。
ことあるごとに、「誰のおかげで生活できると思う!?」と夫は言いますが、だからといって、夫が何をしても許されるというわけではないはずです。私だって少しは稼いでいるし、家事や育児をひとりで担っているし、怒鳴られる筋合いはありません。
それに夫が忙しいのは、仕事をしている日中だけのこと。私は24時間ずっと家事や育児で稼働しているのです。事実を次々に突きつけていくと、夫はますます怒って怒鳴り散らしました。
あくまでも私は「お気楽主婦」で、自分はこの家で1番偉い大黒柱だと言います。「妻なら夫を敬え、どんな命令にも従え! それが嫌なら、子どもを連れて出ていけ!」とまで言ってきたのです。
この瞬間、私は心を決めました。もう絶対に許さない……。
ずっと機会をうかがっていた私
あれから数カ月。いまだに夫は私への態度を変えていません。ある日、夫はまたいつものようにわがままを言い出し……。
「夕飯は肉じゃなくてやっぱ魚」
「明日の出張の準備もよろしく! 下着は多めに入れといてくれ!」
私のことを、まるで家政婦とでも思っているかのような要求。そろそろ立ち上がるとき、そう思いました。夫から見下され、家政婦扱いされる生活には嫌気が差していたので、夫の望みどおり家を出ていくことにしたのです。
「誰に言ってんの?」
私は「もうあなたの妻ではなくなるので、そんな口の利き方はやめてください」と冷静に告げました。
「え?」
夫は一瞬、驚いたような反応を見せたあと、またすぐにいつもの調子に戻り「能無しのお前が俺なしで生きていけるわけがない。バカのくせにふざけるな」と、私をののしり、「離婚するって言うなら養育費も生活費も払わない!」と脅してきました。
しかし、私はこの数カ月、弁護士に相談しながら、夫の暴言の数々や家庭を顧みない言動を録音・記録して証拠に残し、水面下で離婚の準備を進めていたのです。いつまでも言われっぱなしだと思ったら、大間違い。このままでは息子の成長にも悪影響なので、私はずっと離婚を切り出す機会をうかがっていました。
すべてを失った夫の生活は…
1週間後、夫が連絡してきました。「お前が謝るなら許してやる」と、相変わらずの上から目線には、心底あきれました。私は、夫がいなくても何の問題もありません。これまでも夫は家庭のことにノータッチだったので、今までどおりいなくて大丈夫。むしろ、いられるほうが面倒なのです。
私はパート先に働きかけ、社員に登用してもらい、息子と2人で暮らすには十分な額をこれからは稼げる予定です。育児支援制度もしっかりしている会社なので、仕事と育児の両立に不安はありませんでした。
今や夫は、お荷物以外の何者でもありません。無駄なやり取りをしたくないので弁護士を通じた話し合いを求めていますが、夫はようやく焦り始めたのか直接連絡してきます。もう関わりたくないのに……。
養育費はもちろん、きっちり支払ってもらうつもりですし、財産分与もしっかり請求します。両親や義両親にはこれまでの夫の言動を説明し、離婚に納得してもらっており、協力を取りつけています。夫のわがままに振り回され、暴言を吐かれることがなくなり、精神的なストレスがなくなった今は、とても穏やかな気持ちです。
夫は自分の立場が不利だと気づいてからは、謝罪を繰り返し、戻ってきてほしいと泣きついてきましたが、最終的には私が提示した条件を飲み、離婚に承諾しました。
離婚後は、以前より生活も気持ちもラクになった私と比べ、夫は人生のどん底を味わい、後悔している様子だと義両親から聞きました。家事もできず、自分の生活すらままならない状況に、すっかり参っているそう。一方の私は、近くに住む両親の手も借りながら、育児に仕事に励んでいます。今はとても幸せな生活を送っています。
◇ ◇ ◇
身勝手な行いは、必ず自分に返ってくるものなのかもしれませんね。お互いを思いやって、尊重し合える対等な関係こそが、パートナーです。無意識に誰かを見下してしまわないよう、家族はもちろん、かかわるすべての人に対して誠実に、そして対等に向き合いたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。