妹が夫と…駆け落ち
両親から受け継いだ実家をリフォームし、夫と一緒に楽しく暮らしていた私。夫は朗らかで頑張り屋な人。大手企業に勤め、出世頭としてスピード昇進し、部長として仕事に精を出していました。お互いに切磋琢磨し高め合える存在。そんな夫と暮らせて幸せいっぱい、だったのですが……。
なんと、長年顔を合わせていなかった妹に夫を奪われてしまったのです。夫は私よりも妹を選び、駆け落ちというかたちで家から姿を消しました。そのときの悔しさや悲しみは言い表せるものではありません。
もう二度と2人の顔なんて見たくない。あんな人たちにいつまでも振り回されていたくない。
そう思い、私は親が残してくれた家でひとり、何とか前を向いて日々を過ごしていたのです。
3年後、妹から連絡が
2人が駆け落ちして3年が経ったある日、妹から「生活費を援助して」と連絡が届きました。
ひどいことをされたのですが家族ということもあって妹の連絡先は消せずにいた私。とはいえ「どうして普通に、しかもお金のことを連絡できるのだろう」と思っていました。返信に困っていると、妹からは立て続けに連絡が届きます。
「〇〇(元夫)さん、勝手に仕事を辞めちゃうし、もっと給料のいい会社へ転職すると言って、まったく転職先が見つからないの! 貧乏生活なんてありえない!」と。
元夫は、職場で「略奪婚」「不倫」「駆け落ち」と噂が広まり、居づらくなって会社を退社したと噂で聞いていました。ただ、転職活動が難航しているとは、知りませんでした。
「お金を持っているって聞いていたのにあんまり持っていないし! 私、かわいそうだと思わない!?」。妹の自分勝手ないい分が続き、私は辟易してしまいました。相手にせずにいると、最終的には「もういいよ! お姉ちゃんには頼らないから!」と妹からの連絡は途絶えたのです。
妹が新彼を連れて実家に…
その約1カ月後、妹から「やっぱり実家は居心地いいわあ~!」と連絡が届きました。ちょうど私は仕事中。会社でそのメッセージを見て、目を疑いました。妹が言うには、元夫とは別れて、会社を経営している中学の同級生と付き合い始めたそう。その新彼を連れて、実家に住むと言うのです。
「ということで、お姉ちゃんは実家から早く出て行ってね!」。
私は妹のとんでもない申し出に困惑……。「新しい彼は社長なんでしょ? だったら彼の家に住めばいいじゃない!」と言うと、彼は高所恐怖症だからタワマンに住めないのだとか……。
相手にしているだけ疲れてしまい、もう勝手にしてくれと思った私は、2人の実家への引っ越しを承諾。そのかわりに言っていなかった事実を告げることに。
「わかったわ。元夫と3人で仲良く暮らしてちょうだい」。
実は、妹より少し早くに、妹に捨てられた元夫がわが家にやってきていたのです。両親からは絶縁され、所持金も底をつき、頼れるのは私しかいないと、元夫からは土下座をされました。彼にされたことは到底許すことはできません。ただ「このまま追い返しても……」という気持ちから、家賃を支払うことを条件に居候させてあげることにしたのでした。
「それから、あなたたちにも家賃を支払ってもらいます。私はそのお金でどこかに部屋を借りられるから。ひとりで悠々自適に暮らすわ」と言って、妹の連絡を区切りました。
妹と元夫が最悪の再会、そして修羅場に
妹からは「え!? 〇〇(元夫)さん!?」と焦りの連絡と同時に、立て続けに連絡が届きました。どうやら、元夫が仕事から帰宅し、妹と顔を合わせたのでしょう。
「どうしよう!〇〇(元夫)さんが怒ってる!!」。
これは後に聞いた話ですが、どうやら妹は、元夫にお金を使わせ、何も話もせず勝手に消えたようです。
自宅では修羅場が繰り広げられていたそうでしたが、修羅場の果てに結局妹は元夫にお金を返すことになり、新しい彼とは大喧嘩をして別れることになったそう。自業自得……としか言いようがありません。
すべてが終わったあと、元夫からは、「俺のことを泊めてくれるなんて、まだ俺のことが好きなんだろ? やり直そう!」と連絡が。
私は「復縁する気があるわけない。実家は売りに出すから、妹からお金を返してもらったら早く出て行ってちょうだい」と言って関係を終わりにしました。
実は私は昇進が決まり、今の住まいから離れた職場へ異動となったのです。そのタイミングで実家も売却することに決めていて、もともと元夫の居候は生活が安定するまでの約束でした。無事に買い手が見つかり売却することを伝えると、元夫はあっさりと出ていきました。
私が家に戻るとすでに3人の姿はなく、元夫からの置き手紙と今月の家賃だけが置かれていました。その後、なんと妹と元夫はヨリを戻したそう……。略奪や駆け落ちの噂が届かない、遠い知り合いのいない土地で静かに暮らしているのだとか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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