今までの仕事の成果を認められて、大きなプロジェクトに参加できることになった私。その一環で、海外出張の話をいただきました。その期間は最低1年。長くなると3年間ぐらいになるということでした。
私が仕事しているのをこころよく思っていなかったはずの義母に話すと、猛反対どころかとても理解を示してくれたのです……。
やけに協力的な夫と義母
以前から「家庭を犠牲にするな」「俺より年収が高くなるのがうれしいんだろ」と言っていた夫。義母も夫に同調し、「早く孫の顔の一つでも見せてほしいわ」とたびたびお小言を頂戴していました。
しかし、今回のプロジェクトは絶対に参加したいと考えていた私。ネチネチ言われるのを覚悟で義母に切り出してみると、「あら!じゃあ私から息子を説得しておくわ」「あなたは気にせず行ってきなさい」と意外な返事が。
思わず「えっ!?」と返すと、「こちらのことは気にせず、行ってらっしゃい」と義母はにっこり。私は面食らってしまいました。
その日の夜――。
義母から私の海外出張の話を聞いたらしい夫。義母の説得をもっても、さすがに反対されるだろうと思っていたのですが……。
「お前の仕事のこと、応援するよ」「俺のことは気にしなくていいから、3年でも10年でも向こうにいていいからな!」と夫。予想とは異なる夫の反応にまたまた驚きましたが、私のことを応援してくれることは素直にうれしく思いました。
「ありがとう!」「準備が整い次第、早めに向こうに行くことになりそう」と言うと、「そりゃ好都合だ!」と夫。思わず「どういうこと?」と聞き返すと、夫は「早く行った方が成果を出せるだろ」と食い気味に答えました。
少し夫の言葉が引っ掛かったものの、すぐさま私は上司に連絡。準備が整うと、海外へ飛び立ちました。
私のいない家の違和感
海外出張開始から3カ月――。
初めての海外生活はなかなか大変でした。ようやく落ち着いて、夫に「久々に顔を見たいな」と言うと、夫は家で自撮りした写真をすぐさま送ってくれました。
変わらない夫の顔にほっとしたのも束の間、なんだか家の雰囲気に違和感を覚えた私。もともと夫は家事があまり得意ではありませんでした。しかし、やけに家の中が綺麗なのです。
「ちゃんと食べているの?」と聞くと、簡単な和食の写真を送ってくれました。しかし、その写真には見知らぬ食器が写っていたのです。夫は自分で食器を買うようなタイプではないのに……。
「まさかとは思うけど、誰も家に入れていないよね……?」と言うと、「当たり前だろ!俺を疑うのか!」と怒り出した夫。遠距離で喧嘩すると、なかなか仲直りのタイミングがつかめないだろうと思った私は、「ごめんね」とすぐに謝りました。
しかし、そのとき覚えた違和感は正しかったのです。
帰国した私を待ち受けていたもの
さらに3カ月後――。
慣れない地でも必死にがんばり続けていた結果、予想よりも早くプロジェクトが進むことに。そして、私の海外出張は6カ月で終わることになったのです。喜び勇んで夫に「帰国できることになったよ!」と連絡しました。
「明日の便で帰国になるから待っててね♡」
「頼むから帰ってくるな!」
「なに余計なことしてるんだよ……」という夫に、「まさか、私が帰ってきたらまずいことでもあるの?」と聞いてみました。すると、「俺の仕事が忙しいんだよ!」「帰国しても構ってあげられないぞ?」と夫。
なんだかきなくさい夫に、私は「もう正直に言ってよ」「私に見られたくないものがあるんでしょ?」と聞いてみると、「そんなものねぇよ!」と逆ギレ。
「本当のこと言うともう玄関前なんだけどね」
「え?」
「じゃあ、今から家に入るね」「実はもう帰国してるの。奥さんが早く帰って来てくれてうれしいでしょ?」
久々のわが家。そこには私の見知らぬ色違いのマグカップや歯ブラシ。洗濯機の中には女ものの服。リビングのテーブルの上には、「今日はバイトが遅くなるから先に食べてね。お義母さんからもらった漬物もあるよ」「大好きだよ」とメモが。
ある程度予想はしていたものの、やはりショックを受けた私。それでも不倫の証拠を集めるために、写真を撮り続けました。
「ずいぶんと楽しく同棲しているみたいね」「しかも、お義母さん公認の浮気みたいじゃない」と言うと、「そ、それはその……」と口ごもる夫。そして、「じ、実は、母さんからの紹介で……」ととんでもないことを言い出したのです。
早く孫がほしいと前々から私をせっついていた義母。私が海外へ行くのをこれ幸いと、自分のパート先の女性を夫にあてがったらしいのです。孫の顔見たさゆえとはいえ、まさか浮気を斡旋するなんて……。
「頼むから離婚だけは勘弁してくれ!」と言う夫に、私は「とっとと浮気相手に乗り換えればいいじゃない」「慰謝料はきっちりもらうけど」と返しました。すると、「月収10万もない女と結婚なんてしたくないよ」「今の生活を捨てたくないんだ、監視カメラでもなんでも置いていいから離婚だけは考え直してくれ!」と夫。
私は夫の考え方に驚き呆れてしまいました。
「なんか……もういろいろと最低ね」「ATM扱いされるのも嫌だし、あなたの荷物はまとめてご実家にお送りするわ」「私はもうあなたの顔も見たくないし、声も聴きたくない。今後は弁護士を通して連絡します」
その後――。
すぐに夫と浮気相手の荷物をまとめて義実家に送り、弁護士にすべての手続きを依頼した私。義父に事情を話すと、義父も激怒。弁護士と義父のおかげで、非常にスムーズに離婚することができました。
もちろん、元夫、浮気相手、そして浮気を斡旋した元義母からも慰謝料を一括で受け取りました。ちなみに、元義父も熟年離婚を考えているようで、「よかったらあなたの弁護士を紹介してくれないか」と連絡が来ました。
海外での成果を認められ、私は昇進が決定。今後は海外出張だけでなく、海外赴任も視野に入れてさらにがんばっていこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。