専業主婦の私に、たびたび双子の世話を押し付けてくるようになった義姉。託児の頻度は上がり、ついには1日おきに双子を預けるようになったのです。
そんなときに、私の妊娠が発覚。これでようやく双子の世話を断れると思っていたのですが、やはり義姉は一筋縄ではいかないようで……?
妊娠を伝えた際に、義姉から返ってきた耳を疑う発言
その日も「夫も去年から単身赴任だし、一人じゃ双子を毎日見るのって大変なのよ~」「だから、今日も今から預かってね!」と突然連絡してきた義姉。
「ごめんなさい、病院にいるのでお義姉さんの子どもたちの面倒は見られないんです」「実は妊娠がわかりまして……、すでにつわりもつらくて、今後は双子ちゃんの面倒を見るのも難しいと思うんです」と、やんわりと託児を断ろうとした私。
「あら!おめでとう!」とまずはお祝いの言葉をくれた義姉。しかしそれに続く発言に、思わず私は自分の耳を疑ったのでした。
「つわりはそのうちなくなるだろうし、これからもうちの子どもたちのお世話をよろしくね!」「なんなら子育ての勉強にもなるだろうし、今まで以上に預けちゃおうかしら?」「今日は病院だから我慢してあげるけど、早速、明日から預けてあげるからね!」
驚きのあまり、言葉を失った私。義姉から「それじゃ、明日からよろしくね~」と言われても、しばらくその場に立ち尽くしていました。
義姉のとんでもない考え方
それからすぐに、私は夫に半泣きで連絡。事情を話すと、「なんだって!?」と夫も驚いていました。その日のうちに、夫から義姉に「もう双子は預かれない」と強く念を押してもらったのですが……。
――翌日。
「ねぇ、早く玄関開けてくれる?」とインターホンから義姉の声。「夫からも『もう預かれない』と話があったと思いますが……」と言うと、「あったあった!『大事な妊婦なんだから気を遣え』って言われたよ!」と義姉。
「むしろ、つわりが大変なときこそ、育児だよ!」「うちの5歳児たちの世話に追われてれば、1日なんて一瞬で終わるじゃない?」「つわりの気持ち悪さを感じてるひまもないって!」
義姉のとんでもない理論に、だんだんとめまいがしてきました。なんだか頭も痛くなってきたような……。
どうにか断ろうと考えを巡らせているうちに、義姉は「じゃあ、うちの子たちここに置いていくから早めに玄関開けてね!」と、双子を置き去りにして去ってしまったのです。私は預かるなんて一言も言ってないのに……。
事故や事件に巻き込まれては大変と、双子を家の中に入れて、私は夫に連絡。私から事情を聞いた夫は、「本当にうちの姉ちゃんがごめん……」と謝ってくれました。そして、「こうなったら最終手段だ」「体もしんどいだろうけど、今日で終わらせるからなんとか耐えてくれ」と言ったのです。
突然現れたシッターの正体
翌日――。
私のスマホに「なんで今日も家にいないの!?」と義姉から連絡が来ました。「今日は病院なので……」と返すと、「そうやって病院を言い訳にすれば私が諦めるとでも?」「どうせ預かりたくなくて居留守を使ってるんでしょ、私はあなたのために預けてあげてるのに!」と義姉。
「双子ちゃんたち玄関前に置いてきたからよろしくね!」
「義姉の私のおかげで育児の練習ができるでしょ♡」
「里帰りして不在ですが…」
「え?」
そう、夫は私を今日の朝一番の新幹線で実家に帰らせてくれたのです。夫から事情を聞いたうちの両親も、二つ返事で「帰ってこい」と言ってくれました。
「あんたが預かれないっていうんなら、プロのベビーシッターをお願いするわ!」「特急価格で高いだろうけど、シッター代は全額あんたに請求するからね!」とわめく義姉。
「大丈夫です!シッターはすでに用意してます!」「ちょうどそろそろうちの前に着くそうですし、お金もいらないって言ってくれる方ですよ」「お義姉さんも知ってる方ですし、安心でしょう?」
「だ、誰なのよ、そのシッターって……」と怯えた義姉。「お義姉さんのお義母さんです」と伝えると、「えええええ!?」と悲鳴を上げていました。
これも夫の最終手段のうちの1つ。義姉は一方的に向こうのお義母さんを嫌っていて、孫である双子たちを数年間会わせないようにしていたのです。夫から向こうのお義母さんにこの計画を打ち明けたところ、「孫に会いたかったの!」と大喜びで引き受けてくれたのでした。
その後――。
家の前に置き去りにされていた双子のもとへは、向こうのお義母さんがすぐに駆け付けてくれたそう。双子たちも「久しぶりにおばあちゃんに会えた!」と大喜び。
そして、向こうのお義母さんは双子を連れて、義姉の家に行きました。しかし、義姉の家は荒れ果てたゴミ屋敷と化していたのです。単身赴任中の義姉の夫にもその惨状はすぐに伝えられ、「ワンオペ育児が大変なら同居はどうか」という話に発展。あれよあれよという間に、義姉と向こうの義両親との同居が決まってしまいました。
同居を始めてすぐ、家事を完璧にこなすお義母さんと、もともと教育者だったお義父さんに懐いた双子たち。わが子から「ママは友だちと遊んできていいからね」「私たちにはおじいちゃんとおばあちゃんがいるから大丈夫!」と言われて、義姉もようやく自分のしでかしたことの重大さに気付いたそう。
母親にだってプライベートな時間は必要だと思います。しかし、自分のプライベートを優先しすぎて育児を疎かにすると、義姉のように子どもたちからの信用を失ってしまうのかもしれないと感じました。
初めての育児はとても不安ですが、義姉を反面教師に、そして義姉と同じ轍を踏まないように、がんばっていこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。