「後輩の引っ越しを手伝ってるから遅くなる!」というメッセージを最後に、一切既読をつけてくれなくなった夫。その日は結婚記念日だったのに、ディナーデートの約束もすっかり忘れてしまっていたようでした。
そして、次に夫から連絡が来たのは翌日の朝だったのです……。
逆ギレした夫
「私との約束は忘れちゃったみたいね?」と言うと、ようやく結婚記念日を思い出したのか、慌て出した夫。「ごめん!ついうっかりして……」と言い訳しようとする夫の言葉を遮り、私は「謝るくらいなら、もう後輩さんとは仕事以外で関わらないで!」と言いました。
すると、夫は「なんか変な誤解してないか?」「会社の後輩をかわいがって何が悪いんだよ!」「こっちは引越しの手伝いで疲れてるってのに、そんなことくらいでごちゃごちゃ騒いでんじゃねぇぞ!」と逆ギレしてきたのです。
「もう今日は家には帰らない!」とまで言ってきた夫。「ブチギレ嫁がいる家よりも、マンガ喫茶のほうがよっぽど居心地いいだろうな」と言うので、私も「もういいわよ、お好きにどうぞ」「そこまで言うなら戻ってこないで」と言いました。
そして、夫は宣言通りその日からしばらく、家には帰ってこなかったのです。
後輩女性と夫の関係
4カ月後――。
「よう!久しぶりだな!」と連絡してきた夫。「この4カ月、俺と連絡取れなくて寂しかっただろ?」と言われ、私は大きなため息をつきました。
「用がないなら連絡してこないで」と冷たく返した私に、「そんないじけるなって」と夫。「実はお前に大事な話があるんだ」と切り出してきました。そして、「後輩が俺の子どもを妊娠したんだ」と言ってきたのです。
「俺の子を妊娠した彼女と結婚するから、おまえとは離婚だ」
「その家には彼女と住むから!さっさと出ていってくれ」
「は?ここ私の家なんだけど」
「え?」
4カ月前、さんざん彼女との関係を否定していたのに、結局不倫関係になってしまったそう。「付き合ったのは俺がその家を出てった後だからな!」と夫は言っていますが、私と婚姻関係が続いている以上、許されないことをしているのです。しかし、夫にはその自覚がないようでした。
「そのマンションには彼女と俺が住むから!さっさと荷物まとめて出てってくれ」と言うのです。
けれども、もともとこのマンションは結婚前から私の名義で借りていたもの。結婚直後に引っ越そうと思っていたのですが、とある理由で夫が転がり込んでくる形になったのです。
「あなたが家出してすぐ、入居人登録も削除してもらったし、このマンションの部屋は正真正銘私だけのものよ」「あなたの荷物は全部ご実家へ送りました」「もちろん、あなたのご両親にもすべて説明済みよ」そう伝えると、夫は悔しそうにしながらも、諦めたようでした。
義両親は「あの馬鹿息子が……ごめんなさい」とひたすら謝ってくれました。私が離婚するつもりでいることに対しても、「何かできることがあったら言って」と言ってくれています。
「あなたが帰ってきたら、すぐに離婚について話し合おうと思って準備を進めていたの」「そしたら、まさか自分から浮気を暴露して、さらに妊娠まで報告してくれるなんて……」「2人それぞれに、たっぷり慰謝料を請求するから、よろしくね」
後輩女性の知らない、夫の本当のこと
数時間後――。
夫の後輩を名乗る女性から、私に電話がかかってきました。おそらく、夫からあらかたのことを聞いたのでしょう。
「なんで私と彼の邪魔をしようとするんですか!」「早くその家から出てってください!」といきなり私を怒鳴りつけてきた彼女。私は声に何の感情ものせずに、ただ淡々とこの部屋は私が借り主であることを説明しました。
すると、「ふん!まぁ年増女が住んだ家にこだわる必要なんてないわ」と彼女。
「彼に新しく愛の巣を建ててもらうんだから!」「課長の彼の稼ぎなら、超高級タワマン暮らしだって夢じゃないわ!」
鼻息を荒くする彼女が哀れになってきた私は、夫の金銭事情を教えてあげることに。
「夫には貯金はほとんどないわよ」「それどころか、借金を返すので精一杯で、貯金なんてできる余裕がないの」
私との結婚直前に、副業詐欺に遭って大金を失った夫。結婚式前日に500万円の借金を抱えたことを打ち明けられた衝撃は、今でも忘れません。だからこそ夫は、結婚後、私のマンションに転がり込んできたのです。
「嘘でしょ!?」と叫ぶ彼女に、「借金は残り300万くらいだったと思うわ」「夫婦2人でがんばって返済してくださいね」とだけ言って、私は電話を切りました。
その後――。
義両親のサポートもあり、私と夫はすぐに離婚。もちろん、元夫とその後輩の両方から慰謝料を受け取りました。
後輩は「妊娠なんて嘘!借金男との結婚なんて嫌!」と言って、元夫を拒絶したそう。しかし、元夫は「俺は責任を取ろうとした、ならお前も俺の人生を台無しにした責任を取れ」と言って、彼女の家に無理やり居座っているようです。
私は慰謝料を元手に、家の家具家電をすべて買い換えました。今は心機一転、快適に、そして自由に暮らしています。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。