高校の同窓会で再会した元カノの離婚相談に乗るようになった夫。元カノの夫はお金を最低限しか出してくれず、元カノは大変困っているのだそう。
とはいえ、うちの夫が元カノに服や化粧品一式をプレゼントする義理はないはずです。夫は「友だちとして支えてあげたいだけだから安心してくれ!」と言いますが、明らかに友だちのレベルを超えていると感じていました……。
むげにされた私の願い
「もし2人で会っているところを彼女の旦那さんに見られたらどうするつもりだったの?」「絶対に浮気を疑われるし、彼女がもっと大変な目に遭うかもしれないじゃない!」と言うと、夫もハッとなり「軽率だったな……」と自分の行いを反省していました。
「もう二度と、元カノとは2人きりで会わないよ」と言う夫。その言葉を私は信じたのです。
1カ月後――。
その日は、私たち夫婦の結婚記念日。ちょっと奮発してレストランの数万円のコースを予約していました。それなのに……。
「ごめん、急に残業が入って、今日はレストランに行けそうにない」「俺の分もたくさん食べてきなよ」と夫から連絡が。
「……そんな適当な嘘でごまかせると思わないで」「さっき、タクシーでレストランに向かっていたら……あなたと元カノが手をつないで歩いてたわよ?」「もうレストランにはキャンセルの連絡をしたわ、キャンセル料100%はあなたが支払ってね」
まさかバレているとは思わなかったのでしょう、夫は「う、嘘だろ……!」と慌てふためていました。
元カノとは2人きりで会わないって約束したはずなのに……。しかも、私との大事な記念日に約束を破るなんて……。
「彼女は本当に困ってるんだ!俺が支えてあげるしかないんだ!」「手をつないでいたのは、そうするとあいつが落ち着くって言うから……」と言い訳する夫。しかし、最終的に「こんな口うるさい嫁、誰が大切にしてやるか!」「彼女はまだ一人でいるのがつらいって言ってるし、今夜はこのまま彼女のそばにいる」と言い出したのです。
結局、結婚記念日に元カノを選んだ夫。私はため息をついて空を仰ぎました。
妻より元カノ
2週間後――。
前々から感じていた体調不良。その日は出社してからものすごく体調が悪くなり、そのまま会社で倒れてしまいました。気を利かせた同僚が夫にも連絡してくれたようだったのですが、夫から私に連絡があったのはその日の夜。連絡がいってから6時間以上経ってからでした。
「倒れたって聞いたけど……何かあったのか!?」と夫。「ちょっと最近体調悪くて……」と正直に話した私。
「ねぇ、そろそろ帰ってこない?」「あれからもう2週間も経つし……私も感情的になりすぎたから、お互いに、冷静にしっかり話し合おう?」と言うと、夫は「そうだな、俺もごめん……」と返してくれたので、ようやく和解の兆しが見えたと感じた私。
しかし、夫は「でも、まだそっちには帰れそうにないんだ」と言ったのです。
夫によると、元カノも体調を崩しているそう。元カノの夫は出張中で、育児もワンオペ。うちの夫がリモートワークにしてずっとそばにいてあげているのだそうです。
自分の妻が倒れて運ばれたというのに……。それでもまだ元カノを優先する夫に、私は呆れてものも言えませんでした。
本当に大切にすべきものは
1週間後――。
なおも帰ってこない夫。しびれを切らした私は「いったいいつ元カノの家から帰ってくるの?」「私も体調悪いのに……」と連絡しました。
すると、「元カノの体調が全然回復しなくてさ、もうしばらくこっちにいることになる」「お前は一人でも十分乗り切れるだろ?元カノと違って強い女なんだし」と夫。
「悪いな、元カノも体調悪いから傍にいて欲しいって」
「倒れたって言ってもお前は不死身だから大丈夫だ!w」
「娘はもういませんよ」
「え?」
私に代わって返事をしたのは実の母。「えええ!?お義母さん!?うちにいらしてたんですか!?」と慌てふためく夫。
しかし、母は「いえ、娘が実家に帰ってきたんです」「体調不良で会社で倒れて、あなたには連絡がつかなくて……それで会社の人がわざわざ実家まで連絡をくれたので、私が病院に駆けつけました」「そして体調が落ち着いた今日、実家に一緒に戻ってきたんです」と淡々と返していました。
「そ、そんなに具合が悪いんですか……?俺にはそんなことちっとも言ってなかったのに……」と言う夫に、母は「まぁ、初めてのつわりですからね」と相変わらずのトーンで返事。
「えっ!?妊娠!?」と驚く夫。驚くのも無理はないでしょう。私はまだ夫に伝えていなかったのですから……。いや、正確に言うと伝えたかったのに伝えられなかったのですが……。
本当は、結婚記念日の夜に伝えるつもりだったのです。こういうことは面と向かって伝えたいと思っていたので、それまで黙っていました。しかし、あの日を境に夫はうちに帰って来なくなってしまいました。それで、伝えられずにいたのです。
「娘の嫌がる気持ちや体調不良よりも、元カノさんの体調不良の方が優先だとか?」「親としては到底納得がいきませんので、娘の離婚したいという気持ちを全面的に応援します」とピシャリと言った母。夫はぐうの音も出ないようでした。
その後――。
義両親にも事情を話し、私……というよりも私の父母が元カノの夫に連絡を取りました。すると、衝撃の事実が発覚したのです。
元カノは結婚してからずっと浮気三昧。目を離すとすぐに浮気して、家のお金にまで手をつけて浮気相手に貢ぐのだそう。そのせいで最低限のお金しか渡していなかったとのこと。
また長期出張中になった元カノの夫は、すぐに家の中に隠しカメラを設置。どうせまた浮気するだろうと思っていたそうです。決定的な証拠を取り、親権をゲットして離婚するつもりだったと聞きました。
そして、そのカメラの映像には夫との不貞行為がバッチリ収められていました。私もしっかり慰謝料を請求できそうです。
夫は私と離婚したくないようで、さんざんごねていましたが、すべて両親がブロック。「俺の気持ちを妻に伝えたいんです!」と言った夫に、「じゃあまずは私にぶつけてくれ!どんと来い!」と返した父にはさすがに笑ってしまいましたが……。
私たち夫婦も、そして元カノ夫婦も、時間はかかりましたが離婚成立。両親をはじめ、周りの人の協力のおかげで、なんとか離婚にこぎつけられました。気持ちを切り替え、今は両親とともに子どもの誕生を心待ちにしています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。