夫は私に対しても、何の取り柄もない専業主婦なのだから、親の介護くらいしてもらわないと養っている意味がないと言います。
結婚以来、家事に育児に孤軍奮闘してきた私。夫は、家のことを全部私に丸投げしてきました。手伝うことはなく、感謝の言葉すらありません。口から出るのは文句ばかり。
義父の調子が悪く、眠れなかったある日の翌日、私は夫のお弁当に冷凍食品を入れたことがありました。すると「あの弁当は何だ!」 と激怒。たまのことですし、夫の親の介護が原因となっているのに、そんな言い方しなくても……。
義父の最期にも帰ってこない夫
いよいよ義父とのお別れが近づいたとき、私は急いで夫に連絡。しかし、仕事中だと言って帰ってこようとしません。お別れのあいさつをしようと、孫である私たちの子どもも帰ってきているというのに、実の子である夫が帰ってこないなんて。
仕事だと言いますが、今夫がいるのは会社ではないと思います。私たちは知っているのです。夫が今夜も不倫相手の女性と一緒にいることを……。何を馬鹿げたことを言っているんだと夫はキレていますが、本当のことだからキレているのでしょう。
義父が倒れて20年。私はずっと介護をしてきました。加えて、家事や育児もして、本当に忙しい毎日でした。だから、不倫に気づかないと思っていたのでしょうが、3年も前から知っていました。
いくら義父に暴言を吐いていても、さすがに最期くらいはみとるだろうと期待していましたが、私の考えが甘かったようです。
連絡の最後に、「お前は社会のお荷物で、俺に養われなきゃ生きていけない無駄な存在なんだ、これからはもっと言動に気をつけろ」と警告された私。「俺の気分次第でお前なんて簡単に捨てられるんだからな」とまで言われて……。
介護が終わり、捨てられる用済みの私
義父の葬儀も終わり、遺品整理も一段落したころで、夫が突然……。
「20年間介護ご苦労さん!」
「離婚届は出しておいたから」
「もう好きにしていいぞ」
そういえば昔、夫と喧嘩をしたときに離婚届を持ってこられて、記入したことがあったことを思い出しました。
「わかった!! 今すぐ出ていくね!」
私はすぐさま、夫にも家を出ていくように伝えたところ、驚いた顔をして「なんで?」 と言います。義父が亡くなった今、この家は私のもの。3年前、義父から譲りたいと話をしてもらっていました。きっと義父は20年も何もせず罵倒していた息子に、何も残したくなかったのでしょう。
自分には義父の遺産を相続する権利があると主張する夫。それも無理なのです。何しろ、夫は義父から相続排除されています。
そもそも相続排除は簡単に認められることではありませんが、夫は以前義父の通帳を盗もうとし、その際に義父に大けがをさせています。その著しい悪行と義父に浴びせた数々の悪態が認められ、排除が可能だったわけです。
勘違いおじさんのイタすぎる末路
自分には一銭も遺産が入らないと知り、夫はがく然。あれだけ義父に対してひどい態度を取っていたのに、よくもらえると思っていましたよね。家族のために一生懸命働いていたと言いますが、夫1人だけで家庭が回っていたわけではありません。それどころか、夫は不倫をして相手の女性に貢ぎ物までしていました。自分勝手で文句ばかり言う夫に、私たち家族は嫌な思いばかりしてきました。いいタイミングで離婚ができて清々しているというのが、私の今の本心。
これから私たちは、弁護士を通して話し合いを進めることになっています。しかし夫は、その前に復縁を望んできて……。
どうやら、介護問題が解決したらさっさと私と離婚して、不倫相手と再婚しようと思っていたらしいのですが、あっさり振られてしまったようです。おじさんの勘違いって怖いですね。50代のおじさんが、20代の若い子に本気で好かれているとは思っていたのですから。慰謝料を取られ、遺産も入らない、そんなおじさんと若い子が結婚するメリットがありませんよね。
いくら夫から謝罪を繰り返されても、私はこの20年間にされたことを許すつもりはありません。復縁を求められても、やり直すなんて無理。そもそも、勝手に離婚届を出したのは夫です。
この年齢で1人生きていくのは大変だぞと夫は脅しますが、まったく問題ありません。私はこの20年、時間を見つけては資格取得や在宅ワークに励んできました。収入が増え、夫の扶養からも外れていたのに、全然気づいていなかったのですね。そして夫は、私にお金があるとわかると無心してきました。不倫相手の女性に貢ぐため、借金を作っていたらしいのです。私が助けてほしいときには何もせず、こんなときになって私に助けを求めてくるとは……。
夫は子どもたちにまでお金を無心してきたそうですが、もちろん貸さなかったようです。きっと夫は、家族を大切にしなかったことを悔いて生きていくことでしょう。
家族だからこそ、心を許して本音で向き合いたいものですが、何を言ってもいい、してもいいということとは違いますよね。家族だからこそ、丁寧に接する必要もあるでしょう。どんな相手に対しても思いやりを持って接したいですね。
【取材時期:2024年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。